モグラのあくび

シンプルでシャープに。そんな感じに

この映画、原作あります

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『ジャンパー』

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上映時間は88分。1時間半にも満たぬ、その時間で映画は世界中を“ジャンプ”していく。
スフィンクスの頭でランチ、秋葉原を爆走ドライブ、ロンドンでナンパして、コロッセオで因縁の出会い――。すべてのシーンで現地ロケを敢行した、迫力の“世界旅行”が売りの1つだ。


ストーリーは単純。ある日、テレポート能力を手に入れた少年デヴィット(ヘイデン・クリステンセン)が、ラッキー!とばかりにジャンプ、ジャンプ、ジャンプで人生を満喫する。そこに、中世からジャンパー狩りを行ってきた組織“パラディン”の戦士たちが現れる。
――「それは神にのみ許された能力」
デヴィットを執拗に追い回すローランド(サミュエル・L・ジャクソン)との戦いは、まるで「ドラゴンボール」の高速移動かのようなジャンプ=テレポートのCG表現もあいまって――まったく関係ないのだが、こりゃ実写版「ドラゴンボール」にも期待がもてるかもしれない――“少年格闘モノ漫画”に通じる極めて高レベルのアクションを魅せてくれる。味方に“先輩”のジャンプ能力者まで現れ、わかりやすい「VS構造」が下敷きとなったプロットは、THEハリウッドの真骨頂だろう。


また、ジャンパーが――例えば、“力あるものの使命”を説く『スパイダーマン』とは違い――決して正義のヒーローとして描かれていない点にも注目したい。
ラストを見れば、本作が続編を意図して作られていることは明か。となれば、もしかすると今後、ジャンパーの“業”のようなものが露呈し、善から悪へと立場が反転する可能性はある。

さらにいえば、ヘイデン・クリステンセンとサミュエル・L・ジャクソンがキャスティングされたことに“伏線”を感じなくもない。
2人には『スターウォーズ』での“因縁”があるからだ。
『スター―』で、最強の戦士だったサミュエルは、ダークサイドに落ちたヘイデンに殺され、無念の死を遂げる。
決して世界平和のために能力を使うでもないジャンパーたちの、そのジャンプ能力に世界を歪ませてしまうような“問題点”があるのだとしたら…。
ヒーローからダークサイドへの転落――正義から悪への立場の逆転。転落。
そうなれば、SFの金字塔『スターウォーズ』の悲劇が、この最新SFによって再現されることになる。まっ、妄想ですが。


なぜ、ジャンパーは狩られなければいけない存在なのか?
続編が見たくて仕方ないのであります。
とはいえ、日本での興収は『ドラえもん』に次ぐ2位スタート。アメリカでも首位ぶっちぎり!!とは、いっていないようで…続編製作の声はまだ聞こえてこない。
う〜ん、原作読もうかなぁ。

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『クロサギ』

「Et tu, Brute! 」

ポンペイとの戦いに勝利し、ローマに凱旋したとき、ジュリアス・シーザーは、まがうことなきローマ市民の英雄であった。
ローマ市民は歓喜した。耳をつんざく喝采が起こった。「シーザー!!」の声がところかしこから響き渡っていた。かもしれない。
が――。
紀元前44年3月15日。
ローマ帝国を統一したその男は、暗殺される。
腹心によって。
権力を自らに集中させ、肥大するシーザーの絶対性を、元老員の議員たちが恐れたのだった。
信頼していた。信じ切っていた。だからこそ、悔しさが、哀しさが口からもれてしまった。
――「ブルータス、お前もか!」
そう、“裏切るはずのなかった仲間”の名を叫んだ。
シェイクスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』の有名な一場面である。


詐欺師を騙す詐欺師=クロサギこと黒崎=山Pが、詐欺師との頭脳戦を展開する人気シリーズ(かつ、キムタク『HERO』に次ぐ、“まったく見ていなかったドラマ”)の映画化である。
その作中で象徴的に読み上げられるのが、前述の戯曲。
詐欺師界の大物で、黒崎のネタ元となる桂木(山崎努)が『シーザー』を読み上げる。
黒崎はそれを聞いて一言。「よくある話だね」。冷めた口調で一蹴する。いや、“しようとした”。
「見せてよ」
「…」
「最も信用していた人間に裏切られた人間の顔、見せてよ」
黒崎は一言も返すことができない。

信用するから騙される。裏切られる。
だけど、誰も信用しない人生のなんと孤独なことだろう。
詐欺師=騙す者との対決を通して本作に流れる、“それでも”誰かを信用したい、という想いが胸を打つ。ピリリと“情”が効いている、とでもいおうか。


もちろん、“ドラマも原作もみていない人間”からすれば、登場人物の人間関係が手探りな部分は隠しようもない。映画だけ観れば、ホマキや市川由衣、加藤浩二は完全に必要のないキャラクターだし、山Pの凄さもイマイチ伝わりにくい。

