還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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アメリカは、言わばコーヒー文化圏である。
何かと言えば、コーヒーを飲む。
朝食で1杯。
10時のコーヒーブレイクに一杯。
昼食後、3時、夕食後。
最低5杯は飲む、計算になる。

アメリカのコーヒーは、薄い。
日本では、「アメリカン」と称されている。
薄く飲みやすいから、カップも大きい。
朝食のコーヒーカップは、「マグカップ」と呼ばれる大きなもの。
それに、なみなみと注ぐ。
ゆうに2合(360cc)はあるだろう。
人によっては、それにたっぷりとミルクと砂糖を入れて飲む。
場合によっては、お代わりもする。

アメリカのレストランでは、コーヒーはお代わり自由だ。
何杯でも注いでくれる。
それで、価格は精々1ドル。
商談が長くなると、3,4杯なんてこともある。
ウエイトレスも、別に嫌な顔は見せない。
内心は知らないが、笑顔とともにお代わりを運んで来る。
2,30年前、「お代わり自由」の危機があった。
ブラジルで、コーヒーが凶作だった頃ではないか。
「お代わりは有料」
そう宣言した店が現れた。
追随する店も結構あり、新聞も騒ぎだした。

だが、結果は敗北。
半年足らずで旧に復した、ような記憶がある。
理由は、色々あっただろう。
先ず客の抵抗。
次いでチップに響くウエイター、ウエイトレスの反抗。
だが、決定的だったのは、追随者が少なすぎたこと。
コーヒーショップにとって、掻き入れ時は朝と昼。
客の回転で勝負している。
だから、客の不満には敏感だ。
「お代わり有料」が不評と見るや、
「当店は、コーヒーのお代わりは、『変らず』無料です」
そんな張り紙を、窓に貼る店も出現。
で、果敢な試みは、敢え無く潰えた。
それ以降、そういう試みは全く聞かない。

コーヒーは、全世界的に飲まれている。
だが飲み方は、さまざまのようだ。
アメリカ式の「薄いコーヒー」は、主力ではないようだ。
少なくとも、北アメリカと日本でしかお目にかかったことはない。
例えばブラジル。
コーヒーの大産地であるこの国では、カフェジーニョが普通。
小さなデミタスカップに、濃く淹れたコーヒー。
砂糖を一匙で、充分甘い。
それが、朝の仕事前の食事代わり。
イタリア、スペイン辺りも、ほぼ同じ。

南米チリでは、インスタントコーヒーが主役だ。
レストランでコーヒーを頼む。
運ばれて来るのは、インスタントコーヒーにお湯を注いだもの。
砂糖の横には、粉ミルク。
僅かの例外はあるかも知れないが、殆どがこれ。
で、国境を越えてアルゼンチン。
この国は、コーヒーをきちんと淹れる。
間違っても、レストランでインスタントは出て来ない。
傍目には似た国に見えるが、内実は随分違っている。
「ブェノスアイレス(アルゼンチンの首都)は、サンチャゴ(チリの首都)よりずっと近代的だね」
と、ブェノスアイレスで口走ったら、
「頼むから、比べたりしないでくれ」
アルゼンチンの男に、嫌な顔をされた。

しかし、昔の日本のコーヒーは、何故あんなに高かったのだろう。
ビジネス街の昼飯時。
サラリーマンたちは、食事の後申し合わせたように喫茶店に行く。
昼飯が500円で、コーヒーは300円から400円。
今でも似たようなものだろう。
それでいて、お代わりは無し。
アメリカの友人と一緒に、日本に行ったことがある。
喫茶店でコーヒーを飲む。
「旨い。」
彼は、気に入ったらしい。
「お代わりを貰えないか?」
「良いよ。ただし又500円だよ。」
彼は、目を丸くして手を振った。

コーヒーと並ぶ飲料と言えば、紅茶になる。
18世紀までは、紅茶が西欧人の飲物だった。
そしてそれは、東インド会社を持つイギリスの独占市場。
優雅なアフタヌーンティは、イギリス上流社会で育った。
それが、何時コーヒーに王座を奪われたか。

