都市で自然生活〜気持ちいい暮らしの作り方

自然生活、町で始める-オーストラリア・ニュージー・韓国のオーガニックと都市での気持ちいい暮らし

★温かい堆肥〜バイオダイナミック

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バイオダイナミック(Biodynamics)農法

■ バイオダイナミック(Biodynamics)農家のケンさん

 ケンさんは「バイオダイナミック(Biodynamics)」という手法を使って、オーストラリアの北部で有機農業を営む、農家でした。


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バイオダイナミック(Byodinamics)とは、有機農業の形態の一つ。
しかしそれはただの農業ではなく、独特でスピリチュアル…精神的、神秘的なものに見えました。

自然界の法則にしたがって、農業を進めるのです。
例えば「この日には花の種を植える日、この日は実物を収穫する日」などと農事が決まっています。
農薬や化学肥料のかわりに、自然界から作られた独特のスプレーを使います。

常に、天気や気候、そして月の満ち欠けにも注意を払い、自然のリズムに耳を澄ましながら作物を育てます。
日本の古来の農事の知恵にも似ており、神秘的ですが、科学的な、理に適ったものに思えます。


■カンガルーに教わる

ケンさんは、野菜畑と果樹園を一人で切り盛りしていました。
畑にはなぜか、動物の骨がゴロゴロ落ちていて不思議でした。カンガルーやワラビー(小型カンガルー)の骨です。

オーストラリアの田舎にはカンガルーがひょっこり現れて、観光客を喜ばせます。
しかし、農家はそう甘いことは行っていられません。
道や畑のそばで、作物を狙うカンガルーは作物の敵だからです。
彼らがあまりに数が多いので、たびたび、交通事故で死んでしまったり、自然死で道端に倒れていたりするそうです。
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「今日、運転中に死んでいるカンガルーを見つけた」と言ってケンさんが持って帰って来たカンガルーの死体。
一緒に早速カンガルーの体を土に返してあげました
。…といっても土に葬るのではなく、堆肥として活躍してもらうのです!

カンガルーが土の中で、また生き帰ります。
死んでも、肉体は朽ちてなくなるわけではない…。
カンガルーとケンさんに教わりました。


堆肥は命のゆりかご

■ 温かい堆肥

ある日、堆肥の切り替えし作業をしました。
驚いたことに、 臭いがほとんどない。

生ゴミを放置しておくと、嫌なにおいが私たちを悩ませます。
都市生活に生ゴミはやっかいな「ゴミ」でしかありません。
私が今切り返しているその堆肥は、本当にあたたかくて、柔らかくて、そのまま寝転んで本でも読みたいぐらいの…何か特別なものに思えました。

なぜなら、窒素(例:いわゆる生ゴミ、肉、ウンチなど)と炭素(例:枯れ木、枯葉、髪など)を適切な分量で混ぜ合わせれば、それはうまく成熟し、土のごはんを作ることができるのです。

「命のゆりかご」という言葉を思い出します。
何千、何万かはっきりわからないがとにかく、小さな生物がこの堆肥の中で暮らしています。
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堆肥を掘り返すと、もう、本当にたくさん、たくさん柔らかいベッドの中から、名前も分からない色々な小さな生き物が寝起きを襲われ(?)わらわらと出てきます。
そして、中を掘り進めればすすめるほど、温度は上がっていく。
湯気まで上がってきます。
熱い。
この温かさは、堆肥がまさに今、微生物によって作られている証拠です。
ここでも微生物たちが懸命に、残飯、死体、草、などのさまざまな有機質を、畑を豊かにするための堆肥に変えていく。
今日この堆肥に入れたカンガルーも、静かに形を変えていきます。
有機農業が、命の農業だと思わされる瞬間です。

たくさんの命に支えられて、共同作業で、ひとつの物を作っていく。
手の中の野菜が、とても重くて、あたたかかい理由です。


「命の感覚」の鈍り

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■髪の毛はごみ?

あるとき、友達の髪を切ってあげました。
大量に髪の切りカスが出て、どこに捨てればいいか分からなくて、捨てる場所をケンさんに聞きました。
「爪でも、髪でも何でも、そこにある堆肥の中に、入れればいいよ」。
あ、そっか…。髪も土に戻ることができるんだ…。
髪の毛が土に変わることを、想像もできなかった、「生活力」オンチの自分に気付き、、恥ずかしく思いました。


普段、都会(まち)で暮らしていると、紙くずもウンチも、髪の毛もただゴミとしてしか処理されません。
少なくとも、私の頭の中でもそう処理されていました。
わたしにとって、髪の毛は、ゴミ、燃えるゴミでした。


でも、そもそもゴミって何?ゴミって…。
目の前で繰り広げられる、堆肥の中の「ゴミ処理」に、私は戸惑いました。
私の体からでる「汚物」「ゴミ」さえも、必要なものになってしまいます。
微生物ががんばって働き、資源に変えてしまう…。

■不必要なものなどない

「「不必要」は、この世の中にないのかな…?」
髪の毛をこれから土に変えていくだろう堆肥を前に、大地の懐の大きさにつつまれたような、あたたかな気持ちになりました。
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しかし、同時に少し怖くもなりました。
なぜなら、私のように住宅地や都市で生活していると、そんな感覚さえも鈍ってしまいます。
そうならざるを得ません。
人間が歴史の中で培ってきたそんな感覚が知らず知らずのうちに擦り切れてしまっているのです。
これからどうやって守っていけばいいのでしょうか…。
髪の毛も土に還る、という当たり前だった感覚を…。

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