機械を使い、一つの作物だけを大規模に栽培する近代農業。
しかし、人口増加に比例した食料確保の意味で
「それは何か悪いんだろうか?問題があるのだろうか?」
と思う人が多い理由も理解できます。
私は、それがいいか悪いかというのではなく、単に小さく優しく丁寧に作る農業のよさを今知っています。
私はオーストラリアをまわり、様々な有機農場を見てきましたが、まず、有機農場は、そこからにじみ出る、土地の持つエネルギーが違いました。
化学肥料や化学農薬を使わない畑でつくられた作物は、土の持つ生命力にあふれていました。
土の中の微生物や自然の生き物たちの力を借り(利用す)るのが、「有機農業(=Organic farming)」。
土を殺さない農業です。
常に生き物が集まり、雑草と呼ばれる植物さえも堂々と生えているの農場も多く見られました。
それには理由があります。
農業を語るには、いわゆる「害虫」(この害虫という言葉も議論があるとおもいますが)とは切り離せないでしょう。
彼らはいつ何時、やってきて、食事をはじめる…野菜を食べ始めます。
食事代も払わずに、と怒こられそうですが、私がみた有機農場では彼らからうまく、食事代の代わりになるものをもらいながら、運営することに成功していました。
■生態系のある農場
写真:畑の横の小道まで意識的に草で覆われたパーマカルチャー農場
どういうことかというと、私の見た有機農場では、普通様々な種類の作物や周辺に、木をこまごまと植えていました。
ですから、「畑」「家」「森」などという境界線もはっきり作らず、あらゆるものが混合し、森の中で農業をしているような印象を受けました。
それには実は作戦^^があります。
色んな生物が集まりますから、その中には害虫と呼ばれる作物の敵もやってきます。
しかし、その虫を食べる鳥が周囲の木から飛来し、糞を畑に落とし、それがまた肥料になる…。
畑に小さな生態系が作られているのです。
単一の作物のみ、一面に植えていると、病害虫、気候の変化に対して抵抗力がなく、全滅しやすくなるといいます。
しかし、多種多様な植物を植えていれば、一種類全滅しても他の作物がある、という危機に対応する能力があがります。
害虫が一種類食い尽くしたとしても、他の作物で農家はナントカ助けてもらえます。
農場の中の「生態系」が複雑に絡み合って、つながりあって、作物を守ることになるのです。
雑草と呼ばれる草でさえ、生やしたままです。
時にはそれで堆肥を作ったり、鳥の隠れ家の場所にしたりします。鳥は虫を食べてくれますから…。
美和明宏さんの
「世の中はうまくできている。いい時、悪い時どちらもサイクルでやってくる。だから、人生のいい時は必ず、一部を世の中に還元しなさい」
という言葉が、印象に残っています。
有機農業の話で考えると、鳥たちが食べる分まで計算して農業をしている!ことになります。
ただ自分の欲求を満たすだけでなく、他者と分けあいながら自分のほしいものをいただく姿勢に、単に「農業」という枠ではくくれない、深い哲学を感じました。
どうりでその場に立つだけで居心地がよかったんですね…。
有機野菜の濃い味
■ 味や栄養価の奥深さ
有機農場で育てられた野菜は、野菜の味が違いました。
味が濃くて、甘くて、変な苦味がないのです。
野菜サラダにドレッシングだけかけて、ひたすらバリバリと食べていました。
味があって、肉系のおかずも別に必要と思いません。
サラダは味があるものだと知りました。
あと、驚いたのはバナナの味。
バナナの本当の味をオーストラリアで知り、衝撃を受けました。
少し苦味やいがみがあって、味がない輸入バナナがバナナだ、と日本人の大部分が思っているのではないでしょうか。
しかし、バナナに対して本当に謝りたい気持ちです。
濃厚で、やさしい甘みがあって、舌触りも滑らかで、適度な水分が詰まっている、あの、オーストラリアの庭に生えていた、無農薬バナナに!!
今まで食べてきた、船積みで農薬がかぶせられた輸入物とはとにかく同じものとは思えない味でした。
やはり、栄養価も全く違うそうです。
私たちの選択肢
■心や体、そして地域の環境を満たす農業
パーマカルチャー農場で働いた後、単一作物を育てる大規模農場で働いてみました。
整然と作物が植えられている広い畑に、たって抱いた印象は、「工場みたい…」ということです。
あまりにも無機質でした。
カメラのシャッターを押す気にもなれませんでした。
もちろん、農家の方々は、作物に愛情を持って育ててくださっていても、世の中の食料に対する需要に応え、農薬、化学肥料という選択をせざるを得ない現実があります。
ついには、遺伝子組み換え食品、それだけに耐性がある農薬まで現れ、畑の大量生産が加速しています。
また、日本の食料自給率は40%前後、先進国の中で100%以上(自国は十分にまかなえるため、海外に輸出している)という数字と比較するのもむなしいくらいです。
しかし、米が余っているのに、海外から米を輸入するこの現実…。
何か、大切なものを置き去りにして、私たちは進んでいるような気がします。
しかし、スーパーやコンビニからはそんな現実は、消費者の私たちに実感としてあまり伝わってきません。
足元を見ながら、大切に地域の土地をみんなで守っていかなければいけないはずなのに、選択し、買う消費者がいるから、今の農業の問題点もあります。
私たちが生きていくために、犠牲になっていくさまざまなものを知る、その最低限の責任は追うべきじゃないでしょうか。。。。
有機野菜を食べ続けて、アトピーやその他の病気をを治した人、症状が緩和した人の話も、日本やオーストラリアでたくさん聞きました。
食べ物はたんにお腹を満たすものではないと思います。
心と体と、地域の環境の安全を満たしてはじめて、人間の食べ物になると、優しい味の野菜たちが教えてくれました。
写真:多種多様な植物が植えられたパーマカルチャー農場
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初、訪問いたしました。
私も現実と、理想の狭間で食文化を考えております。
2007/11/10(土) 午前 1:28 [ - ]
食って、文化であり、生き方ですよね^^
ブログで紹介することで、仲間が増えたようでうれしいです。
2007/11/15(木) 午後 0:46