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神戸大学大学院自然科学研究科卒業後、国立がん研究センター、放射線医学総合研究所で
研究に従事した岩木一麻氏の作家デビュー作にして、第15回(2016年)
『このミステリーがすごい! 』の大賞受賞作。
「本格医療ミステリー」として話題となり、かなり期待していたのだが…。
<あらすじ>
日本がんセンター呼吸器内科の医師・夏目は、生命保険会社に勤務する森川から、不正受給の可能性があると指摘を受けた。夏目から余命半年の宣告を受けた肺腺がん患者が、リビングニーズ特約で生前給付金三千万円を受け取った後も生存しており、それどころか、その後に病巣が綺麗に消え去っているというのだ。同様の保険支払いが四例立て続けに起きている。不審に感じた夏目は、変わり者の友人で、同じくがんセンター勤務の羽島とともに、調査を始める。一方、がんを患った有力者たちから支持を受けていたのは、夏目の恩師・西條が理事長を務める湾岸医療センター病院だった。その病院は、がんの早期発見・治療を得意とし、もし再発した場合もがんを完全寛解に導くという病院。がんが完全に消失完治するのか? いったい、がん治療の世界で何が起こっているのだろうか…?
う〜ん。
思っていた以上につまらなかった。
キャラクターの掘り下げ方が全体的に浅いし、このトリック(?)を仕掛けた犯人の動機も
浅いんですよねぇ…。
期待していた がんの完全緩解 のトリックも、なんだかガッカリだなぁ…。
これから読む人のために一応隠しておきますので、読みたい人はドラッグ(反転)
させて見てください。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ < ここからネタばれ > ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
他人のがん細胞を培養して増殖させ、免疫抑制剤を投与してから、その培養したがん細胞を体内に
注入する。最後は免疫抑制剤の投与を辞めることにより、もともとの免疫機能によってがん細胞を安全に
死滅させる。
これはまぁ、悪くない。
だけど、もう一つの方法として、がん細胞を取り出しで培養したあと、遺伝子操作により自殺回路を
埋め込み、外部からそのスイッチとなるべき因子を操作して、がん細胞のみを死滅させる…、というトリックは
頂けない。
ましてや、トリックが複数あった…! というのも論外というか、ズルいとしか言いようがない。
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑ < ここまでネタばれ > ↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑ という訳で、それほど面白いとは思いませんが、わずか380頁であっさりと読めて
しまいますので、暇つぶしにはいいかも。
【出版社】 : 宝島社
【 発行 】 : 2018/01/11
【 頁 】 : 380ページ
【 価格 】 : 1,380円 (+税)
【 星 】 : ★★★☆☆☆☆☆☆☆
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本
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<あらすじ>
【上巻】
“グレイマン(人目につかない男)”と呼ばれる暗殺者ジェントリーは、黒幕を倒し、CIAのグレイマン抹殺指令は解除された。彼はフリーランスとしてCIAの仕事を請け負うことになり、逃亡した中国サイバー戦部隊の天才的ハッカー、茫の行方を突き止める任務を帯びて香港に赴く。囚われの身となっていた元雇い主に再会したグレイマンは、中国の目を欺くため、元雇い主を通じて中国総参謀部の戴から茫を暗殺する仕事を引き受けるが…。
【下巻】
香港の犯罪組織のたまり場で起きた乱闘の末、ベトナムのギャングが茫をかくまっていると知ったグレイマンは、戴の手配でホーチミン市に入る。だがロシアのSVR(対外情報庁)の秘密精鋭部隊も茫を拉致すべく、密かに行動していた。茫をめぐりグレイマンとSVRがベトナム、さらにタイのギャングと争奪戦を繰り広げる。そして、CIAの作戦の裏に隠された衝撃の事実が…!
いやー、面白かった!
ページをめくる指の止まらないことといったら!!
前作でもう キャストが出揃った と書いてしまったけど、どうして、どうして!
ロシアのSVR(対外情報庁)に所属するアウトローの女性エージェント、ゾーヤ・ザハロワ
という、とんでもないキャラクターを用意してきた!!
