還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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「ヒラリー」疲れ

ヒラリー クリントンが、2016年の大統領選挙への出馬を表明した。
彼女としては、2度目の挑戦。
前回は予備選挙で一敗地に塗れているから、実際の大統領選挙は未経験。
次期大統領の有力候補と言われてから、実に15年の歳月が流れている。
既に67歳だから、投票予定の2016年11月8日には69歳と86日ということになる。
当選すれば、史上2番目の高齢大統領と言うわけだ。
最高齢はロナルド レーガンの69歳349日で、第3位が9代ウイリアム ハリソンの68歳23日。
女性ということを考えに入れれば、かなりの重労働になるだろう。
逆に平均年齢を考慮に入れれば、男性と比較して若い、とも言えるのだが。

世間一般は、彼女の出馬に関してかなり冷静に受け止めているようだ。
随分前から彼女の挑戦は確実視されていたし、既に民主党の最有力候補と目されてもいた。
有力対抗馬のエリザベス ウオーレン上院議員が、自身の挑戦を否定したこともあり、現在のところ有力な対抗馬すらいない、という状況だ。
もっとも、7年前の時点でも、ヒラリーは民主党の最有力候補であり、指名は確実視されていた。
それが予備選挙に入り、彗星とも言うべきバラク オバマにじりじりと追い上げられ最後には逆転を許す、という予想外の展開になり、世間を驚かせた。
あの当時、バラク オバマは次の次狙いという観測であり、とてもヒラリーに太刀打ち出来る、とは誰も考えていなかったのではないか。
日本の自民党総裁選挙という実質的な首相選びでも、ほとんど勝ち目の無い少数派閥の代表が出馬することがあるが、それはあくまでも存在をアピールするためであり、逆転を狙うものではない。
アメリカの予備選挙の怖いところは、そういう「存在アピール組」が、何かの弾みであれよあれよと言う間に有力候補に化けてしまうことだろう。
ジョン ケネディがそうであったし、ジミー カーター然り、ビル クリントンだってその手の候補だった。
そして、まさしく「その手」のオバマに、ヒラリーが敗れ去ったのが7年前。
そのオバマの8年の任期の跡継ぎに再びヒラリーとは、かなりの皮肉ではないだろうか。
それだけヒラリーには、一度逃した大統領の座に未練が大きかったのだろう。

ではアメリカ人は、ヒラリーにそんなに大きな期待を寄せているのだろうか。
今アメリカの状況は、7年前よりも悪くなってこそいても、良くなってはいない。
それは別にオバマの悪政の所為ではなく、世界情勢の変化ゆえだろう。
泥沼化するイスラムとの闘い、沈没しかけたロシアが天然ガスを武器に蘇り、世界の工場となった中国が経済的にも巨大化し、アメリカと肩を並べかけるまでになった。
「世界の警官」を自認していたアメリカも、経済的な地盤沈下には抗し切れず、精々「パトロール」程度に迄立場を下げてしまった。
キューバとの関係は改善されても、アメリカの経済や政治に対する影響は少ない。
現在の状況を見廻しても、アメリカにとって良い材料は少ないように見える。
言ってしまえば、八方塞がりに近いのではないか。
アメリカは超大国であったが故に、悪感情を持つ国も多い。
軍事的に絶対の大国であった時代と異なり、今のアメリカは軍事予算を減らす努力を強いられている。
そういう負担を、日本などの友好国に押し付けて行きたい、のがアメリカの立場。
言うなれば、問題山積というアメリカの政治事情。
そこへ飛び込もうというヒラリーは、歴史に残る大統領になれるのだろうか。

政治家にも「旬」がある、という説がある。
故山本夏彦は、「人は高々10年、上り坂3年、絶頂期3年、下り坂3年、合計10年が良いところ」と常に言っていた。
スポーツ選手などを見ていると、正に言い得て妙、と思わざるを得ない。
では政治家はどうなのか、と考えてみると、これも似たようなものだ。
政治家の最終目標が総理大臣であるなら、なれるチャンスは滅多にあるものではない。
過去そのチャンスを掴み取った人だけが、首相の座を得た。
「未来の宰相」と目されながら、及ばず消えて行った政治家たち。
河野一郎洋平親子、藤山愛一郎、前尾繁三郎、渡辺美智雄、安倍晋太郎…。
小澤一郎もその一人になりつつある。
日本の首相は、国民の直接投票で選ばれるわけではない。
議員の最多数を持つ政党の代表が、国会の指名選挙で選ばれる仕組み。
だから、彗星のように現れる、というケースは滅多に無い。
強いて言えば、日本新党の党首細川護煕くらいのものか。
密室会談で決まった森喜朗も、その一人に数えて良いかも知れない。
いずれにしても、その衝撃の大きさはアメリカには到底及ばないだろう。
1面のトップ記事と、2面の囲み記事との差とでも言おうか。

現段階では、ヒラリーは2016年の本選挙の最有力候補と見られている。
ではこのまますんなり行くか、と言えばどうだろう。
民主党内でも一波乱二波乱ありそうだし、最後の決戦相手になる共和党候補だって、現段階では混戦状態のまま。
ブッシュ一族を背景にするジェブ ブッシュ、眼科医という異色の経歴を持つランド ポール、キューバからの移民の子供で29歳の若さで下院議員に選出されたマルコ ルビオ。
ルビオはまだ44歳の若さで、高齢のヒラリーには手ごわい相手になる可能性がある。

しかし、ヒラリーにとっての一番の強敵は、アメリカ市民の間にじわじわと広がる「ヒラリー疲れ」の兆候。
考えてみれば、ヒラリーが世間の耳目を最初に集めたのは1992年。
夫ビルが現職のジョージ ブッシュを破って大統領に選ばれた時。
以来23年の時が流れた。
彼女はファーストレディを8年間、上院議員を8年間、国務長官を4年間務めて来た。
アメリカ人なら、ヒラリーについて知らないことは無いだろう。
言い換えてみれば、「新しい驚きは皆無」の候補者というわけだ。
それは「何をやってくれるか分からない」不安は無いが、大きな期待も無い、ということになる。
閉塞感漂う今のアメリカでは、それはあまり歓迎される要素ではない。
これからの数年は、アメリカには力強い政治力が要求されるだろう。
高齢の女性政治家に託すべきかどうか、悩ましい選択だ。

ヒラリーの選挙本部を牽引しているのは、昔からのヒラリーシンパの女性たち。
「何が何でもヒラリーを大統領に」に凝り固まった人の集まり。
この車輪が順調に回転しているうちは良いが、ひと度ずれ始めたら修正は難しい。
最終決戦の前に、内部分裂の可能性すら予測される。
この先1年以上の長期戦を、戦い抜けるかどうか。
野次馬としてみても面白いが、アメリカに暮らしている者として見れば、事態は切実だ。
まあ選挙権は無いのだから、見ているしかないのではあるが…。

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