還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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「違反切符」あれこれ

私の住むアパートから2、3分ほどで、ハイウエイに入れる。
クリアビューエクスプレスウエイと呼び、主要な幹線道路に接続している3車線の道路。
マンハッタンやロングアイランド方面に行く時は、このハイウエイを利用する。
枝道からこのハイウエイに入って行くのだが、そこでポリスカー(パトカー)を見ることが多い。
ハイウエイの木の陰に、ひっそりと停まっている。
運転席では警官がスピードガンを構えて、通り過ぎる車の速度を計っているようだ。
言わば、獲物を待ち構える猛獣。
私はその車を左に見ながらハイウエイに合流するから、捕まったことはない。
(誰か捕まらないかな)
そういうささやかな期待を持ちながら、ゆっくり車を走らせる訳だ。

クリアビューエクスプレスウエイは、制限速度が50マイル。
65マイルまではぎりぎりセーフらしいから、それ以上の車が餌食になるのだろう。
この道は「Throgs Neck Bridge(スロッグスネックブリッジ)」と言う橋と繋がっている。
捕まる車は、その橋を渡り終えて「やれやれ」とアクセルを踏み込んだところで襲われることなる。
運が良いと、ポリスカーがサイレンを鳴らして追いかけるところを生で見るチャンスにありつく。
何時もこの場所に潜んでいるということは、此処はなかなかの「稼ぎどころ」のようだ。
最近スピード違反の罰金は大幅に上がっているそうだから、100ドル200ドルは取られるかも知れない。
捕まって道路脇に停車している車には、憮然とした表情の運転手が見られる。

私はもう随分長い間、ポリスカーに捕まっていない。
最後に切符を貰ったのは、15年以上前のこと。
考え事をしていて、赤信号を走り抜けてしまった。
そして丁度そこにポリスカーが居合わせたのだ。
まるで「待ちぼうけ」の歌のような、間抜けな違反。
切符を切りながら、警官が可笑しそうに笑っていたのを忘れない。
横に乗っていた家人に、それ以降随分嫌味を言われた。
別にそれで一念発起したわけではないが、無違反で通している。
ただ、駐車違反は数回切符を切られた。

アメリカの警察は、市街地は駐車違反で稼ぎ、郊外ではスピード違反で稼ぐ。
考えてみれば、当たり前の話。
郊外で駐車違反をする馬鹿はいない。
逆に、マンハッタンではスピード違反は先ず不可能。
大体制限速度すら、表示されていない。
その代わり、駐車違反の取り締まり係は数が多い。
彼らは、陰で「ブラウニー」と呼ばれている。
「ブラウニー」とは、チョコレートケーキのような菓子。
彼らの制服が焦げ茶色だったことから、そう呼ばれていた。
数年前制服の色はブルーになったが、「ブラウニー」という渾名は変わらない。
危険の無い仕事だから、女性もいれば年寄りもいる。
歩行も危なっかしい、デブの「ブラウニー」を見かけたこともあった。

「ブラウニー」は、駐車違反専門の取締官。
逮捕権はないから、相手の雑言は聞き流すしかない。
ありとあらゆる悪罵を聞きながら、黙々と切符を切る。
生活のため、と割り切っているのだろうと思う。
かっとなっても、反駁は許されていないのかも知れない。
「ノルマ」があると聞くから、その達成だけを考えているのだろう。
彼らは、切符を切り始めたら止めることは出来ない。
賄賂防止のための制度と聞いた。
間違いだった、と気づいても、
「駐車違反取り締まり局へ行ってくれ」
そう言って、切符を置いて行く。

切られた駐車違反切符に不満があれば、聴聞に行ける。
小一時間も待って、聴聞係(一応判事だ)と向き合う。
その切符が如何に不当かを、滔々とまくし立てる。
彼もしくは彼女は、黙って聞いているだけ。
原告(切符を切られた人)が話し終ると、やおら口を開く。
「Still this ticket is good.(でもこの切符は間違ってないよ)」と言うか、
「OK, I give you a deal. (よし、こうしてあげよう)」と言って、金額を下げるか。
私の場合、「この切符は間違ってない」と言われてしまった。
だが、それを聞いて気落ちした私を哀れんだか、
「How about $30? (じゃあ30ドルでどうだい?)」と来た。
この一声で60ドルの切符が、30ドルになった訳だ。
とても裁判所仕事とは思えない。
勿論同意して、すぐ30ドルを払って聴聞係を後にした。
何となく嬉しかったのを思い出す。

郊外の道路は、「ひっかけ」に満ちている。
制限速度が、どんどん変わって行くのだ。
55マイルが45に、45が35、そして30マイルになる。
道そのものには、大した変化はない。
だから注意していないと、速度が変わったことに気づかない人が多い。
「あれっ?」と思うと、サイレンが追いかけて来る。
路肩に車を停めると、ポリスカーから制服の警官が降りて来る。
慌てて自分も降りようとすると、
「Don’t get out. Stay. (外に出るな、じっとしていろ)」と声が飛んで来る。
運転席の横に来て、
「Driver’s license, Insurance card and registration.(免許証、保険証と車検証)」
渡した3枚の紙を調べながら、
「How many miles are you driving? (何マイルで走っていましたか?)」

尋ねられると、咄嗟には答が出て来ない。
「Do you know the speed limit here?(此処の制限速度を知っていますか?)」
「I think 30miles.(30マイルだと思います)」
そう答えると、
「You drove 55miles. (55マイルで走っていました)」
(そんなに出ていたかなあ)
「I think it was around 40miles. (40マイルくらいだと思ったけど)」
警官は黙って首を横に振り、私に切符を渡した。
続けて免許証など3枚の紙も差し出す。
悔しいから何か言ってやりたい気がする。
「This area is so tricky, I believe.(ここら辺は、随分小ずるくなってますね)」
言いながら、(まずいかな)と思っていた。
彼は私を真っ直ぐ見て、
「Do you think so?(そう思いますか?)」
そう言ったあと、にやっと笑った。
切符には、「15マイルオーバー」とされていた。

それ以来20余年、私は「ここら辺」では制限速度を遵守している。
だから、それ以来捕まったことはない。

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