還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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アメリカに「日本ブーム」が起きたのは、3,40年前頃だろう。
「寿司」がきっかけとなった「日本品」への好奇心は、今や定着しつつあるようだ。
「蕎麦」は「ラーメン」に押されてやや影を潜めたが、今度は「日本食」という形で現れた。
日本の「食堂チェーン」が、昼夜を問わず満員の盛況ぶりなのだ。
別に驚くようなものを供しているわけではない。
「魚の塩焼き」、「鶏の煮物」、「トンカツ」、「牛丼」、日本なら何処にでもあるようなものばかり。
ただ単価が高い分、2,3品をつけて膳に載せ、高級化させている。
税金とチップを入れて20〜30ドル近いから、軽く昼飯に、というわけには行かない。
だから客層を見ると、ビジネスマンビジネスウーマンらしいピシッとした身なりの人が多い。
数人の日本人らしい若者のテーブルをみると、ちょっと日本人とは異なる雰囲気。
会話から察するに、中国系若しくは韓国系らしい。
聞けば、日本レストランで昼食をとるのは、今最もトレンディなのだそうだ。
英語も流暢なところを見れば、こちらで教育を受けてそれなりの給料を貰っているのだろう。

中国系や韓国系の若者が、日本人経営のレストランで食事をするのに何の不便も無いか、というとどうもそういうわけには行かないようだ。
見ていると、箸の使い方が少々おかしい。
全てを箸で賄う日本式は、彼らには違和感があるのだろう。
中国では、箸は先が四角くなっており、料理を切ったり突き刺したりは出来ない。
また、飯やスープには蓮華という匙を使用する。
韓国系も同様に、飯は金属製のスプーンを使うのがマナーのようだ。
この日本レストランでの食事を見ていると、何処かぎごちない。
アメリカ人ならスプーンやナイフを要求するが、彼らはどうもそれはしたくないらしい。
勿論箸は使えるから、飯を口に運んだり、トンカツの1片を摘んだりは出来る。
しかし、煮物のように汁気があると、飯の上に中味をぶちまける人が多い。
そこで飯と混ぜて口に運ぶのだが、やはり見た目は奇麗とは言い難い。
客がどういう食べ方をしようが、店側は当然ながら何も言わない。
飯茶碗に、箸を突き立てる人だって決して珍しくはない。
私の子供のころ、そういう食べ方をすると「縁起でもない」と怒られたものだ。
「移り箸」「迷い箸」「ねぶり箸」「咥え箸」、そんなルールはアメリカには無い。
西洋式のマナーだって、アメリカ方式は極端なほど好い加減だ。
左手にフォーク、右手にナイフが本来のはずだが、アメリカでは肉などはどんどん切って、右手にフォークを持って食べても、恬として恥じるところが無い。
どころか、最近のステーキハウスでは、最初からキッチンで食べやすく切って運んで来る。
「旨く食べるのが一番」と言われれば、納得するしかない。
やりたい放題、というわけだ。
そういう我々日本人だって、「箸で食べる洋食」とか「お蕎麦感覚のスパゲッティ」などと売っているのだから、文句を言えばそれこそ「目くそ鼻くそ」の類。

日本の食事のマナーは、確立して数百年を経ている。
箸が中国から伝えられたのが6世紀あたりらしいから、それまでは恐らく手で食べていたのだろう。
それ以来10世紀近く経って、一応の食事のルールが出来上がったということ。
銘々が自分の膳箱を持ち、箸箱を持って食事をするようになった。
茶の湯の普及もあって、更に細かいルールに細分化されたのだろう。
箸の使い方のタブーなどは、この時代に出来上がったと思われる。
礼式の家元などもあるくらいだから、口喧しい指導者があちこちにいた、に違いない。
「たたみの縁は踏むな」「座布団は膝から載る」「お茶は目上が吞んでから」「履物は脱いでから揃える」
よくもまあこんなに拵えた、と感心するほど。
昔の人は、あまり迷わずにそれが出来たらしいから、これまた驚くしかない。

こんな風に日本文化に感心していると、ふと思い当たったことがある。
今問題になっている「横綱の品格」という奴。
モンゴルの力士が4代続いて、この問題が喧しく言われるようになったようだ。
半世紀以上の相撲ファンとして言えば、昔だってそんなに品格があったかどうか。
そもそも子供の頃、「飯が腹一杯喰えるぞ」と聞かされて入門し、竹刀で殴られながら稽古した連中が、一体何時品格なるものを身につけたのだろう。
稽古が終わって空腹を抱えながら、先輩力士の給仕を勤める。
役力士、幕内、幕下、三段目、序二段の順だから、新弟子だったら飯にありつけるのは3,4時間後。
その頃は、もうちゃんこの鍋の中は汁だけだそうだ。
どんぶり飯に汁をかけて、4杯5杯と掻き込む。
「品格」とは、全く無縁の世界ではないか。
相撲界の人間は全てそうやって上がって行ったのだから、そこら辺は良く分かっているはずだ。
理事長の北の湖は、中学時代の授業中、漫画を読んでいるだけだったと言われている。
「力士になることが決まっていれば、一般教養など必要ない」という理屈だろう。
とすれば、今まで横綱だった日本人は、どうやって品格を身につけたのか。
「横綱の責任感と重圧が、人間を変える」という人もいるらしいが、それでは今までの日本人横綱が起こした愚行の数々をどう説明出来るのだろうか。
「年寄り株を担保に、高利貸から大金を借りた」某元横綱も有名だが、兄弟横綱として人気を博しながら、醜い身内の争いから、誹謗合戦を惹き起こした某元横綱。
優勝経験無しに横綱になり、親方夫人を殴って部屋を飛び出したプッツン横綱。
それ以外にだって、年寄り株を巡る争いから袂を分かった二人の元横綱もいる。

