還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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「児童20人、学校関係者6人、犯人の母親および犯人自身、計28名」
これが12月14日、コネチカット州サンディフックのニュータウンで起こった事件の死亡者。
「又か」、というのが最初に浮かんだ思いだった。
誰にも理解出来ない理由で、郊外の小学校に乱入し銃を乱射する。
6歳7歳の児童を撃ち殺し、守ろうとした校長はじめ職員たちも標的にしたという。
犯人は、最後には自分に銃を向けたから、真相は永遠に葬られてしまった。
出来ることは、種々の資料から「推察」することしかない。
つまり、「何も分からない」という結論が先ず想起されているわけだ。

銃による大量殺人は、今やアメリカの独壇場だ。
先ごろノルウエーであった77人殺傷は、数字上では他の追随を許さないかも知れない。
だが、この事件は政治的な背景のあるテロ行為であって、単純な「大量殺人」とは趣を異にする。
「理由がはっきりしない大量殺戮」に関しては、アメリカの「世界一」は間違いない。
そして、それは「たまたま」というより、「周期的」に起こっている。
記憶に新しいところでは、20007年のバージニア工科大学の32人射殺事件がある。
韓国籍の大学生が、校内で無差別に学生を撃ち殺した。
これも本人が自殺したため、動機その他は解明出来ていない。

今回の事件で、オバマ大統領は「何らかの行動が必要」とスピーチした。
だが決して「銃規制」とは言わない。
「銃による殺人」の数字では、最早比べられる国は存在しないにも拘わ14らず。
アメリカの憲法が、「銃の保持」を認めていることが問題だという。
勿論圧力団体である、「NRA − National Rifle Association (全米ライフル協会)」の存在もある。
「NRA」は共和党寄りの団体だが、民主党にも隠然たる影響力を持つ。
銃による大量殺人が起こるたびに、この団体はクローズアップされて来た。
「銃規制」を求める声は、しかし「NRA」までは届かなかったようだ。
と言うより、そもそも彼らが「銃規制」運動など、歯牙にもかけていない。
「銃は、憲法で保証されたアメリカ市民の権利」
その一言で、運動はいつも葬り去られて来ている。

しかし、国民の大部分がそれを望むなら「銃規制」は、決して不可能ではない。
それが成立しないのは、国民の心の中に「銃」を必要とする心理があるからではないか。
それは、アメリカの歴史と宗教に根ざしているように、私には思える。
新大陸アメリカに渡ってきた人々は、先ず自分の土地を得なければならなかった。
何が待ち構えているか分からない未開の地で、頼れるのは武器だけ。
野生動物から身を守り、インディアンの攻撃に備えるのは「銃」以外にない。
新天地を求め、金鉱を探して西へ向かう時、人は必ず銃を携えていただろう。
アメリカの田舎を車で走っていると、ポツンポツンと家が建っている。
家と家は、時には100m離れ、時には500m、いやもっと離れているかも知れない。
そんな家に住んでいる時、人は何を頼りにしているだろうか。
壁の一丁のライフル、抽出しの一丁のピストルが、ささやかな安心感をもたらすこともあろう。
それは、我々日本人には推し測れない荒野の生活なのだ。
安全に慣らされた日本とは、比較も出来ない。

陽気で快活なアメリカ人だが、彼らにも心の奥の「罪の意識」はある。
一方的な理屈で追い払ってきた、アメリカンインディアンたち。
アフリカで捕らえて、奴隷として有無を言わせず運んで来た多くの黒人。
今政府は、アメリカンインディアンには「居留地」を与え、少なからぬ金を払い続けている。
黒人に自由を与えはしたが、差別故に起こる事件は常に物議を醸す。
未だに多くの黒人家族に、生活保護を唯々諾々と受給させているという事実。
それは、彼らの「罪の意識」から来る「贖罪」の象徴といえるだろう。
その「罪の意識」が、彼らの微かな恐怖の源にもなっている。
犯してきた「罪」に対する「復讐」、という懼れ。
だから、アメリカ人は「自己防衛」を無意識に心がけているのではないか。
一丁のライフルや拳銃が、ささやかな「金で購える安心」を象徴しているように思う。
同様に銃の売買や所持が自由なカナダでは、銃犯罪の発生率はアメリカより遥かに低い。
その事実が、何よりの証明ではないだろうか。

今回の犯人の使用した銃は、拳銃が2挺とライフルが1挺。
その全ては、真っ先に殺された彼の母親が求めたものだという。
その全てに、所持許可証が発行されている。
実際には、もっと銃はあったらしい。
「防衛用の銃」がそんなに必要かどうか、私には分からない。
主に使われたと思われるライフルは、「Bushmaster .223 ブッシュマスター 0.223口径」。
軽く持ち運びに便利で、1度に30発の弾丸を装填できるという。
犯人は、100発近くの銃弾を発射したと見られている。
殺された20人の児童のほとんどが、複数の弾丸を受けていた。
年端もいかぬ幼い子供相手に、そこまでしなければならなかったのは何故だろうか。
犯人が死んだ今では、謎のまま残されることになるのだろう。

オバマ大統領は、「銃規制」に関しては口を噤んだままだ。
だが現時点では、それを求める声は常より高い。
ひょっとすると、幾らかの進歩が期待出来るかも知れない。
だが、すでに3億挺の銃がアメリカ国内で所持されているそうだ。
製造を規制しても、銃の恐怖が無くなるには数十年以上はかかるだろう。
それまでに、この悲劇は幾度か繰り返されるわけだ。

犯人が乱入して銃を撃ち始めた時、他の教室では異常事態を察知している。
若い女性の担任は、子供たちを便所に避難させて入り口に戸棚を積み上げていた。
彼女はゆっくりと子供たちに、
「心配は要らないのよ、ただ静かにしていてね」
そう語りかけて、じっと閉じ篭っていたという。
騒ぎが収まって警官がドアをノックした時、彼女はドアを開けていない。
「犯人が警官を装って来たのかも知れない」
その恐怖の方が大きかったと語っている。
「バッジを見せて頂戴」
求めに応じて、警官は彼のバッジをドアの下から滑り込ませた。
そのバッジを確認し、教師はドアを開けたという。
想像も出来ない、緊迫感を感じさせる。

2007年のバージニア工科大学の事件で、「銃規制」の声は一瞬大きくなり、やがてしぼんだ。
今回の事件で、事態はどう動くのだろうか。
大きな期待は出来そうにない、と誰もが思っている。
だが、少なくとも「自衛用」の重火器を複数所持するというおろかな許可は、願い下げにして欲しい。
それがぎりぎり最低の、前進ではないだろうか。
アメリカが文明国であり続けようと、考えるのであれば。

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