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先日、川越市美術館で開催されている、特別展「広重と北斎の東海道五十三次と浮世絵名品展」(会期:2011年4月23日〜2011年6月12日。http://www.city.kawagoe.saitama.jp/www/contents/1300950399732/index.html )に行って来ました。この展覧会を知る事になった経緯は曖昧ですが、恐らく、朝日新聞の毎週水曜日の夕刊に掲載される展覧会のリストに載っていて見つけたのが発端だったんじゃないかと思います。 川越市の公式HPは、リンクが隅々にまで張り巡らされてはいません。時間経過に伴い、内容が変化し、そうした事によるメンテの工数=手数を減らす為かとも思いますが、見る者、情報を探す者にとっては、不要の手数を掛けないと情報に辿り着きません。だからか、内容は素晴らしいのに、ヤフー・ブログで「川越市立美術館」で検索する限り、今回の展覧会の記事はHITしません。「広重 川越」でHITするなかで今回の展覧会に触れているのは、いくつかありますが、展覧会自体が撮影禁止だからか、内容にちょっとでも触れているのは のみ。「展覧会自体、撮影禁止だから」でしょうね。 で、書いてみる次第。 会期も、もう2011年6月12日まで、ですので、あと数日です。同じ会期の展覧会に、 「写楽」展@東京国立博物館 「レンブラント 光の探求、闇の誘惑」展@国立西洋美術館 などもあり、これから回るには時間が足りない事もあるかも知れませんが、それでも紹介。是非、1名でも2名でも多くの方に行って貰いたいので。 初めは、訪問した展覧会一覧て記事でまとめて紹介すればいいかな…とも思っていたのですが。 なお、レンブラントも版画(主に銅版画)を作っていますが、版画を刷る際に和紙を使って刷ったものが多く残っています。当時、洋紙で和紙の様な柔らかさを備えたものが無く、和紙が主にオランダ東インド会社のルートに載り日本から輸出されていた訳です。刷ったものを見ると、洋紙で刷ったものと和紙で刷ったものとは全く印象が違います。和紙の方が線が柔らかく出て、微妙な線の具合が全体として見る事が出来る。洋紙では、どこか煩わしい線描画の様に感じます。効果を意識せずに制作する作家はいないでしょうから、そうした事から考えると、レンブラントは和紙によって(和紙での刷版を第一のターゲットとして)作品を展開して行った作家と見る事も出来る訳です。 △▼△▼△▼△▼ さてさて、川越市立美術館ですが、目の前、道路を隔てたところに、博物館&美術館&川越城本丸 専用駐車場があるのですが、私の行ったときで2台分のみ空き。で、私は停める事が出来ましたが、目の前で満車になってしまいました。野球場&市民プール(初雁公園)用駐車場も隣接してあるのですが、満車になった場合、そちらを使えるのか、どうか。朝早くでも無い限り、電車で行く方が無難かも知れません。 ただでさえ、川越は車が渋滞する地域ですし(私は朝方、埼玉県幸手市の権現堂公園のアジサイを見て、だったので、車。権現堂公園のアジサイは、まだほとんど咲いていませんでした)。まあ、川越にもコイン式駐車場は沢山あるんでしょうけど。 川越市美術館は、川越市博物館と隣接して建ってます。 これが川越市博物館。 で、その左隣の川越市美術館。 同じ立ち位置から写してます。博物館の画像の左端にある木が美術館の画像の右側に大きく写っていたのですが、トリミングで省いちゃいました。 どちらも蔵造りの町を意識して、こうした漆喰塗りの蔵の外観を備えています。そして、それ故、上へ建物を伸ばす事が出来ないからか、博物館、美術館、共に、B1Fを持っていて(2Fもあるんだけど)、今回の「広重と北斎の東海道五十三次と浮世絵名品展」は、B1Fでの開催でした(美術館B1Fの一部は、常設展用)。 展示品は、全て中右コレクション。中右瑛(なかう・えい)氏のコレクションです。「なか卯」の創業者…ではない筈(笑)。自らも作家である方であり、同時に国際浮世絵学会常任理事。竹久夢二の研究者、コレクターとしても著名な方の様です(http://www.kodo-bijutsu.jp/artist/2d/nakau.html など参照)。現在、東京国立博物館で開催されている「写楽」展の方にもコレクションの一部を貸し出していらっしゃいます。検索してみると、数年を掛けて「中右コレクション 大江戸の賑わい〜北斎、広重、国貞、国芳らの世界〜」展(もしかして、株式会社アートワンが企画?でも、アートワンのHP http://www.artone-kyoto.jp/queryform.html には掲載されていない)が巡回していた事もあります。 中右瑛氏は現在、神戸市在住の様ですが、千葉市美術館(浮世絵・日本画などでの実績多し。館長、学芸員も、そうした人脈に連なる)にも作品を「寄託」しており、余り「手元に所蔵」にこだわらない方にも見受けられます。 