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「追跡!真相ファイル File.76 低線量被ばく 揺らぐ国際基準」
NHK総合・2011.12.28
 
 
追跡キャップ:鎌田 靖
追跡サポーター:室井佑月
追跡チーム:涌井洋、西脇順一郎
 
<千葉・柏市街地>
 
室井「幼稚園とかも普通にやってますね。こんな住宅街の中に(立ち入り禁止区域が)あるんですか?」
 
福島第一原子力発電所の事故から9カ月、私(※鎌田)は作家の室井佑月さんとともに千葉県の柏市を訪ねました。
 
鎌田「あ、これだ。これだ」(道路に「通行止」の看板)
 
原発からおよそ200キロ、一部の場所で今も放射性物質が検出されています。
 
鎌田「住民の人たちにとって本当に驚きだろうし・・・」
室井「不安だと思いますよ」
 
一児の母親でもある室井さんは、同じように不安を抱える人たちからの依頼を受けて、各地で放射線量を測る活動を続けてきました。
 
室井(地表を測りながら)「0.55(マイクロシーベルト)毎時」
鎌田「年間にすると・・・4.8ミリシーベルト」
 
<「ベクミル」>
 
食品に含まれる放射性物質の量を調べる民間の施設です。国は生涯100ミリシーベルトを上限に食品の安全基準を定めています。しかし人々の反応は・・・
 
「子どもに関しては、この数値でも心配だなと思っています」
「皆さん今の(国の)基準を信じている人は殆どいらっしゃらないと思います」
 
室井「だから、やっぱり根拠なんですよ。ただちに影響がないとか言われても根拠がないので、よけい一層不安なんですよ」
 
国が根拠としているのがICRP(国際放射線防護委員会)が定める基準です。100ミリシーベルト以下の低線量の被曝のリスクは極めて小さく、殆ど影響がないとしています
 
本当にそうなのか?
 
低線量被曝の実態を調べるため、追跡チームは海外を取材しました。
 
チェルノブイリ原発事故の影響を受けた北欧スウェーデン。放射線のレベルはあまり高くなかったこの地域でも、ガンが増えていました。
 
食べ物を通して被害が広がったと見られています。
 
「私たちは何も悪くないのに、なぜこんな目に遭うのでしょう」(住民の声)
 
さらに国際基準を作ったICRPの当事者たちにも取材。低線量のリスクはどう決められたのか。驚くべき事実が明らかになりました。
 
ICRP名誉委員
「低線量のリスクはどうせわからないのだから、半分に減らしたところで大した問題はない」
「科学的な根拠はなかった。我々の判断で決めたのだ」
 
揺れ動く国際基準。知られざる低線量被曝の実態とは。追跡が始まる。
 
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これまで、殆ど影響がないとされてきた低線量被曝。それに疑問を投げかける事態が世界で起きています。スウェーデン北部ベステルボッテン県。古くから少数民族サーメの人々が暮らしてきました。
 
「いま周辺でガンが増えています。放射能が原因ではないかと疑っています」
(住民の声)
 
原因と見られているのは、25年前に起きたチェルノブイリ原発事故。放射性物質を含んだ死の灰は、1500キロ離れたサーメの町まで降り注ぎました。当時の放射線レベルは、年間およそ0.2ミリシーベルト。国際基準の5分の1程度の低いレベルでした。
 
しかし今、ガンになる住民が増えています。事故の前と比べると、34%増加しました。
 
事故直後スウェーデン政府は、食べ物に含まれる放射性物質の安全基準を設けました。
 
人々がよく食べるトナカイの肉は1kgあたりの上限が300ベクレル。
現在(※2011年12月当時)の日本の暫定基準値(500ベクレル)より厳しい値です。
 
サーメの人々は食べる肉の量も減らし、体への影響を抑えようとしてきました。
 
「いつガンになるかわからないし、子や孫への影響も心配です」
 
なぜガンが増えたのか。住民の調査を続けてきたマーティン・トンデル博士は汚染された食べ物を体内に取り込んだことでリスクが高まったのではないかと見ています。
 
トンデル博士は汚染地域で暮らす全ての住民110万人のデータを解析。ガンになった人の被曝量を調べると、事故後10年間の積算でいずれも10ミリシーベルト以下だったことが分かりました。ICRPが殆ど影響がないとしている低線量でも、ガンになる人が増えていたのです。
 
「この結果に驚きました。明らかになったリスクがICRPより高かったからです。リスクは外からの被曝だけでなく、内部被曝に左右されるのです」(トンデル博士)
 
次に追跡チームが向かったのは、世界一の原発大国アメリカ。ここではより影響を受けやすい子どもたちに深刻な問題が起きていました。イリノイ州シカゴ郊外。周辺に3つの原発が集中しています。
 
原発から排出される汚水には放射性トリチウムが含まれていますが、アメリカ政府は国際基準以下なので影響はないとしてきました。しかし近くの町では子どもたちがガンなどの難病で亡くなっていました。
 
6年前に建てられた慰霊碑。足元のレンガにはこれまでに亡くなった100人の名前が刻まれています。
 
住民「(涙ぐみながら)これが亡くなった息子の写真です。
この痛みは誰にも伝えずに抱えてきました・・・」
 
住民を代表し、被害を訴えている親子がいます。シンシア・ソウヤーさんとその娘セーラさんです。
 
セーラさんは10年前、突然脳腫瘍を患いました。治療の後遺症で、18歳になった今も、身長は140cmほどしかありません。
 
「みんな死んでしまったのに、私だけが生きていて悲しいです・・・」
 
(セーラさんを抱きしめるシンシアさん)
 
セーラさんが脳腫瘍になったのはこの町に引っ越してきて4年目のことでした。
 
「セーラはあの井戸の水をまいて遊び、食事をしていたんです。病気になってからはシカゴから水を取り寄せるようになりました。怖かったので、その水で料理をし皿を洗い、歯を磨かせました」
 
ソウヤーさん夫妻はガンと原発との関係を証明するため、州政府からあるデータを取り寄せました。過去20年間、全住民1200万人がどんな病気にかかったかを記した記録です。
 
小児科医の夫ジョセフさんが分析したところ、原発周辺の地域だけが脳腫瘍や白血病が30%以上増加。中でも小児ガンは、およそ2倍に増えていました。ソウヤーさん夫妻は全住民の徹底した健康調査を求めました。しかし国は「井戸水による被曝量は年間1マイクロシーベルトと微量で健康を脅かすことはない」と回答してきました。
 
「あまりに多くのものがセーラから奪われてしまいました。低線量の被曝が何をもたらすのか知ってほしいです」
 
 
 
 
 
 

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