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< 2015年 55本目 > ( 劇場6本、その他49本 )
『月刊フラワーズ』(小学館)に2006年8月号より、今なお不定期に連載されている、
吉田秋生の人気コミックを実写映像化したのが本作。
原作の少女コミックは、第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞と、マンガ大賞
2013を受賞している。
<あらすじ>
鎌倉で暮らす、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。そんな彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。葬儀が執り行われる山形へと向かった三人は、そこで父とほかの女性の間に生まれた異母妹すず(広瀬すず)と対面する。身寄りがいなくなった今後の生活を前にしながらも、気丈かつ毅然と振る舞おうとするすず。その姿を見た幸は、彼女に鎌倉で自分たちと一緒に暮らさないかと持ち掛ける。こうして鎌倉での生活がスタートするが…。
なにか取り立てて大きな出来事や、意外な出来事が起こる、というような映画ではない。
それを期待していると、大きな肩透かしを喰らうことになるだろう。 だが、是枝監督特有の、会話や音楽があまり多くはない、静かに描かれる 4姉妹の日常が、たまらなく愛おしくなる。 ただ2時間、ひたすら微笑みながら画面を見つめ、心から 癒されて帰ってきた(笑) こんな話なら、あと3時間でも、4時間でも観ていられる…。 そんな気にさせてくれる映画だった。 どうして是枝監督は、少女コミックなんかをテーマに選んで映画化したのだろう? 観終わって、それが不思議でならなかった
映画を観終わってから、GEOに走り、レンタルコミックで原作 (計6巻で、現在も連載中) を借りてきた。 読み終わって「なるほど…」と思った。 そして、是枝監督の眼力の鋭さに、恐れ入った。 このコミック、導入部こそ3人の異母姉妹を視点に描かれているものの、途中からはほぼ、 腹違いの末妹・すずの視点へと移っていく。
現在6巻まで刊行されているコミックの約6、7割近くが、すずとすずを取り巻くサッカー クラブの面々を描いた物語に終始しているのではないかと思う。
一方で、強烈に印象に残るのは、姉妹4人の関係を描いた物語だ。 そしてなにより、コミックの「すず」と同じ本名を持つ、すずを演じた「広瀬すず」は もとより、3人の姉たちのあまりにも上手いキャスティングに、心奪われた。
父と母に見捨てられ、元教育者の厳格な祖母とともに幼い姉妹2人の 「母親役」として奮闘してきた長女・幸役の綾瀬はるか。 なにかと煩い姉に反発し、酒と男をこよなく愛し、自由奔放に生きてきた 次女・佳乃の長澤まさみ。 そしてほとんど両親の記憶を持たず、姉二人に面倒を見てもらって、 のんびりと独特の世界観で生きてきた三女・千佳役の夏帆。 幸は原作ではショートカットであること、また千佳は原作では ボンバーヘッド(!)であることを除けば、そのキャスティングは ほぼ完璧ではないか!! 綾瀬はるかや長澤まさみが巧いのは判っていたが、なかなかどうして、今作では、 夏帆の演技が光っていたなぁ!
姉妹の中で、ぶつかり合う長女と次女の間をうまくとりなし、「緩衝材」として 機能していたのは、紛れも無く、この千佳という存在であったに違いない。
そしてすずに対しても一番近く、そして、一番暖かい目を向けていた千佳という キャラクターを、夏帆は良く理解し、そして表現できていたと思う。 正直、今までは、あんまり好きな女優では無かったのだが、今回は本当に素晴らしいなと 改めて感心してしまった。
このコミックを映画化するならば、そして「広瀬すず」という素晴らしい女優を手に入れた ならば、普通はコミックのように、すずを中心とした映画作りを行うのではないだろうか?
しかしこのコミックから、4姉妹のエピソードを中心に上手く切り取り、 どちらかというと、大人の都合の中で一人苦しみ、自分を押し殺しながら生きてきた すずを暖かく見守る、3人の姉の視点に焦点を絞るという「是枝目線」に書き変え
ながらも、ほぼ忠実に描いてみせたところに、わたしは拍手を贈りたい!
「ブツ切りで、見るに堪えない」と批判しているマンガファンが多くいるようだが、 よく観直してみて欲しい。
4人のエピソードはそれほど改変されていないし、うまくコミックの絵図を実写で再現 していて、思わずクスっと笑えるほどだ。
1作の中で完結するべく、2時間という枠の中に巧く納められ、かつ、 是枝監督としての「作家性」も保ちながら、さらには最低限のエンターテイメント性を 確保する。
そのバランスの絶妙さには、感心せざるを得なかった。 コミックを完璧に映像化するなら、連続TVドラマか、あるいはTVアニメでやるべき だろう。 それとて、まだ完結していないコミックを昇華させるのは難しい話だ。 実写映画化としては、これが最善の策であったと、わたしは思う。 実際に撮影外でも4姉妹でよく食事に出掛けたり、非常に和気あいあいと楽しく 撮影は進んだのだという。 久しぶりに邦画で、 ブルーレイディスクがリリースされたら、メイキング映像特典付きの
スペシャルエディションを買ってみようかな…、 などと、そう思わせてくれる作品となった。 劇場で観た邦画で、これほど皆さんに強くオススメしたいと思ったのは、超久し振り!! 是非、映画館で堪能してください。 【 観賞日 】 2015.6.13
【 観賞方法 】 映画館 【 原題 】 ―
【 製作 】 「海街diary」製作委員会(フジテレビジョン、小学館、東宝、ギャガ) 【 製作年 】 2015年
【 収録時間 】 126分 【 製作国 】 日本 【 出演 】 綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、大竹しのぶ、堤真一、
加瀬亮、風吹ジュン、リリー・フランキー、前田旺志郎、鈴木亮平、
池田貴史、坂口健太郎 他
【 星 】 ★★★★★★★★☆☆ |

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おやおや!ずいぶん熱く語ってますな!!(^_^)
評価は同じコミック原作の寄生獣2とは大違い(笑)
娘を持つ父親の感情が混じってる気がするのは気のせいですかな?
ならば私も気に入るかもしれませんね(笑)
2015/6/16(火) 午前 2:19 [ 三冠落合 ]
三冠落合さん、それもありますが、三人の異母姉妹たちがすでに「親目線」で末妹・すずを見守っているのですよ。
全編コメディタッチの原作コミックと、映画版ではかなりテイストが異なりますが、それぞれの良さがあります。
わたしと同じように、映画→コミックという順に楽しむのが正解かと。
2015/6/16(火) 午前 8:04 [ ukehen ]
吉田秋生は昔嵌ったんですよね。最近は読んでいないんですが、こういう作品を書いていたんですね。
記事をアップしたらTBに来ますね。
2015/6/16(火) 午前 8:49