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マンハッタンのジムを辞めて2ヶ月。
「還暦スィマー」はちゃんと泳いでいる。
今は、自宅のあるアパートのプール専門。
が、このジム、現在補修中である。
この修理は、なかなか大掛かりなものらしい。
トレーニングルームをはじめ、ロッカーもシャワー、サウナ、スチームバス、全て閉鎖している。
つまり、まともに利用できるのはプールだけ。
脱衣場代わりのテントが2つ、男性用と女性用が、プールの両側に張られている。
その中で水着に着替えて、これまたプールサイドに置かれたロッカーを使う。
バリアーフリーの通路も塞がれたので、来られないメンバーもいるようだ。
いつも見ていた顔が、幾つか欠けている。
年配が年配だけに、通路が理由で来ないのか、それとも…。
いらぬ心配をしてしまう。
ジムが使えないからプールに来るか、と言うとそうでもないらしい。
相変わらず、いつも空いている。
まあ、お陰でのんびり泳げる訳だが。
以前の通路が塞がれたので、現在は臨時のルートを通っている。
ロッカーに行かずに、ビリヤード室、遊戯ルームを次々に抜けて行くことになる。
ビリヤード室はいつも閑散としているが、遊戯ルームは結構賑やかだ。
ブリッジ、ジンなどのカードゲーム。
英語のスペルで遊ぶ、スクラッブル。
さらには、マージャンまである。
マージャンをしているのは、かなり年配の女性が多い。
70代、80代というところか。
マージャンというゲームは、中国から日本にやって来た。
明治初期という説もあり、また後期説もあり定かではない。
しかしそれより先にアメリカに渡っていたのは、間違いないようだ。
日本ではギャンブルとして開花し、アメリカでは社交のゲームとして主にユダヤ系の人たちに愛好されたらしい。
おそらく此処でマージャンを楽しんでいる老婦人たちも、ユダヤ系なのだろう。
立ち止まってゲーム振りを見てみたいが、胡散臭い目で見られ敢え無く退散。
通路は、更にレストランに入り込む。
我々は滅多に利用しないが、このレストラン、年配の人たちには結構人気がある。
まあ、歩いて行けて、知己にも会える。
そこら辺が理由だろう。
レストランからは、プール全体が見渡せる。
飯を食いながら、颯爽と泳ぐスィマーが見られる訳だ。
逆に、浮いているのか沈みかけているのか分からない物体を見ることもしばしば。
そのレストランから、プールに降りる階段へのドアがある。
階段を降り立ったところに、男性用の仮の更衣室、テントがある。
このプール専門になって、幾つか変化が生まれた。
わざわざ行く訳ではないから、有難味が薄れる。
マンハッタンの時には、
「行くからには、泳ぐぞ!」
という、意気込みのようなものを感じていた。
今は、それは全く無い。
「まあ、泳げたら泳ぐし、疲れたら止めるさ」
悪く言えば投げやり、よく言えば融通無碍な心境。
泳ぎ始めても、今ひとつシャキッとしない。
水温がやや高いのも影響しているのか。
プールというより、温泉場の大浴場で泳いでいるような心地がする。
小学校の夏の、蓼科温泉を思い出した。
いかんいかん。
もっと真面目に泳がなければ。
このところ、こんな水泳の日々を繰り返している。
ニューヨーク.ヤンキースの地区優勝は、絶望的になって来た。
数字的には、不可能ではない。
首位のボストン.レッドソックスとは12ゲーム半。
残りは未だ110試合もある。
1978年には、7月の14ゲーム半をひっくり返した経験がある。
その時の相手も、レッドソックス。
だが、条件が随分異なっている。
先ず、ヤンキースは投手陣が壊滅的だ。
問題児カール.パバーノは、筋を繋ぎ替える手術を受ける。
再び投げられるまで、最低12ヶ月。
場合によっては16ヶ月かかる。
かれの契約は、来年一杯。
つまり、彼のヤンキースのユニフォーム姿を見る可能性は、限りなくゼロに近い。
4年間で6勝。
1勝6.5ミリオン(7.8億円)。
ベテランのマイク.ムッシーナが、立ち直れない。
2勝3敗、防御率5.86。
「Washed up (限界)」
半ば公然と囁かれている。
そして、昨年19勝の王建民。
昨日のゲームでは、辛うじて勝利投手になったが、4勝4敗防御率4.14。
到底エースとは呼べない。
つまりヤンキースには、奇蹟の逆転に必要な投手がいない、ということ。
ロジャー(ロケット)クレメンスが戻って来るが、ボストンと互角に勝負するには、駒不足。
シリング、ベケット、松坂と並ぶレッドソックスの投手陣は、現在無敵に近い。
加えて、ナックルのウエイクフィールド、中継ぎの岡島、押えのペィプルボン。
歯車が、きっちりと噛み合っている。
こういうチームは、簡単には崩れない。
さらにヤンキースは、自慢の打撃陣もおかしい。
3割を越えているのは、ポサダ、ジーターの二人だけ。
そのどちらも所謂「クリーンアップ」ではない。
それは本来、右翼のアブレイユ、三塁のロドリゲス、指名打者のジアンビの筈だった。
ジアンビは足の故障で戦線離脱。
場合によっては、今期絶望とも言われている。
アブレイユは、年齢から来る衰えを指摘されている。
唯一頑張っているのがA-ロッドことアレックス.ロドリゲスだが…。
4月の大活躍が嘘のように静かだ。
その上、女性スキャンダルが大きく報じられ、ファンの興味は専らそちらへ。
ここで、当然奮起すべき選手の一人が、我らが松井秀喜なのだが。
途中故障で休んだとは言え、5本塁打は寂しすぎる。
そして相変わらず、2塁ゴロ、投手ゴロの連発。
好調時の両翼線すれすれの2塁打も、あまり見られない。
トーレ監督は、彼をずっと3番打者に起用しているが。
大リーグの3番打者は、ある意味最強打者でもある。
もしくは、「もっとも頼りになる打者」とも言われる。
ベーブ.ルースやミッキー.マントルは、常時3番を打っていた。
現在最高の打者と目される、カージナルスのアルバート.プホルス。
彼の打順も3番。
エンジェルスのゲレロ、オリオールズのテハダ、レッズのグリフィー。
枚挙に暇がない。
で、松井だが…。
ここで奮起出来なければ、彼の前途は明るくない。
「まあ、残念でしたね。また明日頑張ります」
このセリフも、度重なれば 「トホホ」 としか聞こえない。
このまま行けば、トーレは7月頃解雇されることになるだろう。
松井は、最大の理解者、擁護者を失うことになる。
真価を問われているのは、まさに今なのだが。
分かっているのかなぁ。
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