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まあメディアも政治家もダメなんですが・・・
経済学者だのエコノミストだのってのが一番ダメな気がします。
いくらか学会に関わったりもしてそれを痛感しました。
まず・・・古い理論が多い。
経済学はどうやら10年経ったらもう古くなるんです。
ミクロ・マクロレベルの原理原則には普遍性がありますが、
その上に乗せられた理論はあっという間に古くなります。
基本的に経済学は歴史学です。
過去の出来事や最近の出来事にどうにか理由をつける事はできますが、
ちょっと先のことさえも予測はできません。
ダメなものはダメということぐらいはできますが・・・。
その理由はグローバリズムに対応できていないから。
商取引の電子化、国際的な物流力の変化、
何よりそれらが原因でグローバル企業の動きそのものが変わっています。
日本も1980年代とは違うんです。
80年代とは違うのだよ、80年代とは・・・。
・・・。
前にも少し書きましたが、
まず最近の議論は日本が資源輸入国であることを完全に忘れています。
しかも1980年代前半はまだ為替レートは固定。
超円安の時代でした。
それでも1980年代以前の日本は輸出で大きな貿易黒字を上げてきました。
それが問題になって『プラザ合意』に至ったわけです。
じゃあ資源輸入国の日本がどうやって輸出で黒字を上げていたのか。
それは国内の産業構造にあったと思われます。
当時の日本は原材料か、原材料に限りなく近い一時投入品を主に輸入していました。
一方で完成品の輸入は限られていました。
当時を思い出せる古い人たち(苦笑)は考えてみてください。
そんな頃の輸入された完成品はほとんどが高級品ではありませんでしたか?
もしくは関税や物品税で不当に吊り上げられていた品々だったはずです。
そんな状況で日本が得意とする子請け、孫請け、ひ孫請け・・・のスタイルで
ほとんど日本国内で原材料から完成品ないしは半完成品を生み出していったのです。
一社一社の利幅はそこそこでも日本国内で見れば莫大な利益になります。
つまり完成品の売値から原材料や人件費などのリソース(資源)価格を差し引いた金額が
丸々付加価値になっていたわけです。
さらに・・・日本特有の年功序列賃金というスタイル。
これが決め手になっています。
最近でこそ中国などを事例に「人口ボーナス」というテーマで研究されることも増えましたが、
年功序列賃金はこの人口ボーナスの影響を極大化します。
当時は見事な人口ピラミッドを形成していました。
若年層ほど人が多い。
しかも年功序列賃金。
この年功序列賃金というスタイルは、大まかに見ると
入社後3年ぐらいは会社にとって収支マイナス、
そこからその間の研修費用やOJTの見えないコストなどを返却し始め、
多くの人が5年から10年ぐらいでもらう給与よりも高い生産性を実現していたはずです。
当時は高卒も多かったですから25歳から30歳までには大きな利益を生む社員になっている。
そこから40歳半ばぐらいまでは恐らく給与よりも高い生産性を続ける。
さらにさらに・・・
当時は「サービス残業上等」という日本社会でしたので、
もらう給与よりはるかに高い生産量を実現していたはず。
つまり見かけの生産性はとんでもなく高かったはずなんです。
しかも勤勉。
当時の日本人の勤勉性に関しては疑う余地もありません。
細かい仕事も嫌がりません。
だから欧米人には真似できないような細やかな仕事をとんでもない安価で実現できる。
そりゃ売れるだろうって話です。
どれも高級品ってわけじゃないんです。
当時の欧米人は"ウォークマン"なんて考えもしなかったでしょうし、
日本人が作った車は海外の荒れた土地でも長く走れたそうです。
そういう品質が売れたのです。
こうやってすべてが重なり合った結果、
円安による輸入のデメリットをはるかに越える輸出のメリットを受けていたわけです。
しかし今は違います。
日本は半完成品を大量に輸入しています。
パソコンなんて箱開けたらすぐわかりますよ。
中身はほとんどマレーシアとかインドネシアとかです。
それか台湾か。
というか今のテレビやHDDレコーダは箱を開けたらパソコンです。
そんなものをいくら売ったところで昔ほどの利益を得られるわけないじゃないですか。
なんでそういう分析が出てこないのが不思議でなりません。
だから経済学者はダメだって言うんです。
よほどのボンクラか、よほどの勉強不足。
また現在の製造プロセスはずいぶん変わっています。
コストを下げるために製造工程が圧縮されているのです。
その極端な例が「ターンキーシステム」です。
これは製造装置を買ってきてあとはスイッチを入れて(ターンキー)
原材料を投入すれば自動的に完成品が出てくるという仕組みです。
その代表例が多くの半導体製品。
コンピュータの部品はもちろん太陽光発電パネルやLEDも同じプロセスで作られます。
こうなってしまえば原材料調達や出荷などの
ラインの管理にかかる人件費が安い国のほうが有利です。
さらにコスト削減のためにやっているのだから全体での付加価値は減ります。
そして人口構造の変化、さらにそれに追い討ちをかけた雇用環境のアンバランス。
今の30代、20代はずーっと雇用を抑制してきましたからね。
世代内人口の減少以上にこの世代の雇用は減っているはずです。
そして有り余る50代、40代。
どう考えても今の社会環境に対応して給与以上に働ける50代はほとんどいないはずです。
そこの人数が多くて、安く働ける若手社員が少ない。
だからこそ人材派遣という形で安く上げようとするわけです。
それによるデフレスパイラルの話は今回は除外しますが・・・。
でもさらに残念なことに今の50代・・・から60代ぐらいですかね?
彼らは高度成長期からバブルを味わっているので、
「自分たちは優秀だ」という錯覚があります。
いや、正確な表現ではないか。
「日本人は優秀で、自分も日本人だ」という感じ?
前述の通り、彼らの勤勉さには疑う余地もありません。
頭が下がります。
でも残念ながら優秀だったのはそのごく一部です。
少なくともその世代より上の創業者世代には遠く及びません。
そしてその下、50代はバブル満開組です。
60歳に近い人たちはオイルショックのさなかに就職したりしてるんでしょうけどね。
でもその後は一本調子。
さらにその下の40代の大半はバブル時に入社しています。
彼らもあの華やかさがどうしても忘れられないようです。
今の60歳前後は優秀な労働者。
今の50歳前後は成長の苦労も衰退後の苦労も直接は味わっていない。
だから新しいものを生み出せない。
つまり今の意思決定者層と中間管理職層。
ここ10年ぐらいの日本はこの最悪のコンボが続きます。
ここまでの論、どうでしょうか?
それなりに説得力があると思いませんか?
実証研究したわけじゃないですけど、
既存の理論と産業構造の変化さえ知っていれば導き出せる結論です。
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