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朝日新聞2006年6月4日付朝刊第38面から。ベタ記事だが、よく読むと、トヨタ販社グループに大きなコンプライアンス体制の不備がある事が判る。また、この弁護士事務所は、職務上の秘密の漏洩に当たり、弁護士会内部の懲戒事項に相当すると考えるが、どんなものか?
☆★☆★☆(以下、引用)
トヨタ販売会社グループの「大阪トヨペット」(大阪市福島区)の社員が、4月に施行された公益通報者保護法に基づいて設置された販売会社グループの通報窓口に内部告発した直後、同社から自宅待機を指示されていたことがわかった。窓口を努めた弁護士事務所から告発者の氏名が同社に伝わっていたという。
内部告発したのは、営業担当の40代の男性社員。この社員が勤務する店で販売実績を水増ししているとして、4月5日、「トヨタ販売店ヘルプライン」へ電話で情報提供。東京都内の弁護士が受け付けたが、社員は実名を名乗っていた。翌6日、上司から10日間の自宅待機を指示されたという。
大阪トヨペット経営企画部は「自宅待機が法に抵触しないか弁護士と相談したが、問題はないと考えている」としている。社員は「通報制度は当然、匿名が前提で、実名が会社に伝わるとは思っていなかった。自宅待機は事実上の処分だ」と話している。
(以上で、引用終わり)☆★☆★☆
大阪トヨペットに社員の氏名が伝わった段階で、証拠保持などの目的があれば、給料を保証した上で自宅待機を命じるならば、その措置自体には問題は無いと考える。給料の減額などがあれば、その措置自体に問題がある。
が、それよりも大きな問題は、販社グループの内部通報窓口である「トヨタ販売店ヘルプライン」から大阪トヨペットに社員の名前が通報された事。これでは、内部通報者の保護とは大きく異なるし、結果として、内部の不正はそのままにされる事になる。
トヨタ販売店のオンライン・システムは事実上、トヨタの指導の下に構築されている。ガズー(gazoo)なども、そう。で、ガズーなんかでは、そこから販売店への連絡に一段階ある事と、そこを利用する事で契約に至ったときに手数料を取られるので、それを嫌って、直接メールなどで交渉を進めようとする販売店などもいるシステムだ。
これが、上記の様な内部通報者の氏名をその販売店に投げ返す様なシステムになっているとすれば、システム設計上の重過失か、故意。問題点は深く、大きい。
かつて、三菱自動車が、違法と知りながら、販売店でヤミ改修を続けた事があった。この点で、私は販売店が三菱自動車と一緒に苦境に陥っても同情する気にならなかった。が、トヨタも同様の社風がある様だ。
仲間内は何があっても守る、例え不正であっても。これは、戦国時代に生まれた「武士道」の根源的な趣旨だ(この点で、惻隠の情だけを以て「武士道」とする「国家の品格」の著者、藤原正彦の歴史の知識の浅さには戸惑うばかり。この人は、日本の歴史を語る資格が無い)であり、現在のヤクザ(暴力団)の中でかたくなに守られている規律であり、韓国にあっては国家の行動原理にまで見て取れるものだ。
が、こうした原理は今や捨て去るべきものだろう。もっと透明な、貫徹した意識が求められる。特に、ビジネスの上では、尚更だ。顧客第一が貫かれなければならない。
今回は、トヨタ本体も糾弾されるに値する。
トヨタ米国社長のセクハラ訴訟と言い、トヨタも三菱自動車と同様の末路を辿るのか?信頼していただけに、残念だ。
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