あの完全無欠の〝グレイマン〟をして、思わず「すごい」と唸らせる、超絶身体能力 の
持ち主。
読んでいるファンを思わずニヤリとさせるシーンが目白押し。
ゾーヤが自分よりも諜報技術に通暁していることに、なぜか性的興奮を覚えてしまう
ジェントリー(笑)とか、身体能力がずば抜けて高いゾーヤに完全に負けていると自覚し、
できることならゾーヤの働きぶりを見物していたいとまで思うジエントリーとか(笑)。 「グレイマンなのか?」とゾーヤに問われ、渋々ジェントリーが「Yes」と答えると、
ゾーヤが「うわっ」と言ったきり、絶句した場面も秀逸だったな!(笑) まさか〝グレイマン〟が恋に落ちるとはねぇ…(苦笑)
この素晴らしい新キャラクターをラストでは殺してしまうんじゃないかとハラハラして
いたが、最後まで生きていてくれて、とりあえず、ホッと胸を撫で下ろした。
こうなったら、このゾーヤを主人公としたスピン・オフ作品も読んでみたいなぁ。
そのときには勿論、ジェントリーも後方支援として〝カメオ出演〟して欲しい(笑)
もしかすると、今までのシリーズを踏まえたうえで、今作が一番面白かったかも知れない。
満点の★を付けてもいいのだが、ここで付けてしまうと伸びしろがなくなるので、
一つくらいは開けておきます(笑)
それくらい、面白い作品。
シリーズファンの方なら、絶対に読むべき一冊ですゾ!!
【出版社】 : ハヤカワ文庫
【 発行 】 : 2017/08/24
【 頁 】 : 384ページ(上巻)、390ページ(下巻)
【 価格 】 : 860円 (+税)
【 星 】 : ★★★★★★★★★☆
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1994年にチュンソフトから発売されたスーパーファミコン用のサウンドノベルゲームソフト『かまいたちの夜』のシナリオを担当して一躍有名となった我孫子 武丸の長編ホラー
小説。
・衝撃のラストに唖然とさせられる−。
・思わず2度目を読み返してみたくなる。
そんな小説だとネット上で絶賛されていたので、騙されたと思って読んでみた…。
<あらすじ>
永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。
まぁ、確かに騙されましたね。
どこで引っ掛かったんだ? と、全部ではないものの、つい部分部分を読み返して
しまいましたワ。
だけど、ミスリード が酷いなぁ(苦笑)
確かに母親・雅子は一度も自分の口から息子の名前を呼んでいないし、犯人である稔も
母親の名前を口にしてはいない。
ちゃんと読み返してみると、稔は「自分の車を持っている」と書いてあるし、さらには
「大学の授業を休講にする」とまで書いてあるのだ。
だけどねぇ…。
さすがに60歳近い年齢で「大学院生」を語ってナンパすれば、〝噂の人〟になる
だろうし、多くの人に顔を覚えられ、あそこまで犯行を重ねることなど、到底できない
と思うのだが…。
劇中の犯行シーンはそれほどではないとしても、確かに衝撃のラストは今まで読んだ
本の中で、一番おぞましい描写であり、極めて不快な気分にさせられて閉口した…。
ダメだ、こりゃ。
わたしの口には合いませんな…(-_-;)
【出版社】 : 講談社文庫
【 発行 】 : 1996/11/14
【 頁 】 : 324ページ
【 価格 】 : 571円 (+税)
【 星 】 : ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
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全く予備知識なしに、偶然図書館で手にしたことから読み始めたこの「暗殺者」シリーズ
に、ドップリとはまってしまいました。
<あらすじ>
身を隠すのが巧みで、“グレイマン(人目につかない男)”と呼ばれる凄腕の暗殺者ジェントリー。CIAの特殊活動部に属していた彼は、突然解雇され命を狙われ始めたが、追跡を逃れて今は民間警備会社の経営者から暗殺の仕事を受けている。だがナイジェリアの大臣を暗殺したため、兄の大統領が復讐を決意、やがて様々な国の暗殺チームがグレイマンを標的とする死のレースを開始した! 熾烈な戦闘が連続する冒険アクション小説。
作者のマーク・グリーニー氏は、あのトム・クランシー氏の超人気シリーズ
『ジャック・ライアン』シリーズの「ライアンの代価」(2011年刊行)から 共著者 として
参加し、トム・クランシー氏の没後、正式な後継者として同作を書き継いでいることで
有名な1967年生まれのアメリカの作家である。
なぜ、この作家がトム・クランシーという偉大な作家の共著者となりえたのか、この
『暗殺者』シリーズの第一作を読んで、すぐに判った!
