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偶然だろうが、ニューヨークと東京は緯度が似通っている。
アメリカ北緯25度から50度の間に位置し、その緯度の中に日本がすっぽり入ってしまう。
ニューヨークは東京より更に北にあり、丁度青森と同じくらい。
夏は暑く冬は寒いところも共通している、と言えよう。
日本でテレビが夏の暑さを報じれば、数日後ニューヨークも暑くなる。
東京に「寒波襲来」を聞けば、その寒さはニューヨークにも訪れて来る。
「天気は西から東へ」と言われるが、身をもって実感出来るのが面白い。
気候が似ているから、子供の「夏休み」もほとんど同時期。
子供は嬉しいが、親は堪らない。
「不良化は夏休みから」
日本では昔はそう言われていたが、今はどうなのだろう。
まあ学校に行かず、仲間同士でうろうろしていればろくなことはないだろう。
州によって多少は異なるが、アメリカでも長い夏休みがある。
親の悩みは、この時期最高潮に達する。
「夏のキャンプ」という奴。
つまり子供がどう夏休みを過ごすか、ということ。
「家にいて、ごろごろしてるだけよ」
日本では、そういうケースが多い。
だがニューヨークでは、小学生にそれは許されない。
「12歳以下の子供又は子供たちを、大人不在の家に置いておくことは出来ない」
これは法律。
つまり両親が働いている場合、子供は何処かで大人の保護下にいなければならないのだ。
学齢前なら保育園だが、小学生はそうは行かない。
だから、アメリカには「サマーキャンプ」という商売がある。
資格のある大人が子供たちを預かり、一緒に過ごすというシステム。
金持ちの子はリゾート地に行き、泳いだり乗馬をしたりして共同生活を送る。
勿論無料ではない。
週500ドルから2000ドルなどという、豪華版もある。
そんな負担に耐えられない親は、「デイキャンプ」に子供を送る。
つまり、「日帰り」の共同生活。
スクールバスが迎えに来て、手近なスポーツ施設のようなところで一緒に遊ぶ。
夕方、再びバスで家まで送ってくれる。
これとて、そう安くはない。
昼食つきで、1日50〜80ドルくらいにはなってしまう。
5日間で、300ドル前後は飛んで行く。
勿論5日間では済まない。
少なくとも20日くらいは覚悟することになるし、子が二人ならその倍。
親も色々作戦を練る。
多いのは祖父母に預ける、という方法。
単独で日本に送ってしまう、なんて豪快な親もいる。
母親同士で預かりあう、というのもよくあるケース。
どうせお金を使うのだから、親も休みを取って旅行へ行く、という手も結構あるらしい。
だがいずれにせよ、親にとっては少なからぬ出費を覚悟させられることになる。
そんなお金はどうやっても出て来ない、という場合。
所謂ボランティアがやる、低価格若しくは無料のデイキャンプもある。
費用が限られているから、その場所まで親が連れて行かなくてはならない。
それでもほとんど無料だから、低所得層にとっては救いの神。
早めに家を出て子供を送り、また迎えに行く。
公共施設を使い、ボランティアの若者が結構一所懸命やってくれるらしい。
「12歳以下の子供又は子供たちを、大人の保護無しで家に置いてはいけない」
これは結構厳しい法律で、違反した親は手錠をかけられて警察に連行されることもあると言う。
こっそり置いて行っても、近所からの通報で警官がやって来る。
こういうところは、アメリカ人は厳しい。
普段笑顔で挨拶を交わす間柄でも、「おかしい」と感じたらすぐ通報すると言う。
様々な人種が生活しているアメリカらしい、ということだろう。
多少息が詰まるような気が、しないでもないが。
だがこういう制度、「日本なら要らない」、と言い切れなくなって来ている。
子供だけで留守番し、火事で焼死する事故を幾度か読み聞きした。
親が帰宅せず、餓死させたケース。
子供を車に残してパチンコに耽り、熱中症で死なせた事件。
法があれば防げた、とは言い切れないが抑止力はあるだろう。
まあ日本の政府の従来のやり方なら、10年先20年先のことになるか。
アメリカのサマーキャンプは民営がほとんど。
「金儲け」と言ってしまえばそれまでだが、なかなかアイデアマンが多いようだ。
とにかく子供を飽きさせず親を満足させる、という2つの命題を抱えている。
キャンプ中の子供の写真を撮りまくって、その晩親元にメールで送付。
子供の様子を、仔細に報告もする。
大事故でもあれば組織そのものが壊滅するから、安全面には最大の注意を払っている。
言うは易いが、実際やってみると大変だろうと思う。
それだけに、親も大枚を払って大事な子を預けるわけだ。
日本の学校制度は、大きな曲がり角に来ている。
入学は難しいが、卒業には甘い。
だから会社に入っても、直ぐには役に立たない。
「日本の学生より、外国の卒業生の方が、実戦向き」
そう公言する会社も少なくない。
一度諸外国の「夏休みの過ごし方」を、じっくり研究しては如何?
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