ただ、その中で光るのが、山Pと山崎努との、“師弟関係”とも“親子関係”ともつかぬ、微妙な揺らぎを持つ交流。刀を山崎に突きつける山Pの姿は、ともすれば滑稽にもなろうが、感情の機微まで映し出す演出と山崎の迫真の表情芸で、すれすれの均衡を保っている。
山Pは、本作のインタビューで「山崎さんはいるだけでオーラがあって身が引き締まる。教えていただいたことはいっぱいあるけど、宝物にしたいから、言いたくない」などと、山崎からの影響と、それを受けての成長について、何度も何度も言及している。

イイ意味で、“山Pの映画”ではなく“山Pと山崎努の映画”になっているのが、本作の成功のポイントか。
その演技の先輩後輩である“山下と山崎”の関係が、スクリーン上で“黒崎と桂木”の関係として、絶妙に描き出されているのがニクいところである。
本作。ただの“アイドル映画”とはひと味違う。


ちなみに。
映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のモデルになった実在の詐欺師、フランク・W・アバクネイルは、パイロット、小児科医など幾つもの職業に扮し、世界26カ国で詐欺を働いた。
彼がフランスで逮捕されたとき、その年齢はわずか21歳だった。
犯行は5年にも及んでいた――つまり、彼は16歳から詐欺師としての道を歩み出していたことになる。
彼はのちにこう語っている。
「もっとも騙されやすい者とは、自分だけは騙されないと思っている者だ」。
この言葉を思えば、クロサギとは実に理にかなった職業なのかもしれない。

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ああ、もう!!
と、自分の涙腺の素直さに苦笑いしてしまう。

東宝“泣かせる”映画の王道である。

監督は『そのときは彼によろしく』の平川雄一朗。う〜ん、なるほど。
親からの手紙とか読んだらあかんって(思い出し泣き)

原作から大きな変更はないが、役者のうまさが新鮮みを演出している。
ギャンブル中毒のダメ男を岡田准一、新宿西口のホームレス・モーセを西田敏行、元芸人の母の、かつての相方を探す宮崎あおいは、その母との一人二役。崖っぷちアイドルに平山あや、そのおっかけに塚本高史と、豪華なメンバーが集結。バラバラのエピソードが最後に収束するカタルシスは、劇団ひとりの原作がいかに巧みに作り上げられたものなのか再認識させてくれる。

しかし、ここまでこの原作が“泣かせる”路線にジャストフィットするとは思わなかった。

泣かせよう泣かせようと、どこまでも、出来過ぎなくらい、完璧に構成されたプロットが、ものの見事に心に直撃する。
陰日向の人々を映し出すダメダメな日常と、照らし出される一瞬の華やぎ。その瞬間に咲く人情の花にボロボロと泣かされてしまった。恐るべし。

それにしても、東宝の映画作りのうまさには感服である。

泣かせどころを知っているし、今の映画界が――あるいは、邦画界が?――“泣き”を中心に動いていることをしっかり捉えている。かつ、そのための演出に一分の隙もない。
東宝は昨年の邦画ベスト10中、8本を占める無敵の強さで、一強時代を堅持しているが、ここまでぬかりなくやられてしまうとぐうの音も出ません。当分、その座は揺るぎそうもない。
(07年 79本目◎)


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日本、イタリア、カナダの合作映画である。
キーラ・ナイトレイが出演し、『バベル』での好演も記憶に新しい役所広司も顔を出し、おまけに音楽は坂本龍一だといわれれば、ついついアメリカ映画だと思ってしまうが、意外や意外。ハリウッドとは違う場所で作られた作品なのである。
映像や世界観の雰囲気には、どことなく異質で独特な肌触りが感じられる。

そして、その膜一枚隔てた、それこそシルクを通したかのような幻想感は、そのまま作品のテーマに結びついていく。



舞台は19世紀フランス。
製糸業で潤うある村を、蚕の伝染病が襲う。
「世界で最も美しい絹糸を吐く蚕の卵を求めて世界の果てへ行ってくれないか」―。
工場長に見込まれたエルヴィは、新妻エレーヌ(キーラ)を残し、日本へと派遣されることになる。
命を賭した旅路。しかし、その大変さは、セリフの中での「死ぬかもしれない」という言葉以上には描かれることがない。エルヴィは、数カットの旅のシーンを経て、日本にたどり着いてしまう。

極東の地・日本。言葉も通じぬ、その異国でエルヴィは神秘的な少女に出会う。そして、母国とは180度違う、極寒の中を行く。
そこにあるのは非日常。
エルヴィは、命の危険も顧みず、何度も何度も日本に足を運ぶようになる。
妻を故郷に残して。
そして、最後の旅を終えたエルヴィの元に、日本語で書かれた一通の手紙が届く…。


