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メキシコの文化と自然に魅せられて

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最近、”メキシコのとうもろこしの危機”云々というニュースを聞く事が多い。

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メキシコ北部も中国も深刻な旱魃があって、小麦ととうもろこしの生産量が減った事は知っていたし、地球の温暖化の影響かと、単純に思っていた。

実はメキシコのとうもろこしを死滅に追いやろうとしているのは、国内消費量に見合わない生産高を、遺伝子組み換えの品種改良とうもろこしを栽培する事で調整しようという”政策”にあった。

メキシコはとうもろこしの発祥地であり、60属、1000種があると言う。南から北までほとんど全土、全ての気候、土質、山の上(標高3400mまで)...で植え付けされている他、野生種もある。
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先住民族のアステカ、マヤ、トトナカ、サポテカ、ミステカ、チナンテカ...は”神がとうもろこしのマサ(粉砕して練った物)で人間を作った”と例えていたほど、とうもろこしを主食にするだけでなく、崇めてさえいた。

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後に米と麦類、豆が主穀類に入って来たとは言え、メキシコの主食がとうもろこしである事は今も変わらない。

トルティージャをはじめ、600種類のとうもろこしを使った料理があり、国内の消費カロリーの53%、たんぱく質の39%はとうもろこしで賄われているという数字がそれを表している。

問題は年間消費量3300万トンの内、1000万トン、約1/3を輸入に頼っているという事である。

80%はアメリカからで、これらのとうもろこしは改良品種であるため、長く食べ続けた場合のメキシコ人の健康への影響が以前から懸念されていた。
*収穫量を増す、気候の変化や病害により耐える品種を生み出すための問題は、”遺伝子組み換え”にある。癌のX線治療に似ていて、結果が吉と出るか否と出るかは分からない。

この輸入量の比率で行けば、単純計算して2025年には3倍以上の3900万トンを輸入しなければならない。
そこで、前大統領カルデロンは単純に消費量を賄う”手っ取り早い方法”として、改良品種のとうもろこしを国内で栽培する事を推進しようとしていた。それを後押ししていたのは、とうもろこしの加工品を作るアメリカ並びに国内の企業だった。理由は原料が安く手に入るようになるからである。

ところが、植物研究者235人、70機関、農業省、環境庁、グリンピース...らがそれに待ったを掛けた。

理由
*60種の内、20種のとうもろこしがすでに自然交配や環境変化によって絶滅の危機になっている。さらにそれを増長する可能性が高い。
*改良品種のとうもろこしのメキシコ人の健康に対する影響は分かっていない。
*改良品種栽培において、本来の農耕慣習が崩れる可能性がある。(文化への影響)

さらに、他の作物の改良品種栽培の例から
*綿の改良品種栽培において、ある種の殺虫成分を持つ物があり、環境への影響が分かっていない。(これが、食べるとうもろこしであれば大変!)
*カンペチェ州、蜂蜜生産者の小豆改良品種栽培の被害...蜂の行動範囲は200km四方にも及び、蜜の中に改良品種小豆の花粉が混ざり、ヨーロッパ市場への製品輸出が拒まれた。
*ヨーロッパでは唯一スペインが改良品種栽培を行っているが、生産高は増えるどころか減っている。...

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”とうもろこしが無くなれば、国は滅びる”のスローガンを挙げて、国をあげてのキャンペーンが始まった。

2013年、事は法廷にまで持ち込まれ、ついに”改良品種とうもろこし栽培禁止”との判定が出た。

とは言え、巷にはさらに認可申請をする者が出てきているそうだ。中には密輸で改良品種の種を買い、栽培している人もいるらしい。あるブログで見たが、自分の畑に違う種のとうもろこしが出来てくるんだそうだ。

穀類の畑は広いから囲う事も難しい。交配が進んで...少しずつオリジナルのとうもろこしは絶えていく事になり、何十年か後のメキシコ人の健康に悪影響が出る事は十分考えられる。

*日本人が戦後、アメリカの政策に乗って(乗らざるを得ない状況もあったには違いないが)小麦を輸入し、パンを食べるようになった事を思い出していた。パン(小麦)を食べるようになって日本人に増えたものは、確かアレルギーと心臓疾患、肥満だったように思う。
(これについて書かれた本”小麦は食べるな(ウィリアム・ディビス著)”の要約を紹介しているブログはこちら:http://ameblo.jp/masurorina/entry-11745112027.html

アメリカ始発のホットドッグとハンバーガー、ピッザ、コカコーラ...所謂ファーストフードがメキシコ全土に定着してかなりの年月が過ぎた。

2012年、ついにアメリカを追い越して世界第一位を誇る”肥満率”となったのは、小麦の摂取と輸入とうもろこし(改良品種)が理由となっている可能性も大だ。




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