琉球OT

作業療法の魅力と可能性を求める

全体表示

[ リスト ]

アイロンとコーヒー

イメージ 1

情報→60代女性,脳梗塞発症7年経過,stage検し敕戮涼躇嫋祿押ΑΑ
物語→妻としての自信を取り戻したい女性は7年前から家事がしたかった・・・

『私さ,お父さん(夫)のために,シャツにアイロンをかけたよ!
 脳梗塞になってからずっとやっていなかったから,7年ぶりさ.
 妻として,アイロンをかけたよ.
 あれさ,お父さんにとって迷惑な存在になりたくなかったからさ,
 私はとても嬉しかったさ〜.』

『でも,シャツにシワが残っていてさ,お父さんよ,
 黙って自分でアイロンをかけ直していた.
 ありがとう,もなかったけど,私はもっと練習しようと思ったよ.
 ・・・あんたに出逢わなければ,私は一生できなかったかもね.』

「それはないですよ,ここのスタッフなら必ずいつか一緒に取り組んだでしょう.
 アイロンというより,旦那さんのための○さんらしさを取り戻す何かを,ね.
 ・・・7年って,ボクが今の時点で聞いたら,すごく長く感じますね.
 事実,・・・長かったんですね.そりゃあ,そうですよね.」

「嬉しいって聞けて,ボクはやっと,なんていうか,仕事をした気になれました.
 3ヵ月もかかりましたが,シワが残っているなら練習と工夫が必要でしょうね.
 ボクとしては,旦那さんから○さんに何か言葉が欲しかったんですが,
 そういうタイプの人じゃないって,○さんがそうおっしゃって,それでいて,
 嬉しいっ感じているってことは,そういう雰囲気を感じたんですね.」

『そうね,あの人はあんなだからよ,別に,ありがとう,とか期待はしてないさ.
 そうだね・・・料理とかも本当はやってみたかったから,練習しようかね・・・.』

『買物はよく行くよ.でも,駐車場の・・・車の中で待っているだけさ.
 ・・・ドライブと思ったら楽しいよ.
 車の中で待つ理由は,わからんさ.
 乗り降りが大変だし,人の目かもね.・・・別にいいんだけどね.
 そうね,たまにはちゃんとしたコーヒーとか飲みたい,かな.』

「じゃあさ,コーヒー店にコーヒーを飲みに行きましょう.
 乗り降りとか,段差とか,こうやれば大丈夫ですよって,
 写真とかビデオで旦那さんに伝達できるやつを作りましょ.」

ここまでは順調だったんだが,スタッフによる,スタッフのための意見が・・・.
(移動中に事故る可能性があるかもしれない,
 他の人が羨ましがるかもしれない,
 家族にコーヒー代を請求すると反対されるかもしれない,
 リハ実施計画書に記載されていること以外をやると指導されるかもしれない,
 あれも,これも,なにかしらあるかもしれないから,
 「そういうこと」はもう辞めたほうがいい.はっきり言って,困るんです.)

それは十分に予測の範囲内であった.
機能回復訓練,意欲向上,対人交流,気晴らし・・・などと,
何年も続けて同じようなリハ・ケア目標を掲げることに恥を感じなければ,
その類の批判・反論を向けてくることを予測することは容易かった.

だから,前もっていろいろ準備と手順を整え,
報告・連絡・相談を綿密にやれば良かったんだろうけど・・・.
それじゃ1年かかってしまう,というのは言い訳で,手抜きと言われて仕方ない.

でも,再発して意識混濁の状態が長くて,1カ月以上たった今でも,
どうやら退院の見通しがつかないほど重度らしいと聞くと・・・
なんかね.オレは何やってんだかね,と思うさ.
誰も間違ってはいないし,先のことなんて誰もわかんなくていいんだけどね.

ただね,再び,彼女とコーヒーを飲みにいけるのかな,なんて考えるよね.
アイロンはもっと練習が必要だったし,食器洗いの練習は始めたばかりだったから.
COPMもAMPSも活かせなかったなと思う.

「大切だったことができなくて」「困っていると感じていること」について,
「一緒に」「どうにかしましょうよ」,と
単純にそれだけのことをやりたかったんだけどね.

それを彼女が求めていたから,それに応えたかっただけ,なんだけどね.
作業療法士だからね.

閉じる コメント(9)

顔アイコン

グっと来ました〜!
今の医療業界って、病気を見ていて人を見れないですよね。
僕は結構プライベートでOTとしてではなく、一知り合いとして
関わることを肯定的に考えていますし、実際、病院の中では難しいことをそういう方法で解決してきたことがしばしばあります。
だって、自分が正しいと思っていながらできないなんて、我慢できませんから。

こういう人としての芯をつくブログ…最高です。

2009/4/24(金) 午後 8:29 [ やっさん ]

顔アイコン

やっさんさま,ごぶさたしております.
ありがとうございます.
そうなんです,医療制度に比べればマシですが,介護保険制度もクライエント中心の立場に立って作られたものではないので,それを実践しようとすると壁が現れたりします.信念があるので制度の枠から外れても実践しますが,それを積み重ねて精度を高めれれば,制度に取り組まれるんじゃないかなと秘かに思っています.
小さなことなんですが,勇気と知恵が必要なようです.