と言っても、戦前や明治時代の横綱たちに品格があった、とは聞いていない。
明治時代の大横綱常陸山は、弟子の相撲取りに「色を売るな」と言い聞かせたと言う。
当時、歌舞伎役者と相撲取りは、女性の玩弄物だったと言われている。
横綱までそうだったかどうかは知らないが、だれも「品格」があるとは考えていなかっただろう。
その相撲取りに「品格」を持ち込んだのは誰なのだろうか。
もう20数年前、横綱を酒席に呼ぶには祝儀だけで200万円かかると言われた。
本人に100万、親方に100万、が相場だそうだ。
酒席で何をするか。
ただ差される酒を飲み、請われれば歌謡曲でも歌う、程度ではないか。
客は、天下の横綱が唯々諾々と酒を飲み、歌を歌うことに満足するそうだ。
そういう「力士を呼ぶ相場」が云々されなくなった頃に、「品格」が登場したのだろう。
「大鵬」は座敷に呼ばれることを、好んでいなかったと聞く。
訳も無く頭を下げ、小遣いを貰うことに耐えられなかったのではないか。
だが、全てを彼の都合で運ぶわけには行かない。
親方には親方のビジネスがある。
だから、大鵬が全ての宴席を断ったわけではないようだ。

時代は変わり、ハワイから大関や横綱になる大型力士がやって来る。
そして、まるで大型台風のようなモンゴル軍団の登場。
「技のデパートモンゴル支店」と呼ばれた旭鷲山を皮切りに、切れ目無く渡来して来た。
「平成の元寇」と異名がついたと聞くが、正に言い得て妙。
今までの、大型だが腰高とか、腕力はあるが技はない、という連中とは大違い。
体つきも顔つきも、ほとんど日本人。
そして足腰はそれ以上に鍛えられている。
「モンゴル相撲」という伝統競技で、みっちり技も身体も磨かれていた。
高校留学を経て来た朝青龍を皮切りに、あっと言う間に幕内上位を占めてしまう。
「品格」も「行儀良さ」も無かった朝青龍は引退を余儀なくされたが、後を継いだのが史上ナンバーワンの呼び声もかかる「白鵬」という折り目正しい力士。
強いのなんのって、あれよあれよと言う間に大鵬を抜き去る34回の優勝。
だが、強くなるにつれ、自我も目覚めて来たらしい。
結構言いたいことも言うようになって来た。
自分の相撲の判定にも、不満をテレビのインタビューで洩らしたらしい。
そこら辺から、相撲協会と白鵬の食い違いが始まったようだ。
存在感の無い「横綱審議会」という一種の友好団体は、何かと言えば白鵬の言動に文句をつける。
「勝てば文句無いだろう」と思ったかどうか、白鵬はインタビューも無視して只管勝ち続けた。

白鵬の弱みは、所属する部屋の小ささ。
15歳で来日し、最後の最後まで受け入れる部屋が無かったと聞く。
後援者に泣きついて「宮城野部屋」が引き取ってくれた。
私がファンだった吉葉山が50数年前に再興した、小部屋。
親方は、前頭が最高位の竹葉山。
私ですら、聞いたこともない。
それでも持って生まれた素質故か、着実に出世し、注目を浴びることとなる。

横綱になって8年。
34回の優勝を経て、いま「品格」を問われている。
自分の相撲の判定に疑義を差し挟んだのが怪しからん、ということらしい。
驚いたことに、ほとんどの新聞が白鵬を非難する論調だった。
力士は、自分の相撲の判定に口を挟むことを許されていないのだろうか。
年寄り連で構成した「審判団」の権威は、絶対なのだろうか。
若し横綱である白鵬が異議を唱えたのなら、審判団が説明しても良いのではないだろうか。
直接の会話無しに、メディアに横綱批判をぶちまける。
白鵬が無言の行を貫いた気持ちが、理解出来るようでもある。

外国人を受け入れるなら、その覚悟が必要だろう。
要らないなら、初めから日本人だけでやれば良かった。
それを自分たちの都合だけで、ヨーロッパからまで連れて来る。
入れておいて、後から難癖をつけるのは、どう見てもフェアではない。

まあ、「八百長問題」の処理でも、フェアではないことは知れ渡っているのではあるが…。

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