1773年12月16日。
所謂、「ボストン茶会事件」が起こる。
ボストン港に停泊中の貨物船は、イギリスからの紅茶を満載していた。
その船を、インディアンに紛争した50人ほどの男が襲撃。
342箱の紅茶を海に投げ込んだ。
昔、世界史の授業でおなじみのお話。
この事件の発端は、イギリスが紅茶にかけた重税。
そして、その結果はアメリカ人の紅茶離れであり、次いでは独立戦争である。
この頃飲み始められていたコーヒーは、爆発的なブームになる。
つまり、イギリスはアメリカという紅茶の大市場と、豊かな植民地をほぼ同時に失ったわけだ。

私は、あまりコーヒーは飲まない。
以前は、何杯も飲んでいた記憶があるのだが。
それも、ミルクと砂糖を入れた奴。
そのうちミルクだけになった。
そして、ミルクも止めてブラックへ。
そして、1日に1杯。
以前は必ず飲んだコーヒーだが、今は飲まなくてもどうということはない。

アメリカは、益々コーヒーブームだ。
例の「スターバックス」という、コーヒーチェーン。
シアトルからスタートして、文字通りアメリカ中を席巻した。
ニューヨークでも、ご多聞に漏れず。
前からあったコーヒーショップチェーンも併呑して、向かうところ敵無し。
今や、日本はおろか中国にも店がある。
かの国では、
「スターバックスでコーヒー1杯に払う金で、家族4人が1日暮らせる」
そうだが。

このスターバックス、とにかく矢鱈と品数がある。
大中小は言うに及ばず、
「アイスカプチーノXXX入り」 (XXXは私には意味不明)。
「フラプチーノ XXX入り」 (最初から理解できず)。
創業当時、2ドル前後のコーヒーが主力商品だったが、今は様相を異にする。
「XXXXXXXXXXX (全く不明)」の飲物とスナックひとかけらで、10ドル近い。
相も変らず、
「Tall Coffee (普通のアメリカンの小)」
これしか頼まない私は、自分が異邦人のようにすら感じる。

が、このスターバックスが歯が立たない相手が、すぐお隣りのカナダにある。
「Tim Horton (ティム. ホートン)」
往年のアイスホッケーの名選手の、名前そのままが店名。
彼が、1964年にこの店を創業。
ホートンは1974年に自動車事故で世を去るが、店は延び続ける。
現在、カナダとアメリカで3,000を越す店舗を持つ。
間もなく4,000にも達すると言う。
アメリカとカナダの人口を比較したら、これは桁外れの数字だ。
アメリカ3億対カナダ4千万人。

このティム.ホートンには、「マクドナルド」も顔色無い。
なんせ、カナダの菓子.パンの70%を、このチェーンが押えている。
「スターバックスが来たって、誰も行かないよ」
ニューファンドランドの男は、そう言う。
「カナダ人の朝は、ティム.ホートンのコーヒーで始まる」
確かに、それを信じたくなるほど、どのティム.ホートンも客で溢れている。

ティム.ホートンがスターバックスの侵入を許さない理由。
何となく分かる気もする。
アメリカの陰で、目立たないカナダ。
ややもすれば属国扱い。
同様に属国扱いされている東洋の島国とは異なり、カナダは文字通り隣国。
文化の混肴も激しい。
と言うより、大きな違いを見つける方が難しいほどだ。

属国扱いに甘んじているように見えても、時には意地も見せる。
アメリカのイラク進攻には、正面切って反対した。
ただ、アメリカ国内でそれ程話題にされないのが、癪と言えば言えるかも知れない。
「また、カナダの小僧が何か言ってるな…」
なんとなく、兄弟喧嘩のような、親子喧嘩のような。

スターバックスも、現在はカナダに積極的ではないようだ。
難攻不落、と思っているのかどうか。
が、なんせ全世界で40,000店が目標、と豪語しているくらいだ。
再度攻め入るか、返り討ちにあうか。
他人事ながら、興味深々。
日本のドトールも、興味があるだろう、ね。

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