2009/4/24(金) 午後 9:08 琉球OT

顔アイコン

介入の度合いはセラピストの覚悟と継続する努力が同程度必要ですよね。今回の場合も同じで、下手に無責任に介入するのであれば辞めた方がよろしいでしょうが、先生の文面から伝わる信念にブレは感じられませんのでがっつり前進されることを心より応援します。
大切なことは医療の枠で安心して関わるだけでは限界があり、OTのできることを狭めてしまう気がします。僕はそういう意味で、先生のように「勇気と知恵」をもってやっていきたいです。

2009/4/24(金) 午後 10:12 [ やっさん ]

顔アイコン

すいません。久しぶりに感情前面の文面でコメントしてしまいました。最近はOT協会に一方的に現場に対する不満をぶつけられている印象が僕の中にあるものですから、ちょっとそれをさらけてしまいました。ご無礼なこといたしましてお詫びいたします。

2009/4/24(金) 午後 10:14 [ やっさん ]

顔アイコン

無礼だなんて,とんでもないです.私も安易で無責任な介入は危険だと思います.一方で,誤解や批判を覚悟で挑戦することも必要だろうと思っています.知識と知恵がもっと備わっていれば,専門性とクライエント中心を敢えて強調しなくても伝えることができるだろうと考えています.理想と現実のギャップというよりは,協会が取り組むべき課題と個人が取り組むべき課題は少し違ってくるのかもしれないと思う,今日このごろです.改めて考える機会になりました.いつも,ありがとうございます.

2009/4/25(土) 午前 2:17 琉球OT

以前は老健に勤めていたので私も琉球OTさんのようなリハが出来ましたが、現在は病院勤務でとにかくルールに縛られていて、思い描いたようにリハは出来ていません。
ただ、不自由な中でもクライエントの幸せや生きがい、笑顔の為に出来る事を精一杯するまでだと思います。
それは未来を見据えていなければいけないと思うし、結果や答えはクライエントが教えてくれるし、制度は後からついてくるのだと思います。

早く実現する為には、味方は沢山いた方が良いから、リハは策士としての能力も必要かもしれませんね(^-^)


琉球OTさんのお気持ち何となくわかります。

生命の営みや運命を前にして、私達リハが出来る事はとてもちっぽけに思えてしまいます。
でも、真剣に自分の幸せや生きがいを考えて、それに向かうチャンスや勇気をくれた琉球OTさんと出会えた事が、そのまま『彼女』の小さな幸せだったと思いますよ。
琉球OTさんは『彼女』と出会って幸せだったのでしょう?

2009/4/25(土) 午後 10:36 [ ひな ]

顔アイコン

私たちは作業のプロだから、、、
クライエントにとってハンディキャップになるのが制度や他の医療スタッフや自分の守りの気持ちに原因があるのなら、そこに対しても勉強してアプローチする必要があると思います。
制度に問題があることは、とても腹立たしい。だから、そこに対しても最善策(案)をつねに考えないといけないなあ、と常に思います。
どに人にとっても今が大事ですから。
作業療法士の自分にとっても、今誰かとかかわっている「自分」を大事にしたいですから。。。
打ってでたいですねーーーー。

2009/4/25(土) 午後 11:18 [ tos**8bam*oo ]

顔アイコン

ひなさまへ
こんばんは.遅れました.
デイケアで週に1回勤務していますが,病院にいた頃の方が自由度は
高かったなとボクは感じています.OTは3人だけでしたが,それでも
セラピストの数に恵まれていたと思います.介入が3単位だったのが
(今なら9単位ですが),デイケアは介入がいセラピストに限定され
1〜2単位なので,制度の壁がとても邪魔で仕方ないです.
ただ,おっしゃるように,この試練は技と知識を磨く機会になり,
それを継続するためには情熱と信念が必要だなと思っています.
自分にできることはちっぽけだと認識するのに,私は時間がかかり
過ぎたかもしれません.それを教えてくれたのは彼女たちでした.
そういう意味では「幸せ」なんですが,
申し訳なさと,はがゆさでいっぱいです.
それも含めて,出会ったひとりひとりとみなさんに感謝です.

2009/4/27(月) 午後 11:30 琉球OT

顔アイコン

トッシーの姉貴さまへ
ご無沙汰しております.「どの人にとっても今が大事ですから」
はい,それに気がつくまではスムーズで楽でしたが,
気がついてからは難航してばかりで苦労が絶えませんでした.
世の流れを汲みとり,お金の流れを知り,自分とスタッフの価値を
模索し,それからようやく打開策の立案に取り組めるのですね.
それは,自分がそうしたいからなんだと認識し始めてからは,
考えることや行動することを楽しめるようになった気がします.
ガンガンに打っていきましょー!

2009/4/27(月) 午後 11:39 琉球OT


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事