琉球OT

作業療法の魅力と可能性を求める

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OTとしての使命の起源

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先日,仕事帰りに歩いていると,衝撃音と叫び声が響いた.
バイクにまたがった少年の足元に,自転車と中年男性が倒れていた.
すぐに駆け寄って救急と警察に電話を入れながら,
意識障害,見当識,運動麻痺,感覚障害などがないか確認した.
6分後に救急隊員に引き継いだが,おそくら大きな後遺症は残らないだろう.

思い出していた.


精神科から総合病院の回復期リハ病棟に職場を移って2年目,OT4年目の春.
彼は,幼稚園の前で車に跳ね飛ばされ,地面に叩きつけられ,さらに自動車の下敷きになっていた.
急性期病院,回復期リハ病棟ではPTだけが介入していた.OTの指示箋を書くように病棟医に依頼した.
その頃,作業療法の視点を丸暗記するくらい何度も読み返していた.でも,実践できないと思っていた.

PT,病棟医,看護師長,ケースワーカーは急性期病院で15〜20年目のキャリアがあった.
彼の母親と祖母は2交代で24時間の献身的な介護を1ヶ月も継続していた.
一生,見えない,聞こえない,食べれない,話せない,動けない状態のまま,と医者には言われていた.


「母親は混乱している,希望することを聞いてはいけない」
「家族と子供のことを考えると,施設以外の選択肢はありえない」
「奇跡を信じれば回復すると家族には伝えることにする」
「希望をもって親身な態度で家族に接する」
「坐位がとれるまでOTは必要ないと思う」


笑われた、怒られた、無視された、いじめもあった。
でも、今ここで自分の心が折れたら、この子供と家族の人生が折れるなと思い込んでいた。
始まりと曲がり角ではいつも孤独な闘争,だったなあ.


支援計画は重度意識障害の児童としては良かった.教科書どおりだった.
でも,そこに家族の言葉が入っていないと直感して,勇気を絞り出してCOPMを本格的に聴取した.
180日後に自分でおにぎりくらいは食べれるようになって胃ろうを抜去し,
家族が待つ自宅に彼は帰った.

1日平均15名を担当していたが,1人早出,遅出,365日出勤体制で介入すればどうにかなった.


退院した後も1年間は電話や自宅訪問を繰り返して,関わり続けた.
COPMは負担でしたか,ほんとうの希望を言えましたか,
希望に対してチームは応じることができましたか,
急性期ではどういう心境でしたか,希望を聞かれたことがありましたか,
そのことについてどう思いましたか,
今は希望がどれくらい達成されたと思いますか,新たな課題が出たらどのように対応しますか,
入院中に今の状態を想像できましたか,取り組んでムダだったことは何ですか,
役に立ったことは何ですか.


彼以前,彼以降と言えるほど,劇的にボクのスタイルは変化し,ぴたりと定着した.

この経験が誰でもできるように伝えなければいけないと強く感じるようになった.


この時から使命感を意識するようになったし、
クライエントは誰、それは何のために、組織や地域にどう貢献できるのか、と考えるようになった。
権威や文献の言葉を鵜呑みせずに自分で考える習慣や、チームの成長を意識する習慣が身に付いてた。


多種多様な経験と教養のある社会なので、人々はいろんなことを言うが、
あくまでもボクの信念はクライエント中心、目標設定は協業、と今ならはっきり言える。
どれだけ経験を重ねても日々苦しいが、この仕事がほんとうに楽しいと思う。

クライエントのほんとうの喜びを共有できる経験を、チームの成長に立ち会う機会を、
伝えたいと思うようになった。それが思い上がりだと人々に言われても、それでいいと思っている。
この道が正しいとは限らなくても、それでもボクはこの道を行く、と人々に言える。
独りよがりと言われても、黙り込んだりしない。



娘があの頃の彼と同じ年齢になろうとしている。

伝えなければいけない http://sites.google.com/site/adocforot/kaihatsu-made

クライエントのほんとうの希望を聞く事は難しいと言われても、

その技と心を伝えるという選択をした自分を信じる。

クライエントにとって価値のある作業を、クライエントが自分で選んで、

自然にできるようになることで、クライエントは健康になる。

その体験に立ち会うことで、作業療法士も健康になる。

http://sites.google.com/site/adocforot/home

閉じる コメント(4)

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>琉球OTさん

ご無沙汰しています.いつも心に響くメッセージをありがとうございます.琉球OTさんが「彼」に聞いた上記の文章

>COPMは負担でしたか,ほんとうの希望を言えましたか(以下略)
>希望に対してチームは応じることができましたか,

意外にこれらの事柄ってクライアントに聞いているOTは私の周りには少ないと思う.しかし,聞く必要がありますね.私も意識して聞いてみようと思います.

P.S.どうやら12月の作業科学セミナーは行けそうにもありません…業務の調整がつきませんでした.残念です.

2010/9/12(日) 午前 5:49 [ もっつ ]

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★★ 今日も勇気をいただける記事でした(謝)

2010/9/16(木) 午前 9:34 [ コトブキ ]

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チャーリーさん
たいへん返事が遅くなりました.申し訳ありません.
そうですね,クライエントに聞く必要があると思います.
1つは,自分とクライエントのため.
もう1つは,同じ道を歩む仲間や後輩のため.
いろんな人が,いろんなことを言ってきます.時には勉強になりますが,
時にはエネルギーを削られることもあります.
1人でも根拠があれば,可能ならたくさんあれば,
自分も他のOTも自信をもってこの道を進めるんじゃないかなと思っています.

セミナー参加できないんですか〜残念です,どうにか無理をしてください.
もし難しいのであれば,可能な限り伝達しますね.

2010/9/17(金) 午後 6:49 琉球OT

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kotobukiさま
こちらこそ,いつも勇気をいただいています.
今夜か明日の夜に,そちらのブログにおじゃまさせてください.
これからも,よろしくお願いします.

2010/9/17(金) 午後 7:00 琉球OT


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