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(1)
2014年3月25日から、横浜でIPCC(Intergovernmenntal Panel on Climate Change。国連の一機関)の総会が開催されている。そこでの大きな議題は、もはや「二酸化炭素の濃度上昇により地球温暖化が起こるか?」「二酸化炭素上昇は人間の活動によるものか?」ではなく(昨年2013年9月にIPCCは「温暖化は人間活動が原因」と結論づけたそうな)、「地球温暖化に、どう適応すべきか?」に移って来ているそうだ。まあ、この議題が全てを決める訳ではないが、何かを象徴するものと捉えても間違いは無いだろう。だって、二酸化炭素濃度が上昇してきている事は観測によって確かめられているし、人間の活動で二酸化炭素が排出されている事も間違いない。後は、それが、どう地球環境の変化に結びつくか、って事だ。この部分は、ある程度は気象予測の計算で予測する事が出来る。が、計算に基づく予測ってものは、今迄判明している事を計算式の中に織り込む事が必要で、分かっていない事象は計算式の中に含まれず、結果は、その範囲で異なり得る。また、計算結果は一つしか出て来ないものではなく、多くの場合、初期状態や途中の確率論的選択により異なって来て、いくつもの結果が出てしまう。それを、どう「予測」として出して行くか?には、「判断」が混じって来てしまうのを避けられない。本来ならば、その結果の「範囲」(「ばらつき」)をこそ発表すべきなのだが、IPCCの予測結果は、余りにも一義的に出されている感を「私は」抱いてしまう。
そうであれ、今迄の人間の活動を見て行く限り、何らかのinnovation(人工光合成が出来る様になる、とか、エネルギーの面で石油やガスなんかより経済的なものが出て来るなど)が出て来ない限り、地球温暖化は、もう避けられないものだろうと感じている。理由は、大きく言って、2つ。
(A)世界の人口が、急激に増えた事。1970年代にローマクラブの「成長の限界」が出た時点で、確か38億人程度であった人口は、現在、70億人程度と推定されている。
(B)その世界の人口の大部分が、現在の日本程度の生活を享受しているのならば、二酸化炭素排出を減らして行く手段はあろうが、多くは貧困層であり、経済成長は、二酸化炭素排出の増加を意味する地域が多い。
の二つ。それに加えて、米国と中国の2大排出国が二酸化炭素の排出低減にさして熱心でない事と、日本が原発の停止にも関わらず再生可能エネルギーの開発に熱心でない事で、二酸化炭素の排出量を増やしてしまっている事。欧州とて、さして二酸化炭素の排出量を減らす事は出来ておらず、多くは新興国の増加を抑える事での排出量取引に頼っている。これは、新興国の成長に伴う二酸化炭素排出量の増加率を抑える事は出来ても、結局は人類全体としての二酸化炭素排出量は増えてしまう。
おまけに、二酸化炭素排出量を減らす方策を、現在の人類は、資本主義社会のルールの中で、いまだ手にしていないのだから(せめて米欧日の3地域で共通二酸化炭素税が成立すると同時に、域外からの輸入品に対する同方式での共通関税が成立しないと無理かも)。
(2) とは言え、実際に二酸化炭素の排出が今世紀中の急激な地球温暖化をもたらすか?と言えば、まだ不確定要素は大きい。理由は、最も大きなものは、システムとして、計算し尽くされていない要素が、まだまだあるだろうって事。これは、要素として対象外になっているものもあるだろうし、従来の計算式の「値」が正しくない、って事もあるだろう。
が、それ以外に言われている事として、大きく、次の3つの要素がある様に思う。
(D)太陽からの熱放射の減少
太陽の活動には11年周期のある事が判っていて、この周期は、太陽の磁気の極転換と関連があるらしいと言われている。そして、太陽活動と黒点(磁気線の歪みが太陽放射面から外に出る口と、太陽放射面に入る口)の数が比例しているらしい事が判っている。
