還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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ニューヨーク.ヤンキースの2012年のシーズンは終った。
ワールドシリーズの前哨戦、アメリカンリーグの選手権試合でデトロイト.タイガースに敗れた。
それも0勝4敗という、かなり屈辱的なもの。
不振を極めた打線は、打率1割8分8厘という歴史的な低打率。
年俸30ミリオンのアレックス.ロドリゲスは.111で打点ゼロ、しかも2試合はスタメン落ち。
23ミリオンのテシェィラは.200で打点ゼロ、14ミリオンのカノは.056そして打点これまたゼロ。
それぞれ10ミリオンを貰っているグランダーソンとスイッシャーは、.000と.250という結果。
合計87ミリオンで、ヒット8本打点1という目を覆いたくなるような惨状。
まあ勝てる方がおかしい、と誰でも思うだろう。
3連敗で迎えた第4戦目、ヤンキースは最早気力さえ失っているように見える。
敗戦が決まり、ダッグアウトに引き上げる選手たちを見て、「一時代の終焉」を私は感じた。

ヤンキースの凋落は、「平家物語」の冒頭部分そのまま。
「 沙羅双樹の花の色 盛者必衰のことわりを顕す 奢れるもの久しからず ただ春の夜の夢のごとし    猛き人も終には滅びぬ     ひとえに風の前の塵に同じ 」
金に飽かせて好投手強打者を集め黄金時代を築いたのは、今は亡き「ボス」ことジョージ.スタインブレナー。
各チームの平均年俸総額が1千万ドルにも行かない頃、2千万ドルを越えるサラリーを払っていた。
それでもその強引な経営方式で、プレーオフの常連ではあった。
そのスタインブレナーが第一線から退いた2009年、ヤンキースはワールドシリーズを勝ち取った。
松井秀喜の大活躍は、日本人ファンなら忘れられない。
だが、それが「終わりの始まり」ということに、誰か気づいていただろうか。

ジョージ.スタインブレナーは、アクの強いオーナーであり、専制君主でもあった。
29年間で22人の監督を雇ったのだが、ビリー.マーチンは5度雇われ5度馘首されている。
高給取りの選手を雇うが、結果の追求も厳しい。
プレーオフで粗末な数字を残したデイブ.ウインフィールドは、「Mr. May(五月の男)」と呼ばれた。
ワールドシリーズで大活躍したレジー.ジャクソンの渾名、「Mr. October(10月の男)」から来た皮肉。
ベースカバーを怠った伊良部は、「Fat toad (太った蝦蟇)」とこき下ろされた。
とに角我儘で我慢がなかったが、「勝ちたい」という情熱は人一倍だったようだ。
実際、勝つための布石は至るところに置かれている。
良い選手を追いかけながらも、マイナーリーグの充実にも力を注いでいる。
もっとも、そこで育った多くの好選手は、強打者や好投手とのトレードに使われはしたが。

「Core 4」若しくは「Core 5」と呼ばれる選手たちがいる。
バーニー.ウイリアムス、アンディ.ペティット、デレク.ジーター、ホルヘ.ポサダそしてマリアノ.リベラ。
ヤンキースのマイナーから生まれた、生粋のヤンキースたち。
この5人が、黄金時代の「Core(核)」となった。
個性の強い実績のある選手がトレードで来ても、チームに波風は立たない。
同じく実績のあるこの5人が、先頭に立って練習に打ち込むからだ。
スタインブレナーは、この5人を特に可愛がったと言われる。
中でも主将のジーターは、大のお気に入り。
二人が出たコマーシャルがある。
― 遊びが過ぎると言われるジーターを、「ボス」が社長室に呼びつける。
   説教中にジーターに電話がかかって来る。 楽しそうに女友達と話すジーターを睨むボス。
   スタインブレナーのカミナリにもめげず、ジーターは彼を夜の街に連れ出す。
   ナイトクラブで、楽しそうに笑い興じるジーター。
   最後は、スタインブレナーも混じって若い女性たちと一緒に遊び始める。−
スタインブレナーは幾つかコマーシャルに出ているが、これは傑作のひとつ。

