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2008年12月12日発表の経済対策(口先だけは、ものすごいスピード感ですことw 実施は出来るの?)のうち、景気に影響があるとは思えず、選挙対策ではないか?と疑われるものを、その疑いが強い順に、挙げてみる。そりゃ、負担が軽減されれば、有り難い層はいるさ。でも、それが景気と結びつくものなのか?と言えば、関係ないものが紛れ込んでいる気がする。
内容の要約は、朝日新聞2008年12月13日付朝刊第6面によった。
● 政治活動に関する寄付をした場合の寄付金控除の特例または所得税額の特別控除の適用期限を5年間延長する。
← 単に「景気が悪いから政治献金出来ない」との言い訳を封じ、政治献金の額の維持を狙っただけではないのか?
笑止。
● 生命保険の介護保障または医療保障を内容とする契約・特約の保険料について、現在の控除と別枠で4万円の所得控除を創設する。
← 介護保障または医療保障は大切なものであるから、生活が苦しいとして契約が解除されるのを防いだのだ、と善意に解釈する予知はある。が、それならば、医療保障を損害保険で行う形のものは何故対象にならず、「生命保険の契約・特約」だけが所得控除拡大の恩恵を受けるのか?損害保険で医療保障を行うものが第三分野とされ、外資系がほとんどである事との関係を疑ってしまう。
<その他、土地取引に関わる税や相続税の負担減は、不動産業者や中小企業経営者の負担を減らし、苦しい層の負担減にはつながるものの、景気回復とはほとんど無縁のものである。こんなものがある。運用を注意深くみないと、選挙対策が紛れ込んでいるだけの場合が出て来る>
● 事業者が09〜10年の期間に国内にある土地を取得している場合、10年以内(レイ豚註:これは年度ではなく期間と解した)にその事業者の所有する他の土地の譲渡をしたとき、先行して取得をした土地について、他の土地の譲渡益の80%相当額を限度として、圧縮記帳ができることとする。
← 「圧縮記帳」の中身が私には解せない部分もあるんだが、譲渡損失で譲渡益を相殺出来る、と云う範囲内の事なら納得も出来る。が、それを超えて行えば(取得費用と譲渡益との相殺など)、それは景気回復の本則ではなくなる。そうしたときは、金融緩和してのち発生するおそれのあるバブル(注意深く運営しないと、不況に対応しての金融緩和の後にはインフレや、全体的に広がらない場合は一領域でのバブルが発生し易い)の芽を今作るに等しい愚策。
● 個人が09〜10年度に取得した国内にある土地で、所有期間が5年を超えるもを譲渡した場合、その年中の当該譲渡にかかる譲渡所得の金額から1千万円を控除する。
← 「個人」とは限定しているものの、「宅地」(土地利用形態は登記されており、確認可能)と銘打ってもいないしね。 1千万円分までは非課税とする、と同趣旨なんだが、住宅ローン減税と合わせると、どうも納得が行かない大盤振る舞い。特に、不動産に対して、ここまでの大判振る舞いをする意図に少々疑念を感じる。
年度を限ってのこうした減税(この2年間に取得した土地は、譲渡がない限り、永遠にこの措置を受ける対象となる)は、不公平(人生設計上、他の年度で取得する人間は山ほどいる。そうした人間との不公平)を補って余りある政策効果がある場合にしか発動すべきではないと考えるが、そうした政策効果が見込めるとは思えない。むしろ、販売する不動産業者の側にこそ、効果が出るもので、販売促進策にはなっても、景気にまで影響が及ぶものか、どうか…政策の「単位効果」(限界効用)に疑問を感じる。
(次は、運用がマトモなら、いい政策)
● 取引相場のない株式などにかかる相続税・贈与税の納税油よ制度の特例の創設
経営承継相続人が非上場会社を経営していた被相続人から相続などによりその会社の株式を相続し、その会社を経営していく場合、経営承継相続人が納付すべき相続税額のうち、相続などで取得した議決権株式にかかる課税価格の80%に対応する相続税の納付を猶予する。
後継者が、経済産業相の認定を受ける非上場会社を経営していた親族から、贈与でその保有株式の全部を取得し、その会社を経営していく場合、対象株式の贈与にかかる贈与税の全額の納税を猶予する。贈与者の死亡時には株式を相続により取得したものとみなして、贈与時の時化により他の相続財産と合算して相続税額を計算する。その際、経産相の確認を受けた場合には、相続税の納税猶予を適用する。
← 運用次第では、困っている中小企業経営者が、突発的に発生した相続税の納税義務で資金繰りに支障を来さない様にする、良い制度。ワカラナイのは、「経済産業相の認定を受ける非上場会社」の場合。全株式の贈与で経営権を取得する経営上の必要ってものもあるんだろうが、「経済産業相の認定を受ける非上場会社」が、もうある制度なのか、これから認定するのか?が気になる。こうした認定が一律条件でなく個々の企業で行われる場合、権限があるところへの政治家の口利きが行われ、それが選挙の支持取り付けにつながる場合が、よくあるから。
ついでに言っておくと、こうした贈与税の納税猶予が、相続税の対象になる親族の間にしか認められないとすれば、それはそれで不公平を起こす可能性がある。親族でない場合は、対価を伴うのが通常ではあろうが、決して経営が楽ではない非上場会社の場合、負担を引き継ぐ替わりに、株式の売買には対価を生じない形での譲渡(=贈与)なんてのもありそうだ。まあ、対価として、極めて安い価格を設定する事で贈与税の対象にならない事もあり得る訳だが、それは、税務署の認定による。中心になる従業員や、集団としての従業員による買収なんかも考えると、経済産業相の認定が条件になるから、もう少し間口を広くしておいてもいい様な気がする(従業員による買収の場合で贈与税の認定があった場合、ここでも納税猶予を認めてもよい、と考える)。
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