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ヒラリー.クリントンは、今年一杯で国務長官を退任する。
大統領にも勝る激務と言われる職務を、4年間勤め上げたのは立派という他はない。
女性としては3人目の国務長官だが、2期勤めた人はいない。
ヒラリーも、最初から1期だけのつもりだったろう。
華々しい成功はなかったようだが、大きな失敗もなかった。
複雑化した今の国際情勢では、派手な失敗や成功はそう頻繁には起こらない。
彼女の評価が定まるには、数年から十数年の時間が必要だろう。
「ヒラリーは4年後を狙っている」
大統領への再挑戦を予測する人もいないではないが、可能性は薄い。
その時ヒラリーは69歳になる。
小柄でスポーツウーマンでもない彼女に、大統領職に挑むエネルギーが残っているとは思えない。
最近急に太ったように見えるが、健康状態だって万全とは言えないのかも知れない。
だが、人は彼女の「行く先」には大きな興味を持っている。
なんせここ数年、「最も尊敬される女性」ナンバーワンの地位を維持しているのだ。
「出たがり」の彼女が、このままフェイドアウトして行くとは誰も思っていない。
では、彼女は何処へ向かうのか。
有力なのは、「イェール大学」の学長という地位。
彼女が修士課程を終えた大学であり、アイビーリーグの上位を占め全米でもトップクラス。
はっきり言って、それほどの激務でもなく社会的地位も高い。
この地位で人生を全う出来るとすれば、それはある意味理想的なラストステージだろう。
ただ、そこにはほとんど生臭さがない。
政治の世界の、切った張ったもないだろう。
今までのヒラリーの経歴から見ると、少々「退屈」な役職といえる。
そんな名誉職的な仕事は、5年後10年後でも出来ないことはない。
と、ヒラリーなら思うのではないか。
では、どんな仕事なら彼女は欣然と受けるのだろうか。
最早副大統領には興味もないだろうし、現在のバイデンが後4年は居座っている。
最高裁判事に就くには、年齢的に無理がありそうだ。
アメリカでは野球やフットボールのコミッショナーは、なかなか魅力のある仕事だ。
日本と違い、権限もあるし腕の振るいようも充分ある。
だがヒラリーがスポーツに興味がある、と聞いたことはない。
ミスマッチ、ということになる。
いま、ちょっとした噂が流れている。
「ヒラリーに『ニュ−ヨーク市長』になって欲しい」
酒場での与太話ではない。
そう言い出したのは、マイケル.ブルームバーグ。
現在の、ニューヨーク市長である。
彼は現在3期目を務めている。
本来は2期までしか認められていないのを、市議会で議決して1期延長した。
アメリカで10本の指に入る、超大金持ちの市長としても有名。
給料は1セントも受けていない。
悪く言えば、「趣味の市長」ということになるかも知れない。
彼は来年の9月で、3期目が終了する。
流石にそれ以上やる気はないようだ。
ニューヨーク市長は、アメリカでも別格の扱い。
予算も桁外れだし、権限も大きい。
常に世界の耳目を集めている点、「出たがり」には魅力的に映ること請け合い。
本来州知事は市長より格上であるはずだが、ニューヨークでは逆転しているようにさえ見える。
「世界の首都」を選ぶなら、堂々の1位にノミネートされるだろう。
2期は無理でも、1期4年なら可能性は充分。
実は既に、「ヒラリーは申し出を断った」という噂も出ている。
だが政治の世界では、1度や2度の「断り」は物の数ではない。
ブルームバーグだって、そう簡単には引き下がらないだろう。
彼の後釜は、広報担当のクリスティン.クインと目されて来た。
彼女は、ブルームバーグが3期目を目指した時、強力に後押しした実績がある。
ゲイであることを認め、今年女性と結婚したことも、現在ならある意味プラスではないか。
と、誰もが認める後継者を外すのは何故だろう。
「世界の首都であるニューヨークの市長には、それなりのビッグネームが必要だ」
半分は現職の自分礼賛に取られかねないが、一理はある。
ヒラリーが市長になれば、ニューヨークへの注目度はぐんと上がるだろう。
その後をクインにすれば、自分はキングメーカーとして影響力を維持出来る。
そう簡単ではないにしても、彼にとっては良いことづくめに見えないでもない。
果たして、ヒラリーはこの新しいチャレンジに向かうのか。
州知事夫人、大統領夫人、上院議員、国務長官。
浮気物の夫、ビルの影響を離れて既に2つの要職をこなして来た。
最後を飾る、「ニューヨーク市最大の実力者」の職に挑むかどうか。
来年は、何となく面白くなりそうな気配ではある。
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