還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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アメリカで起こる、「銃による事件」は凶悪犯罪ばかりではない。
プロアメリカンフットボールの選手が、女友達を撃ち殺して自殺した。
「女友達」というが、子供もいて同居していたのだから、夫婦同然ということになる。
生後数ヶ月の幼児が、死んだ女性の両親に残されたそうだ。
理由はまだ発表されていないが、そんなに複雑なものではないと思われる。
頭に血がのぼって拳銃を取り出して、撃ってしまったということだろう。
そして自分のやったことに気づいて、自殺に及んだというところか。

日曜日は、「フットボールサンデー」と呼ばれる。
プロフットボールは、若干の例外を除きほとんどこの日に試合を行う。
ボブ.コスタスという人気スポーツ評論家が、彼の番組で語り始めた。
「若し『銃』がなかったら、ジョヴァン.ベルチャーと彼のガールフレンドは、死んでいないだろう」
ジョヴァン.ベルチャーが、自殺したアメリカンフットボールの選手。
「今こそ我々は、「銃規制」について語り合うべきではないか」
彼の発言は、結構大きな話題になる。
「ボブ.コスタスが「銃規制」について語るのは結構だ」
「だが、視聴者はフットボールの試合を観るために、チャンネルを合わせている」
「その人々に彼の考えを押し付けるのは、かなり馬鹿げた行動だ」
と、他局のスポーツ評論家は、コスタスを批判した。

今はツイッターの全盛期。
「O. J. シンプソンに銃がなければ、あの二人は今でも生きていただろう」
と有名なフットボール選手の事件を持ち出す者もいれば、
「コスタスは良く言ってくれた」
「この機会に、アメリカ中で『銃規制』の論争を巻き起こそう」
熱気溢れるツイートを送る者も現れた。

大量殺人などが起こると、必ず「銃規制」を求める運動が出て来る。
その都度、大統領などは「重大な懸念」を表明するが、それでおしまい。
ジョン.ケネディが暗殺され、弟のロバート.ケネディも銃の犠牲になった。
ロナルド.レーガンも襲われ、彼の側近が半身不随の重傷を負った。
ジョン.レノンが狂信的なファンに狙撃され、命を落とす。
銃による大量殺戮は、数年に一度は起こっている。
だが、「銃規制」は決して議会で可決されない。

日本は、世界に冠たる『銃規制』に成功している国だ。
まあ、もともと一般庶民は「武器」に縁が深くない。
豊臣秀吉は「刀狩」を行ったが、それ以前だって百姓たちは武器などを手にすることは少なかった。
「戦いは侍のするもの」という思想は、かなり浸透していたのではないだろうか。
明治時代には、ピストルの新聞広告があったという。
つまり誰でも金さえ出せば拳銃が買えたのだが、手にしたのはごく一部の人だけ。
第二次大戦以降は、「銃刀剣取締法」が出来て、一般人の銃所有は犯罪になった。
戦争経験がある人はほとんどいなくなった今日現在、銃を触った人は稀でしかない。
趣味で猟をする人、クレー射撃をする人、どちらもほんの一握りだろう。
つまりわざわざ規制しなくても、そもそも下地がないのだ。
現在拳銃を持っているのは警察官か自衛官、若しくは犯罪組織の人間だけ。
島国という特殊事情があるにせよ、誇っても良いかも知れない。

世界的に見ても、「銃の所持」には様々な規制を設けている国は多い。
イギリスは日本同様、所持には厳しい法律があるが、猟銃所持が多いため銃犯罪は日本の4倍。
その他の国でも、一般市民への規制は厳しいが、民間会社の警備員には認めている例がかなりある。
それでもアメリカのような「銃器天国」は、先進国では珍しいと言えるのではないか。
州によって随分異なるが、厳しい州はほんの一握り。
民主党が強い、大都市圏に限られている。
スーパーで身分証明書も見せずに買える州もある、というから驚く。
国全体に、一体何百万何千万の銃があるのか。
いや、億にまで達しているかも知れない。
私が知っている男は、個人で10挺以上の拳銃やライフルを持っている。
猟目的ではない証拠に、自動小銃すら含まれている。
いやそういう私だって、2挺の銃を我が家に持っているのだ。
一つは旧日本軍の「三八式歩兵銃」で、もう一つはアメリカの「陸軍45式 ブロウニング」。
まあどちらも使える状態ではないが、と言って使えないわけではない。
日本であれば、立派な「銃器不法所持」に問われるだろう。

アメリカの野放し状態の銃に関して、他国からの非難は多い。
20年前、17歳の服部剛丈君がバトンルージュで射殺された。
過剰防衛とも思える、無抵抗な若者への一撃。
日本の世論は、「銃規制」を求めて盛り上がった。
だが、それでもアメリカの議会は動かなかった。
ある意味不可解とも言える、頑なさ。
それ以降だって、多くの銃による殺傷事件は発生している。
コロラド州コロンバインの高校での、生徒による襲撃で13人が死んだ。
5年前には、バージニア工業大学で32人が一人の学生に射殺されている。
それ以外でも、数人単位の銃撃は枚挙に暇がないくらい。

「銃を規制しても、犯罪はなくならない」
NRA(アメリカライフル協会)は、事件が起こる度に、そういい続けて来た。
確かに、犯罪を起こすのは人であって銃そのものではない。
だがそこに銃があれば、犯罪は容易になることも事実だ。
「銃を持つ権利は、憲法で保証されている」、ともいう。
確かに、アメリカの憲法にはそういう件がある。
が、憲法が出来た1800年頃は、未だ無人の土地を切り開いていた時代。
200年以上経った現在とは、全てが大きく変化している。

NRAは、議会のロビー活動に熱心だ。
公然たる、共和党の大スポンサーでもある。
そして共和党の支持者は、中部、中西部、南部に多い。
「強いアメリカ」を未だに信じている、と考えられている。
さらに、「自分は自分で守らなければいけない」、と思っている人の多い地域でもある。
弾を装填した銃が壁にかけてあり、夜間に不審な物音がすれば、素早く手にとって構えるだろう。
一番近い警察まで、車で1時間。
お隣さんまで、15分。
そういうところに、武器なしで住めるだろうか。
自分や家族を守るのは、銃しかない。
そう考えることを、非難出来るのだろうか。
大都市生活では考えられない、古いアメリカが現存しているのだ。

ボブ.コスタスの発言は、一石を投じたといえる。
だがその影響がどう広がって行くか、判断は難しい。
更に大きな論議を呼び起こすのか。
それとも、線香花火のように消えて行くのか。
そろそろ真剣に議論される時期だ、と思っている人は結構多いと思うのだが。

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