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フィラリア症とは、細長いそうめんのような寄生虫が心臓に寄生しておこる病気で、犬科の動物が感染します。ペットでは、犬の他にフェレットにも感染します。まれに、猫や人での感染例も報告されています。
心臓にフィラリアが寄生している犬の血液中には、肉眼では見れないほど小さなミクロフィラリアという幼虫が無数に泳いでいます。この犬の血を蚊が吸うときに一緒にミクロフィラリアを吸い、他の犬をさしたときに感染します。
症状は、感染初期には無症状です。寄生数が増えていくと、徐々に心臓に負担がかかり、心臓の内膜も障害されます。心臓は次第に肥大して、早ければ感染から4〜5年で、疲れやすい、咳をするといった心不全の症状が現れます。寄生数が少なければ、無症状で長くすごす犬もあります。慢性の経過をとると、最終的にはうっ血性の心不全に陥り、腹水が溜まっってお腹が膨れたり、咳をしたり、喀血したり、運動中に座り込んだりします。そして最終的には心不全による多臓器不全で亡くなります。急性の場合は、昨日までなんともなかった犬が、突然苦しみだし、治療をしなければほぼ24時間で亡くなることもあります。この急性の症状は、心臓内の虫が、本来の寄生場所とは違う場所に移動したことが原因で、心臓から血液がうまく送り出せない状態になっています。
治療は、病気の進行度やその犬の年齢によって違いますが、成虫に対しては薬による駆虫、また手術による虫の摘出、幼虫に関しては薬による予防があります。駆虫薬は注射薬ですが、毒性もあり、また、成虫が心臓の中でいっきに死ぬので、かなり危険です。手術も、心不全の状態で麻酔をかけるのですからそれだけでも、かなりリスクのある手術であることは間違いないです。予防薬を飲めば、ほぼ予防できる病気です。胃腸の寄生虫と違って、感染してから駆虫というわけにはいかないのです。確実に予防をしてください。5月〜11月くらいの蚊の発生にあわせて、月に一回の飲み薬をのませたり付け薬を付けることで予防できます。また、近年では半年に一回の注射という予防方法もできました。春になったら、血液検査をして、前年の予防がうまくいったことを確認してその年の予防を始めることをお勧めします。春がはやくきた年や、残暑が長く続いた年はとくに、予防の失敗が懸念されます。また、去年の薬が残っていたという場合は、予防が不完全であった証拠です。早期に感染が分かれば、注射での駆虫も割合安全に行えます。予防できない病気(癌など)で死んでしまうのは仕方ないとしても、予防できる病気で死んでしまうのは、あまりに後悔が残ります。予防をしてあげてください。
今日、狂犬病のワクチンで来院した犬は、11歳、狂犬病のワクチンしか今までやったことのない犬でした。心臓の音が幾分われていて、フィラリアいそうだなぁと思い、飼い主さんにお話しました。案の定飼い主さんはフィラリアのことは知らなかったそうです。家族と相談してまた来院しますとのことでした。まだ、症状は出てないようなので、早く予防を開始してもらえるといいなぁ。心配です。
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