とにかく、このグリーニー氏、アクション描写が秀逸なのである。
ライフルを右から左に一斉掃射するというコンマ何秒かの描写が、まるで映画の
スローモーションシーンを観ているかのように、鮮やかに文章で描かれるのだ。
あまりにもそれが凄くて、初めて読んだときはなんどもそのシーンを読み返して、
脳内にそのシーンを再現させてみせたほど(笑)
CIAの凄腕エージェントとして活躍していたはずの〝グレイマン〟こと、コートランド・
ジェントリーは、突如として組織を解雇され、それどころかCIAを始めとする世界中の組織
が、こぞってジェントリーを抹殺しようと襲い掛かってくる…!
絶望的な状況下、誰一人助けてくれるものの居ない中で、かつての人脈や、鍛え上げた
肉体とエージェントとしての知識を武器に、窮地を切り抜けていくグレイマン!
そして少しずつキャストが揃っていき、ようやくこの異常事態に終止符を打つべく、
グレイマンはアメリカ本土に潜入し、反撃を開始する!
シリーズ第四弾「暗殺者の反撃」でようやく、どうしてグレイマンが組織を追われ、
「目撃次第射殺命令」が発行されたのか、その全貌が明らかになる。
いやぁ、最初からここまで想定して書いていたのだとしたら、このグリーニー氏の
ストーリー・テラーとしての緻密な才能には、ただただ恐れ入るしかない…。
ラストでの、その爽快感といったら!
このシリーズ最大の魅力はなんといっても、その「グレイマン」ことジェントリーの
人間臭さにある。
このシリーズでは女性とのロマンスなど、一つも描かれない。
グレイマンはよく涙を流すが、それはいつも感情の高ぶりではなく、幾度も瀕死の重傷を
負い、その手当を自分でするときに、あまりの痛みに涙したりするのである(笑)。
そしてフリーの「暗殺者」として活躍しながらも、「暗殺対象」として請け負うのは絶対に
悪人だけ、と決めている。
どんな状況であっても、悪いやつ以外は決して簡単に撃ったりはしないのだ。
第四弾の最後で、オールスターキャストが勢揃いし、最強のチームが出来上がった!
このチームが次にどんな相手と戦うのか!?
それはアメリカ国内ではなく、世界規模の戦いとなるに違いない。
今からそれが楽しみで楽しみで、仕方ない。
世界に数多あるエージェントものの作品の中でも超一級の冒険小説となっていることは
保証するし、間違いなくこの数年内に映画化されるでしょう。
この『暗殺者』シリーズ、オススメの作品です。
ぜひ、一読してみてください!!
わたしは『ジャック・ライアン』シリーズでこのグリーニー氏が後継として著作した
『米朝開戦』を読んでみたいと思います。
「暗殺者グレイマン」
【出版社】 : 早川書房
【 発行 】 : 2012/9/25
【 頁 】 : 473ページ
【 価格 】 : 1,015円
「暗殺者の正義」
【出版社】 : 早川書房
【 発行 】 : 2013/4/5
【 頁 】 : 564ページ
【 価格 】 : 1,123円
「暗殺者の鎮魂」
【出版社】 : 早川書房
【 発行 】 : 2013/10/25
【 頁 】 : 608ページ
【 価格 】 : 1,188円
「暗殺者の復讐」
【出版社】 : 早川書房
【 発行 】 : 2013/10/25
【 頁 】 : 619ページ
【 価格 】 : 1,231円
「暗殺者の反撃」(上巻)
【出版社】 : 早川書房
【 発行 】 : 2016/7/22
【 頁 】 : 424ページ
【 価格 】 : 994円
「暗殺者の反撃」(下巻)
【出版社】 : 早川書房
【 発行 】 : 2016/7/22
【 頁 】 : 430ページ
【 価格 】 : 994円
< 総合評価 >
【 星 】 : ★★★★★★★★★☆ |
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ネットで「冤罪事件」を調べていたら、この本に辿り着いた…。