現在、この黒点が、かなり少なくなっている。黒点については、ガリレオ以来過去400年の観測の積み重ねがあるが、黒点の少ない時期には、地球が寒冷化した事が判っている。この事から、これから暫く、太陽からの熱放射が減るのではないか、とも言われている。
この事については、熱放射量を過去、人工衛星の太陽電池などで正確に測った事があり、現在、ほぼリアルタイムで観測していないのだろうか?と、若干疑問に感じている(もしかしたら観測は、期間限定で行い、その後は一定と「想定」したのかも知れないとも考えたが、http://www.nasa.gov/topics/solarsystem/features/solar_variability.html によると観測は継続している模様)。1〜2%の熱放射の減少でも、地球の気候には大きな影響があると言われている(通常は0.1%程度の変動幅らしい)が、これに関しては、計算式である程度予測出来ないのだろうか? 全ては値の大小で言える話とも考えるのだが。
寒冷化を言う人たちから黒点以外の話が聞こえて来ないのが不思議。
(E)宇宙放射線の増大
これに関しちゃ、(i)(iii)を除き、かなり期間の長い話になってしまい、百年単位の話ではない様に感じる。この話については、地球に降り注ぐ宇宙放射線が増え、それに伴い、雲の発生量が多くなり(霧箱の原理。水蒸気のあるところに宇宙放射線が降り注ぐと、水蒸気が水滴に変わる)、雲の発生量が多くなり、それに伴い、太陽からの熱放射を大気圏外にまで反射する量が増えて、結果として、地表や大気の受け取る熱放射量を減少させる、って論理。
論理は大きく言えば、以下の通り。
(i)太陽の活動の低下
太陽の活動によって、太陽の磁気やプラズマで、太陽系外からの宇宙放射線がはじき飛ばされている(一方、太陽からの放射線は、地球の磁気で、ある程度はじき飛ばされている。この太陽からの放射線が地球の磁気で特定の区域に集まり、大気と反応しているのがオーロラ)が、太陽の活動低下に伴い、宇宙放射線の量が増える。
太陽活動の低下に伴う宇宙放射線の増加量は、確実な変数が科学者の手元に無く、また、宇宙放射線の増加に伴う雲の増加量も確実な変数の値もが科学者の手元に無いのではないか、と私は懸念しているが…。
(ii)銀河系中の太陽系の位置による宇宙放射線量の増加
これは、増加するのは確実で、これを盛んに強調する自称学者さんもいるが、推移のサイクルが1.4億年程度の話であり、ここ数百年でどうこう言う話ではない。
我々のいる銀河系の形は今迄色々議論されて来たが、最新の決着を見ている話では、真ん中に一本の帯の様な恒星群の塊があり、そこから2本の腕か炎の様なもの(スパイラルアーム)が真ん中の柱の端より、うっすらと 伸びている形(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E6%B2%B3%E7%B3%BB 参照。2011年になって、初めて観測事実から明らかになった形状)。そして、太陽系は現在、この手と手の間の、恒星が余り無い区域(オリオン腕付近)にあるのだが、真ん中の帯以外の、周囲にある恒星群は、同じ角速度で回る訳ではなく(同じ角速度だったら、腕と太陽系の位置関係は変わらない)、あたかも車が渋滞にはまるがごとく腕の中に入り、出て行くと考えられている。それ故、腕の中にあるときは、近隣にある恒星との距離が近づき、また、その結果、近隣にある恒星が増える事になり、地球に降り注ぐ宇宙放射線の量が増える。この結果、雲が増え、地球は寒冷化する。この学説は、地球の氷河期の周期と合致する(まあ、合致する様に、学説が組み立てられている、って事なんだが)。
この周期が、これから地球が寒冷化する周期に入っている、って説なんだが、数百年でどうこうする話ではないと考える。また、この説で今地球が、どの場所にいて、宇宙放射線がどれだけ増え、どれだけ雲が増えるのか、は変数の値が入手できていないではないか、と考える。
