還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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アメリカのコネティカット州に、こぢんまりした大学がある。
名を「キニピアックユニヴァーシティ」と呼ぶ。
この一体に住んでいた、インディアンの部族の名を冠している。
「小ぢんまりした」と言っても、学生総数は8,400人。
アメリカらしく、広大なキャンパスが広がっている。
見たところ、何処にでもある地方の大学。
だが、この大学はかなり世に知られている。
と言っても、ハーヴァードやイエールのように学術のトップクラスという訳ではない。
ノートルダムやフロリダ大学のような、スポーツ有名大学とも違う。

この「キニピアック大学」を有名にしたのは、「Poll (世論調査)」。
選挙近くになると、日本でも喧しくなる「投票動向調査」も含まれる。
「大統領支持率」「政党支持率」「大統領職責満足率」、いろいろある。
この大学にある「Poll institute (世論研究所)」が、この調査機関。
1988年に創設されたというから、それほどの歴史はない。
だが、今ではワシントンポスト、ニューヨークタイムス、ロイターはじめ多くのマスコミが顧客になっている。
勿論他にも幾つかの世論調査機関があり、しのぎを削っていると言う。
しかし、キニピアック大学の信頼度は、その中でもトップクラス。
顧客が増えれば、大学もこの研究所に予算を割いて力を入れるのは道理。
世間に知られれば、優秀な学生を集めるのにも役立つ。
相乗効果も相俟って、研究所の設備やスタッフの顔触れは更に優秀になる。

日本にも、「世論調査」をする機関は幾つもある。
「政党支持率」「内閣の信頼度調査」「選挙の予測」「政策への支持度合い」…。
各機関が行い発表する調査結果は、残念ながら信頼しづらいものばかり。
「産経ならこうなるだろうな」「朝日だったら、こんな数字が出るだろう」「読売ならXXに有利だ」
誰もが予想するような結果が、ちゃんと紙面を飾るから可笑しい。
だから誰も世論調査の結果を、本気で捉えない。
各新聞社、テレビ局の思惑が、そのまま結果に反映されている。
「いやそんなことはありません、ちゃんと真面目に調査しています」
問われれば、各媒体はそう答えるだろう。
だが、やはり誰も信じない。

アメリカのマスコミは選挙に際して、自社の旗幟を鮮明にすることが多い。
「共和党」か「民主党」か。
「オバマ」か、「ロムニー」か。
支持する政党や候補者を、読者に知らせることが一般的。
支持がはっきりしていれば、「世論調査」は色眼鏡で見られること必定。
で、キニピアックの「世論調査」が必要になってくるわけだ。
信頼度の高い、中立の調査機関のレポートであれば、読者は信頼して受け入れる。
2010年の中間選挙で、キニピアックの調査は2%の誤差という結果を出した。
そして他の調査機関を抑えて、もっとも信頼度が高い、という評価を受けた。

ギャロップという、世論調査専門の会社がある。
1935年創業だから、老舗だ。
世界27カ国に事務所を持ち、毎日平均1,000のインタビューを施行していると言う。
ギャロップの「世論調査」は、キニピアックより遥かに幅広い。
大統領選挙は勿論手がけるが、それ以外の分野でも多くの調査を続けている。
「もっとも尊敬される人物 男女別」「歴代大統領任期中の信頼度」などは有名。
それ以外でも、政治や経済でも様々な調査を行っている。
言うなれば、「世論調査のデパート」のようなもの。
調査結果を買うマスコミも、世界各国が相手だ。

比較するとキニピアックは、「専門店」タイプと言おうか。
アメリカ国内の、割合限定された範囲を得意分野にしている。
地方大学だから、調査はほとんど電話で行う。
常時160の電話ブースに、担当の学生やOBが詰めている。
選挙ともなれば、この全てがフル稼働。
電話調査の後の、分析や解説に徹夜は当たり前だとか。

「世論調査」に大事なのは、調査機関の中立性と透明性。
つまり、調査を読む一般大衆からの信用が全てなのだ。
その点、大学という看板は信頼を得やすい。
そして不要な疑惑を招かないために、寄付を受ける先も厳しく調査し限定している。
一地方大学だったキニピアックにとって、「世論調査」は今では大学を支える大きな柱とも言える。

今の日本には、誰もが信用する「調査機関」はゼロに等しい。
NHKはある程度の信頼を受けているようだが、会長は時の政府が任命するに等しい。
政治から、全く無縁でいられるわけではない。
他の新聞やテレビに至っては、広告が大きな部分を占めている。
広告主の意向を無視することは、絶対不可能と言って良い。
中立性や透明性に於いて、甚だ疑問点が多い。
結果が恣意的になることは、避けられないのではなかろうか。

私は、何処かの大学が「世論調査」の研究機関を持つことは、一つのアイデアだと考えている。
東大や早稲田、慶応のような、政治家を輩出している大学は向いていない。
手垢がついてしまっている、とも言える。
できるだけ新興の、小ぢんまりした大学が好適だ。
宗教に立脚している学校も、あまり相応しくないだろう。
郊外にキャンパスを持つ、文科系の共学校。
キニピアックに留学生を送り込めば、3,4年後にはそこそこのノウハウを得た学生が戻って来る。
準備期間を経て、10年後くらいにはスタート出来る。
着実に真面目にやっていれば、大学の評価を上げることにも役立つこと請け合い。

何処か手を挙げないかな。

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