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最高裁は、2011年3月23日の衆議院定数違憲訴訟でも判決で、小選挙区の定数配分に関して、概略「違憲状態なれども、まだ合理的な是正期間内にあり、選挙自体は有効」との判断を示しました。違憲と違憲状態は、おおまかに言えば、赤信号と黄信号の様なものなれど、私の考えるところ、この様な差を設けるのは、結局のところ、
(A) 現状を「無効」とすると影響が大き過ぎると考えての論理の組み立てに過ぎず、
(B) 2005年に合憲判断をした事との間での判例変更としたくなかった、
と云う2点を考えての「安定性」を重んじての論理構成に過ぎないと考える。この様な判断を続けていると、司法の最終判断が、立法府に警告としての明確な「違憲状態」判断を示していない限り、「違憲」にはならない、なんて論理まで生む可能性がある。
何が、憲法の命ずる最大価値か、を考えれば、判断は明々白々であるのに、それを様々な「配慮」で歪めているのは、「現実的」どころか、憲法価値の毀釈に通じるものだ。
まあ、こう簡単に行かないものの最重要項目に憲法9条の扱いがあり、それが司法の態度を歪めているのは容易に想像が付くが、だからと云って、他の領域でも同じ様な事をしていては…憲法判断より先に最高裁裁判官の国民審査での失職の方が先になるやも知れん。そうなって初めて、違憲判断をしっかり出来る様になるのだろうか?
2007年の参議院の地方区の定数配分については、最高裁2009年9月30日の大法廷判決により合憲とされている。現在、2010年の参議院の地方区についての定数配分についての訴訟が、どこかのレベルで係争中の筈だ。私は、これについて、明確に「違憲」とし、「地方区選出議員全員の即時の失職」を宣言すべきだと考える。
理由は、以下の通り。多くの言葉を必要とする様な事柄では無かろう。
(1) 憲法は、国民の平等を宣言する。然るに、1票の価値が定数配分の段階で4倍を超え5倍近い格差を伴う様な選挙は、もはや「平等」とは言えない。これは明らかな事であり、2倍の格差でも平等ではあり得ない。
その他の様々な政治的配慮などと云うものは、憲法で明示された価値ではない。
(2) 国会への代表の選出は、全ての国権の最初の経路となるものあり、ここは最高度の厳密さを以て運営されなければならない。然るに、それが歪んでいては、全てが歪む。
(3) 参議院は第二院だから、衆議院とは別の配慮を入れる余地がある、との議論がある。然るに、現実は、どうか?参議院の権能は、予算を除いては、ほぼ衆議院と同等であり、衆議院の2/3で再議決しない限りは、参議院には「拒否権がある」状態となる。然るに、参議院の定数配分に問題があり、また衆議院の定数配分にも問題がある状態では、どうして、国民の意見を正当に反映出来ようか?
(4) 参議院議員は任期が6年あり、3年ごとに半数が改選される。いま「違憲状態」で選挙は有効と判決したとて、その公職選挙法の改正を伴っての是正は、過去の選挙を有効とし続ける限り、早くとも2016年(2回先の選挙)まで掛かる。それまで歪んだ議員構成が存続し続ける事になる。第二院と言いながら、衆議院より長い任期を持つのは誤った前提(参議院の方が、識見の高い者が選ばれるとの前提)に立っているからだ、と個人的には考えるが、第二院であるならば、それはチェック機能を主たるものにすれば足り、それは地方区選出議員を全て失職させ、全国区(比例代表並立制)で選出された議員のみを存続させたところで可能な筈だ。
まあ、地方区選出議員を失職させ、全国区選出議員だけにすると、現状では民主党が過半数を占めるのかも知れんが、それは、国民の選択の結果でしかない。歪んだ選挙区割を維持し、そこで議論しているよりマシだ、と考えるしかない。
(5) 衆議院に対しても、本来ならば、現状で「違憲」と宣言し、行政法での事情判決の法理を使って現状の議員の地位だけを保証した上で、公職選挙法が改正出来なかった場合の選挙方法(全面的な比例代表制で構わない)を最高裁自らが定めるべきであった。まあ、「違憲状態」と宣言しても、公職選挙法の改正出来なかったときの選挙方法を示す事は出来た筈だが、安易に国会に委ねてしまった。その結果は、現状見ての通りだ。
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もし、最高裁が参院の地方区の定数配分について「合憲」の判断を下した場合、最高裁の国民審査では、そう判断した裁判官に堂々と「×」を付けようではないか。そうしない限り、国民は舐められたままだ。
まあ、ここのままでは、現実的な線で予想される判決は「違憲状態」だが、選挙自体は合理的期間内にあり「有効」って判断だったりするのだが、そんな判断は「妥当」と考えられるだろうか?
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私は、参議院に関しては、最終的には憲法改正が必要だと考えている。参議院を存続させる場合でも
(A) 参議院の議員の任期は4年とし、2年ごとに半数が改選するものとする。
(B) 参議院の定数は衆議院の定数の1/2を超える事が出来ない事を憲法上明記する(250人を超えたら、問題だ)。政党政治に於いて、第二院があまりに大きな影響力を持たない様にする為。
私は、衆議院の定数を300人(厳密な定数配分による人口60万人を基盤とする小選挙区選出200人+全国1区での比例区選出議員100人)に抑え、参議院は任期を4年とした上で150人(精々200人)とし、全員を全国区比例区方式で選出するのが妥当だと考えている。そうした場合、両院の議決が異なったなら、両議員協議会を議員全員での1院構成で開催し、決議を採る事が可能となる。
(C) 参議院が内閣の不信任案決議を行う場合もしくは問責決議を行う場合、その名称を問わず、参議院は自動的に解散し、半数のみを選挙で選出する事とする。そうでない限り、参議院は無責任に構成比率だけで、そうした決議を繰り返す可能性があるから。もし、自律的な解散を行わない場合、決議に内閣全体の責任を問う決議としての効力を憲法上、否定する。
などの事を定める事が必要だろう。
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以上、結構、短時間で書いてしまったものだが、以前より考えていた事を文章にしただけの話であり、書庫としては、「My statement」に格納する。
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