2011年5月8日には、中右瑛氏ご本人による講演も行われたそうな(http://www.city.kawagoe.saitama.jp/www/contents/1300951709675/index.html )。 今回の展覧会は、順路が分かり難いものでもあり、こんな印刷物を入場時に渡されました。これで、順路は明確になる道理。 ここで注目して頂きたいのは、実は、画像の下部に書かれた展示品の並びです。 保永堂版の広重「東海道五十三次」 蔦屋(蔦重=蔦屋重三郎)版の広重「五十三次名所図絵」 北斎「東海道五十三次」(一部、柳川重信による改作版) 大正時代の東光園「東海道〜広重五拾三次現状写真対照」からコピーした写真 が並べられています。 これが、「五十三次」分、全部揃って展示されています。それに加えて、他のものが54点。盛り沢山の展示です。 出品目録は、表裏1枚。 この記事の画像は全て、カーソルを合わせてクリックすると、別ウィンドウで大きく拡大表示されます。そうすれば、文字は何とか読めるかと思います(それでも小さいと思う人はいると思うけど、私には何とか読めるので、良しとします)。全222点の展示(写真を含めると、更に56点?)。 写真は、いい思い付きだとは思うのですが、私としちゃ、あんまり得るもの無し。大正時代の撮影。私としちゃ、そこに添えられている英語の説明文の誤植や文法間違いの方が興味深かったくらい。 北斎も、確かに「五十三次」の分あるのですが、あんまり全体との関係性を感じませんでした。 ここでの収穫は、保永堂版と蔦屋版の比較、対比。蔦屋版は、鳥瞰図としての構図が多用されていますが、それ以上に、今回は保永堂版の保存状態の良さが際立っていました。浮世絵は所詮 木版印刷物であり、オリジナルとて広重の東海道五十三次ともなれば数万点は印刷されているだろうと言われる代物。私とて広重の「五十三次」は全揃いで数種類、それぞれ数組所有していますが(←この部分、大嘘。スマソ)、これほどの保存状態のいいものは滅多に見られません。一度見ておく事をお勧めしたいと思います(この鮮明さは、私にとって、かつての永谷園「松茸のお吸い物」に入っていた広重 保永堂版「五十三次」カードのレベルw)。 保永堂版に較べると、ここに出て来た(=展示されている)蔦屋版の「五十三次」が、どうも間抜けに見えるのが、ちと残念。保存状態が保永堂版に及びもつかない品が多く含まれている事が、そうした思いを助長しているのだと思います(蔦屋版だと、刷り後50年程度経って流出したのだろうと考えられる、遠い地に渡った、ゴッホ所蔵=現。ファン・ゴッホ財団所蔵=ファン・ゴッホ美術館所蔵の「宮」=熱田の方が遙かに保存状態がいい)。保永堂版は横の構図が多く、それに対して蔦屋版は縦の構図が多い。保永堂版は横の構図を活かす為、縦を圧縮し、家屋まで少し縦長に描かれるいるほど。蔦屋版は縦の構図を活かし、鳥瞰図風の視点を多用する事に(保永堂版でも岡崎だったかは、明らかな鳥瞰図風の構図であり、鳥瞰図は蔦屋版での発明ではありません)。かつて那珂川町馬頭広重美術館などで見た、蔦屋版「五十三次」の感銘ほどのものを感じる事は出来ませんでした。まあ、那珂川町馬頭広重美術館のときは、それだけを集中して見ているので、私の心持ちの方も違うのかも知れませんが。 なお、私は、保永堂版「五十三次」が全て写生に基づくものだとは考えていません。構図が他者の「五十三次」図からの盗用が多い事もありますし、構図の援用の際に、実際とは異なる方向での拡張があったりします。他にもあり得ない組み合わせもあります。那珂川町馬頭広重美術館には、広重の肉筆画が多数所蔵されており、企画展示の際でも必ず2点ほどは展示されていますが、極めて精巧なものです。実際に写生したのであれば、こうした間違いは起こり得ないものと考えます。 もっとも、風説にある様に、幕府から朝廷へ献上する馬の行列に付いて行ったのだとすれば、宿泊などは五十三次全てに止まる訳でもなく、写生が疎かになる地点があったとしても不思議ではない事になりますが。 広重の保永堂版が全て厳密な写生に基づくものでなかったとしても、「三島(朝霧)」「箱根」「蒲原(夜の雪。蒲原で雪は先ず積もらないらしい)」「庄野(白雨)」など、その場所を知らずとも、一枚の絵として秀逸で、それだけでも鑑賞に値する作品を多く含んでいます。だからこそ、浮世絵史上最大のベストセラーとなり、後に海外にも広く流出したのだろうと考えます。 △▼△▼△▼△▼
〜 文字数がヤフー・ブログの上限5,000字を超えてしまったので、記事を分け、以下は「その2」(http://blogs.yahoo.co.jp/ubiquitous_budda/60677494.html )に続く 〜 |
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