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また凄いドキュメンタリー本があると聞いて調べてみると、なんと著者はあの
「桶川ストーカー殺人事件 −遺言」を著したジャーナリスト・清水潔氏だった!
<あらすじ>
栃木県足利市、群馬県太田市という隣接する2市で、4歳から8歳の5人の少女が誘拐または殺害されているという重大事件。その中の一つが、あの「足利事件」である。一連の事件を同一犯による連続事件だと喝破した著者は、「足利事件」冤罪の可能性を報じて菅家さんを釈放へ導くとともに、徹底した取材によって、ついに「真犯人」を炙り出した―!
「足利事件」
もちろん名前は知っていたが、こんなことだったとは思いもしなかった…。
「桶川ストーカー殺人事件」同様、警察や検察など国家権力の無能さや横暴ぶりには呆れる
ばかりだし、科警研のDNA鑑定が幾ら初期の頃とはいえ、これほどまでにずさんなもの
だったとは…!
「桶川ストーカー殺人事件」だけでも一生に一度あるかないかという凄い仕事だった
だろうに、またしてもこんな大仕事ををやってのけるとは、清水潔という記者、
本当に凄い人だ…。
全くの無実であった菅家利和氏が「死刑」の淵から生還できたのは、間違いなく清水氏の
働きによるところが大きい。
固く閉ざされていた遺族たちの心を、丹念な調査と誠意を尽くした取材によって、少しずつ
溶かしていく様子が、この本にしっかりと描かれている。
そして…。
「足利事件」によってDNA鑑定の神話が崩れ去り、それを決め手として死刑執行されて
「飯塚事件」があったという事実には、心底恐ろしくなった。
あと数ヶ月あれば、死刑は免れていたかも知れないのだ…。
昭和初期とかならともかく、1990年代にもなってこんなことがことが起きるなんて、
想像だにできなかった…。
菅家さんを17年半も無実の罪で囚え、あまつさえ真犯人を野放しにしておきながら、
平然と「時効」を主張し、再捜査すらしようとしない警察庁。
平和国家と言われる日本の国家権力が、これほどの〝重罪〟を犯すとは、想像だに
しなかった…。
はっきりと人物を特定し、DNA鑑定で「完全一致」というところまで追いつめて
いながら、結局、警察庁や検察庁は動こうとしなかった。 この本のタイトルと、そして「あとがき」。
全ては「ルパン似」と言われる、今ものうのうと暮らしている真犯人に向けて書かれた
メッセージそのものなのだ。
「桶川ストーカー殺人事件」と違って、真相は闇に葬られた形である分だけ、
インパクトはこちらのほうが少し薄いか。
それでも、凄いドキュメンタリーであることは、疑いようのない事実。
時間も忘れて、一気に読破してしまった。
日本人ならば、ぜひ読んでおいて欲しい一冊である!
なお、昨年話題になった「文庫X」。
この正体はなんと、文庫版の本書だったそうです。
【出版社】 : 新潮社
【 発行 】 : 2013/12/18
【 頁 】 : 335ページ
【 価格 】 : 1,600円 (+税)
【 星 】 : ★★★★★★★★☆☆
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