日本の描写は、良くも悪くも“日本的な雰囲気”を重視した、違和感のあるもの。
だが、日本人の私たちが感じるその違和感すらもが、エルヴィの見た異境の“神秘性”へと転換される。
妻のいる日常から、遠く離れた地で出会った非日常へ。

若き男が夢想したであろう、その主観的イメージがそのまま映し出されたかのような映像となっている。

もちろん、それが確信犯的なものなのかはわからないが。
その映像は、アレッサンドロ・バリッコ(『海の上のピアニスト』の作者)が紡ぎ上げた「詩のような小説」とも称された原作を忠実に再現しようとしたものでもあるのだろう。


撮影は、2月の長野県松本市を皮切りに、3月の山形県酒田市、4月のイタリア・セモナータ、ローマ、ピエモンテで行われた。
日本の雪山の景色は、イタリアの情緒あふれる街の様子と比べても遜色なく、非常にタフな映像となっている。
また、風景同様に日本人キャスト勢の好演も目立つ。
役所、中谷美紀、國村隼のベテランから、新鋭の芦名星まで、その存在感はピカイチ。
決して派手さはないが、不思議な魅力とうっすら浮かび上がるような輪郭を持った、個性のある作品であった。
(07年 78本目▲)


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もし「この映画のジャンルは何?」と聞かれたら、僕は迷いなくこう答えるだろう。

「コメディだよ」、と―。

第1回『このミス』大賞作品の待望の映画化。監督に深作健太、主演に松下奈緒と鈴木亜美を配した、ある種の――良質な=一流の “B級作品”が持つ、カルト的サービス精神がこれでもかと詰め込まれたスーパーおバカ映画である。

温泉旅行として秘境「阿鹿里(あしかり)村」を訪れた松下と鈴木の2人。迎えに上がった村人は、オババ役なのになぜか役者が男で(笑)、しかもドリフの志村けん顔負けの「ザ・オババ」演技を披露してくれる。早速、温泉に入るのだが(ここでも、2人の入浴シーンを公開する大サービスっぷり)、とあることから喧嘩になり、2人はバラバラに湯から上がる。
かくして、物語は松下パートと鈴木パートに分かれていく。


松下が部屋に戻ったところ鈴木の姿はなく、突如、村全体が停電に。暗闇に怯えていると、見覚えのない携帯が着信を知らせる。いかにも不気味な予感がスクリーンに張り付く。驚きながら耳を当てると、その第一声は――

「今すぐ逃げろ!足を切り落とされるぞ!」

部屋は、すでに村人たちによって包囲されていた。

松下編とクロスするように、外で停電を向かえた鈴木は謎のゴスロリ女性に強襲される。
それは、鈴木に彼氏を奪われた怒りのため、ジェイソンばりの殺人鬼と化した小沢真珠。ロッキンホースバレリーナを履き、フリフリのゴス衣装、二刀流の巨大バサミを手に狂気をプンプンに発する最凶キャラである。ハマリ役にもほどがある。


この鈴木VS小沢の戦いが、本作のすべてを象徴している。

深作監督の“遊び”たるや、どんだけ楽しみながら作ったんだろう、と思わされるほど。
とにかく、これが半端じゃないのだ。クレイジーとしかいいようがない。まさに“深作の血”の真骨頂たるスーパーバトルなのである。

ラウンド1。
まずはトイレでの一戦。
山奥の村で、こんなわけのわからない女にハサミ両手に襲い掛かられたら、そりゃ、かなり泣きそうな話ですよ。状況の飲み込めぬまま個室に隠れる鈴木と小沢の「かくれんぼ」は緊張感満点。
しかしとて、小沢は超人的体力でトイレの屋上に登り、壁はあっさりと破壊。もうめちゃくちゃである。本当に人間ですか?、と。
直接対決を余儀なくされた鈴木とのアクションは、エイリアンVSプレデターとかサンダ対ガイラとか、そういったモンスター同士の一騎打ちがごとく。
なんとか撃退してトイレから逃げ出し、広場に出たところでラウンド2。
ここでは、ついにチェーンソーが登場し、「こ、これはジェイソンそのものじゃないか…」とどんだけ〜!!な展開に突入。あとはもう、笑いながら愉しんでしまうしかない。


そんなわけで、「村人に襲われる松下と小沢の襲撃を受ける鈴木」=「村人VS松下・鈴木に第3勢力としての小沢」という図式でジェットコースター的に話をクロスさせながらクライマックスへと進んでいく。
鈴木VS小沢戦を例に出すまでもなく、とにかく深作監督が遊びすぎ(笑)
村人たちの過剰な演出。ベタを通り越して、逆に新鮮になってしまっているお約束の連打。狂気が客観的なユーモアにまで昇華されているキャラ設定。さながら、飽きることのない超超長尺のコントとでも言った感じなのだ。

「今年ナンバー1の喜劇映画」―。

最大級の賛辞として、この言葉を送りたいと思う。
(07年 77本目○+)


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