北海道で産まれ育ったわたしは、故郷を出たあとでも北海道の事故や事件に精通している
つもりだったが、当時世間を騒がせたというこの事件のことを、全く知らなかった…。
<あらすじ>
「恋人を奪われ嫉妬に狂った殺人犯」として逮捕・起訴され有罪判決を下された女性。改めてその捜査と裁判の全経緯を検証しても、曖昧な情況証拠と大雑把な「可能性」だけで犯罪事実を認定した判決で誤判としかいいようがない。再審への道は彼女のためにある―。
まずは事件について、要約しておくとしよう。
<事件経緯>
2000年3月17日午前8時過ぎ、北海道恵庭市郊外の人気のない農道で、幼稚園の送迎バス運転手が、走行中に路肩に黒っぽいものがあるのを見つけた。運転手の女性は園児を出迎えた主婦に確認を依頼し、主婦が車で現場を見に行くと、それは人間の焼死体であることがわかった。 仰向けの遺体は、タオルのようなもので目隠しされており、右腕は「くの字」に曲げ背中の下にあった。全身の表面から内臓まで完全に炭化しており、特に頸部と陰部の炭化がひどかった。男女の区別も難しい無残な状態だったが、胸部周辺にブラジャーのワイヤーのような残焼物が確認され、女性だと推測された。股関節は左右に開脚した状態だった。死因は頸部圧迫による窒息死。絞殺後に焼かれたものと見られた。 まもなく遺体は、前夜に同僚と一緒に退社したまま行方がわからなくなっていた千歳市のキリンビール工場敷地内にある日本通運事業所に勤務するOL橋向香さん(当時24歳)とわかった。橋向さんは当時、自宅から勤務先まで約30分の道のりを車(三菱パジェロ・ジュニア)で通勤していたが、職場の同僚たちによると、行方が途絶えた16日は夜9時30分頃に残業を終え、事業所をあとにしていた。 一方、事業所から約20km離れた遺体発見現場周辺の捜査では、この日の夜11時過ぎに炎が上がっていたと複数の住民が証言。つまり被害者は夜9時30分頃に会社を出た後、2時間もしないうちに殺害され、死体に火を放たれていたのである。 死体の身元判明後、橋向さんの周辺への捜査が慌ただしく進められる中、ほどなく警察の疑いの目は一人の女性に集約される。それが、同じ事業所で橋向さんと一緒に働いていた先輩OLの大越美奈子さん(当時29歳)だった。彼女が浮上したのは、同僚の証言から、橋向さんと同じ会社に勤める男性との間の三角関係が明らかにされたからだった。 4月に入って、道警は大越さんを任意聴取。否認を続ける大越さんに対する警察での取調べは過酷を極め、大越さんは取調べ中に失神し、医師の診断で入院を余儀なくされるほどだった。1ヵ月の入院の退院翌日、大越さんは殺人と死体損壊、遺棄の容疑で逮捕された。 <裁判経緯>
2000年10月 逮捕から5カ月後、札幌地方裁判所にて初公判(佐藤学裁判長) 2001年02月 接見禁止が一部解除され、約9ヶ月ぶりに家族と面会が許される 2002年04月 第35回公判 遠藤和正裁判長に代わり、更新手続きが行われた 2002年09月 約2年4ヵ月ぶりに接見禁止が解除される 2003年03月 第46回公判において有罪判決、遠藤裁判長は懲役16年を言い渡す 2004年05月 控訴審初公判(長島孝太郎裁判長) 2005年09月 控訴審第13回公判において、長島裁判長は控訴棄却 2006年09月 最高裁(島田仁郎裁判長)は上告を棄却 2006年10月 弁護側異議申立が棄却され、一審判決の懲役16年が確定 2012年10月 再審請求 2014年04月 札幌地裁(加藤学裁判長)は再審請求を棄却 この本では、被害者・橋向香さんを橋本栞、容疑者・大越美奈子さんを大妻美耶子という
仮名で、それぞれ扱っている。
ドキュメンタリー本なのだし、著者は容疑者の主任弁護人なのだから、実名で書くべきだと
思うのだが…。
とにかくこの事件、知れば知るほど、いろんなところがおかしい!