こんな話をするのなら、地球の公転周期の方がよほど、周期の短い話。楕円軌道を描く現在の公転周期だが、この公転周期は、過去一定だった訳でもなく、変動している。この事で、地球と太陽の距離が変動し、地球が受け取る太陽熱放射の量が異なって来る事になる。また、地球の公転周期との角度(軌道傾斜角)も、多少変化している(地球には月があるお蔭で、この傾斜角度の変化が小さく抑えられている)。この周期の方が、よほど短い筈だが、それとて数百年で目に見える変化が出て来る代物では無かろう。
こんな話をする位なら、福島第一原発事故やチェルノブイリ事故に伴う雲の量の変化を測定した方がよほど実用的。
(iii) 恒星のガンマ線バースト
これは、今爆発しそうなものが少なくとも二つ(一つはベテルギウス)あるが、明日かも知れず、また1万年後かも知れない話。その程度のレンジを持つ話。起こったときの事も考えなければならないだろうが、起こる事を前提に、温暖化は無いと言い切る訳には行かない。
現在の人類は、二酸化炭素の放出量をコントロールする術をいまだ手にしていないのだから。
なお、三葉虫の絶滅には、宇宙放射線が関わっているとされる(原因となった恒星も特定されている)。深い海中や何かの遮蔽物の影にいた生物しか生存出来なかった訳であり、宇宙放射線でも地球上の生物の大量絶滅が起こるって事だが、宇宙放射線の自転軸に関する角度とガンマ線バーストから発生する宇宙放射線の量は計算されており、ベテルギウスのガンマ線バーストで人類が絶滅する事は考えなくてよいとされている。
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火山の噴火によるエアロゾルの噴出と浮遊も大きな影響があるとされる。が、噴出物が白ければ太陽放射に対する反射が大きくなり寒冷化に繋がり、黒ければ太陽放射を吸収し温暖化が進むとされる代物であり、計算し切れない。継続的に出ているPM2.5(大体は、燃焼によるものであり、黒いw)の影響も考えなくてはならないものになる。
(3)地球温暖化と言っても、一方的に暑くなる訳じゃない。暑くなる場所もあれば、寒くなる場所もある。大切なのは、今迄の気候パターンに変化が起こる、って事。
これは、農業に関して、影響が大きい。農業は、ただでさえ気象の変動幅に対しての対策が重要な産業だが、地球温暖化は、人類の耕作史上、今迄経験しなかったパターンをその地にもたらす事になる。そして、変動の速度は、今迄人類の経験しなかったスピードとなると予想される。農業の対策は重要なものとなろう。農業は、少なくとも種をまいたときから収穫を考えて行うものだけに、計画通りに推移しない気候は、食物の確保に大きな影響をもたらす事が予想される。
また、海中への二酸化炭素の溶ける量が大きくなる筈で、これは海中の酸性化をもたらす。貝の殻などは、炭酸カルシウムで出来ており(哺乳類などの骨はリン酸カルシウム)、酸性化で殻を作る事が困難になる、などの影響が、既に出ている地域がある。珊瑚も同様の事が考えられる。これは、漁業にも大きな影響をもたらす事だろう。
余りのスピードで変化が進めば、生物の中には対応し切れないものが出て来る事も考えられる。環境変化は進化を促進するが、それは、既にある生物の退出が先にあっての話になる。昆虫の様に、世代交代の短いものは進化を進めて対応するかも知れないが、大型生物で移動し切れないものの中には絶滅するものが増えて来るだろう。地球温暖化は、生物の大量絶滅に繋がる可能性があるし、それは生態系の変化を意味し、採取産業である漁業などは、史上初めての変化を体験する事になる筈だ。
取り敢えずの事を言えば、地球温暖化は、社会問題に直結するのだ。この事については、私の過去の記事
温暖化は、何よりも社会問題です。温暖化で地球は破滅なんかしません。
http://blogs.yahoo.co.jp/ubiquitous_budda/53907466.html
(2008年7月1日UP)
をご参照下さい。
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2014年4月27日23:30〜NHK総合TVで放送された「サイエンス・ゼロ」で、(2)-(E)-(ii)の「銀河系中の太陽系の位置による宇宙放射線量の増加」が説明されていました。
2014/4/29(火) 午前 3:59