監督を幾度か勤めたビリー.マーチンともコマーシャルに出ている。
これは多分3度目のクビの後、4度目の復帰を果たした頃だろうか。
― ビリー.マーチンとボスが、何か言い合いをしている。
   最初は大人しく自説を述べあっているが、次第に興奮して来る。
   立ち上がって、掴みかからんばかりの二人。
   ボスが怒鳴る。
   「Billy, you are fired!(ビリー、お前はクビだ)」
   ビリー.マーチンが、怒鳴り返す。
   「Oh,no. Not again. (俺はもうクビになってるぜ)」 
焦ったボスは、
   「Oh, you are hired.(お前は又雇われたぞ)」  −
アメリカだから出来るコマーシャルだが、見た当時は驚いた。
日本なら、考えることも出来ない。
これもスタインブレナーが、ヤンキースのファンサービスと考えて出演したのだそうだ。

「Core 5」も永遠には続かない。
バーニー.ウイリアムスが引退、ポサダも続く。
41歳のマリアノ.リベラはまだ現役だが、今季は故障で棒に振った。
来季については、まだ分からない。
一人ジーターが、1,2年間の不振が嘘のように、健棒を振るっている。
とは言え、彼も38歳。
つまり、「Core 5」の衰退が、ヤンキースの凋落の始まりとも言える。

ヤンキースはスタインブレナーの二人の息子、ハルとハンクが共同オーナーとして運営している。
42歳のハルがオーナーで、55歳のハンクはパートナーという役回り。
一見上手く廻っているように見えるが、内実はどうなのか。
ハルは以前、「野球に興味はない」と広言していた。
兄のハンクは、スタインブレナー家の事業に一つ、「競馬馬育成」に長く携わって来ている。
つまり、二人とも野球では門外漢に近い存在だった。
実は、スタインブレナーの後継者は他にいた。
スティーブ.スウィンダル、ボスの娘ジェニファーの夫。
2005年、スタインブレナーはスィンダルを、ヤンキースの次期オーナーに指名。
だが、2年後スウィンダルは、酒酔い運転で逮捕される。
そして、妻は離婚訴訟を起こし、彼のヤンキースとの繋がりは立たれてしまう。
突然後継者がいなくなったスタインブレナーは、二人の息子を正式の役員に任命。
つまり、二人は既定の路線から外れてヤンキースにやって来たわけだ。
「世襲」と言っても、あながち間違いではないだろう。

メジャーリーグのオーナーたちは、日本のような「雇われ」ではない。
皆、自分の金で球団を運営している。
となれば「世襲」が多そうだが、実はそれほどでもない。
息子たちは、球団を売っ払って大金を貰い別の世界へ行く。
大して好きでもない野球で苦労する気はない、ということ。
だから今でも家族が運営している球団は、数えるほどだ。
それに組織が大きくなった現代では、チームを束ねて行くのはそう簡単ではない。
「野球が好き」、という情熱と、「勝ちたい」という意欲が不可欠。

「世襲」と言えば、「日本の政治社会」がすぐ浮かぶ。
父親が拵えた地盤に乗って、政治家になる子供たち。
大した決意も情熱もないから、常に右顧左眄。
スケールはどんどん小さくなって行く。
操る官僚にとって、こんな有難い存在はない。
日本政治の、混乱の元凶のようなものだろう。
くるくる変わる政治体制に、迷惑するのは国民と相場は決まっている。

ヤンキースの未来も、決して明るくない。
「アメリカで最も成功したスポーツフランチャイズ」と言われ、現在価格は1.2ビリオンを越える。
日本円なら、約1千億円ということになる。
超大とは言わないが、大企業であることは間違いない。
あまり経験もなく父親のカリスマ性にも乏しく、情熱も怪しい2人の兄弟が纏め切れるのか。
売りに出れば、「買いたい」という声はあちこちから挙がるのは確かだろう。
売られるのも、時間の問題とも思える。

まあ、売られてもニューヨークにいることは間違いないから、ファンは別に困らないけれど。

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