恋人を奪われた大越が橋向に対して掛けた無言電話がなんと220回!
幾ら橋向が実際に出たのは38回であり、コールされる前に切ったのが100回、コール
されたけれども相手が受話器を取る前に切ったのが82回だったとしても、やはり異常な
回数だ。
しかも事件当夜からそれがピタリと止んでいるともなれば、疑われても当然だろう…。
また事件前日に約10Lの灯油を買い、警察が自分の写真を持ってガソリン・スタンドを
回って聞き込みをしていると聞き、その灯油をポリタンクごと投棄。
しかし後になって買い直すなど、疑われてもしょうがない行動が多いのだ…。
だが、学生時代に運動部に所属し、身長162cm、体重52.5という筋肉質のガッシリとした
体形で、握力45kgもあった橋向が果たして身長148cm、体重48kg、握力25kgしかない
大越に殺せるのだろうか…?
しかも、なぜか怪しまれることなく車の後部座席に移動し、ヘッドレスト越しに後ろから
タオルなどを使って絞殺した…というのが、警察の見立てなのだ…!!
しかもその車内には、絞殺時の糞尿など、一切の痕跡が無かったというのもおかしい。
また被害者には引きずられた痕跡が無かったが、これだけの体格差で、どうやって遺体を
引き摺らずに遺棄できるというのか…?
遺体焼却現場の目撃者の証言も、検察側によって次々と変えられていく。
なぜなら、犯行後に大越が給油のために立ち寄ったとされるガソリンスタンドの
防犯ビデオの映像で、その時間は午後11時30分頃であることが判明し、それに応じて
目撃者の証言を誘導しているのである。
だが、それとて、灯油を掛けて焼却したのはたった10分。
しかも、焼却現場からガソリンスタンドまで、冬の北海道の凍結した路面を時速100キロで
走らなければ間に合わないことになる。
これを「可能」とする裁判官もどうかしてる!
灯油10Lを一度掛けただけで、内臓が炭化するまで遺体を焼くことはまず不可能。
それは弁護団が豚の体を使った実験で検証済みだ。
しかし検察側は、被害者の脂肪が溶け出して延焼が続いたという、訳の分からない
論理を展開し、裁判官もそれを支持した…。
また被害者はおろか全ての女性たちが皆、ロッカーのカギを掛けていなかったということは
周知の事実であったにも関わらず、なぜか被害者のロッカーのカギが容疑者の車のグローブ
ボックスから発見される…。
大越が犯人であったなら、絶対にそこにわざわざ被害者のロッカーのカギなんか、置いたり
しないだろう…。
事件当初から大越を犯人と決めつけていた警察か、あるいは真犯人以外に、それをやる
動機が無いのである…。
なんなんだろう、この事件…。
何がいったい、どうなっているのか…?
状況証拠以外に、大越を犯人と断定する証拠は何一つ出てきていないのである。
もちろん、この事件では大越も一切、自白していない。
であれば「疑わしきは罰せず」の原則に則り、大越側に有利に働かなければならないはず
なんだが…。
一方で、弁護士にすら嘘をつき、自分の行動を自分で説明することすらできない大越。
これでは、弁護側もお手上げなのである…。
後ろ手に縛られていたという被害者。
両足が左右に大きく開かれ、陰部の焼却状態も極めて酷かったという…。
この様子はまるで、性犯罪被害者のそれではないか!
ミステリーファンならたまらなくなるような、なんとも不可解な事件である。
恋人を奪われた大越が、複数の人を雇ってレイプしたあと絞殺させ、そのまま遺体を
焼却させた…とでも考えれば、辻褄が合うような気もするのだが…。
それでも、戻された携帯電話や、ロッカーのカギという謎は残るなぁ…。
他の事件のように全くの冤罪で、容疑者は真っ白 とは、とても手放しでは言えない…。
なかなか興味深い事件です。
興味があれば、どうぞ!
【出版社】 : 日本評論社
【 発行 】 : 2012/6/18
【 頁 】 : 345ページ
【 価格 】 : 2,000円 (+税)
【 星 】 : ★★★★★★☆☆☆☆
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