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大阪府出身で、京都の美大を卒業しライトノベル作家となった七月隆文氏による、 一般文芸作品としての第一作目であり、口コミを中心に50万部を超えるベストセラーと なった恋愛小説である。
ネット上で絶賛されていたので、借りてみた。
<内容>
京都の美大に通うぼくが一目惚れした女の子。 高嶺の花に見えた彼女に意を決して声をかけ、交際にこぎつけた。気配り上手でさびしがりやな彼女には、ぼくが想像もできなかった大きな秘密が隠されていて―。 「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」奇跡の運命で結ばれた二人を描く、
甘くせつない恋愛小説。彼女の秘密を知ったとき、きっと最初から読み返したくなる。 最初はよくあるタイムトリップものかと思ったのですが…。
これから思いっきり〝ネタバレ〟しますので、これから 読んでみたいと思っている人は遠慮してくださいね(笑) おそらく子供時代から出てくる「大人の女性」が、ヒロインの愛美なのだろうとは 容易に想像できましたが、まさかのパラレル・ワールドもので、しかもその 時間軸の進行方向が逆向き だとは…!? このギミック、よくぞ思い付いたものだなぁと、心底感心しました。
判ってみればこのタイトルは見事なもので、これ以上のタイトルは有り得ないだろうし、 かといってタイトル落ちするわけでもない、まさにギリギリの線を狙った、
インパクトあるネーミングセンスに脱帽です。
もう正直「ライトノベル」の感覚で、サクッと2時間程度で読めてしまいます。 勿論「号泣」などはしませんが、文中のバカップルの微笑ましいやりとりが、 ラストに向けて徐々に、なんとも言えない切ない感情へと変化していきます。
パラレル・ワールドには一度のトリップで40日しか居られない とか、 5年置きにしか、トリップできない など、あまり説得力の無い、多少「御都合主義的」で 強引な設定ではありますが、まぁ、許容範囲でしょう(笑)
連続TVドラマ化するほどのボリュームではないので、有村架純主演あたりで映画化すると 丁度良いのではないですかね?
…と思っていたら、すでに映画化が決定してました。
福士蒼汰はともかくとして、小松菜奈はちょっとイメージが違うなぁ…。
ともかく、心地よく読めて、たまにはこういう小説も良いです。 オススメですよ! 【出版社】 : 宝島社
【 発行 】 : 2014/8/6
【 頁 】 : 287ページ
【 価格 】 : 724円
【 星 】 : ★★★★★★★★☆☆ |
本
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TVドラマ「下町ロケット」が大ヒット放送中の池井戸潤氏のベストセラー小説 「半沢直樹」シリーズの二年ぶりの第四弾!
図書館で予約待ちすること約10ヶ月、ようやく借りられました…。
<内容>
半沢直樹シリーズ第4弾、今度の相手は巨大権力! 新たな敵にも倍返し! !
頭取命令で経営再建中の帝国航空を任された半沢は、500 億円もの債権放棄を求める再生
タスクフォースと激突する。 政治家との対立、立ちはだかる宿敵、行内の派閥争い
プライドを賭け戦う半沢に勝ち目はあるのか…? 前作「ロスジェネの逆襲」では、半沢直樹はどちらかというと脇役に近かったが、
今作は期待通りに大暴れしてくれる!
今回のデーマは我々の記憶にも新しい、あの「JAL再生タスクフォース」をモデルと
していることは間違いないところだろう。
小説の中での「民政党」は、勿論「民主党」がモデルだ。
相手が政治家や大臣であっても、一歩も引かない半沢直樹の毅然とした態度に、
旨が熱くなる…。
半沢や渡真利、近藤らが皆「次長」クラスとなり、行内に影響力を持つようになって、
どう戦っていくのかと思ったら、さらに強大な銀行外の巨悪を設定し、見事にシリーズの
もつテーマをより強力に打ち出しており、お見事だと思った。
少々、渡真利、近藤らの活躍が薄くて不満だったが、その分「富さん」という強力な
キャラを立て、さらにあの「金融庁」の黒崎までもが 共闘 (?) を果たすなど、
読みどころは盛り沢山!
そしてなにより、中野渡頭取の潔い姿に心からシビれます。
できれば、本作も2時間20分程度の映画として映像化して欲しいなぁ…。
NHK大河ドラマ「真田丸」が終わるまでは、なんともならんのでしょうね…。
とにかく一日も早く、堺雅人版の「半沢直樹」シリーズ続編が見たくてたまらない
ですなぁ…。
シリーズ屈指の傑作であり、しかも4時間足らずで読破できますので、
超オススメですよ!!
【出版社】 : ダイヤモンド社
【 発行 】 : 2014/8/1
【 頁 】 : 378ページ
【 価格 】 : 1,620円 (税抜き)
【 星 】 : ★★★★★★★★★☆ |
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賛否はどうあれ、『その女アレックス』があまりにも衝撃的作品だったので、
この作者のもう一冊の長編を読んでみた。
ちなみに本書を読んで衝撃を受けた文藝春秋の担当者が、ルメートルの新たな作品を
探していて出合ったのが『その女アレックス』だったという…。
<内容>
ソフィーの目の前に転がる男児の無残な死体。ああ、私はついに人を殺してしまった。幸福だった彼女の破滅が始まったのは数年前。記憶にない奇行を繰り返し、彼女はおぞましい汚名を着て、底辺に転落したのだ…。 確かにフランス小説らしからぬ、刺激的な作風ではあるけれど、「その女アレックス」
ほどの衝撃は得られず…。
まぁ、〝姿無きストーカー〟の戦慄の犯罪には、読んでいるこちらの心の方が
折れそうになりますな…(苦笑)
ただ、構成がイマイチかな。
事件は時系列になっていないため、途中で混乱してしまうし、そもそも次第にソフィーの
意識や記憶がおかしくなり、夫ヴァンサンと衝突するさまなどを殆ど描いていないので、
その後の真相を知ったときの衝撃が、全くといっていいほど得られない…。
プロットは素晴らしいだけに、これは構成の失敗としか思えない。
そういう点では、こういう経験を踏まえて、全て巧く行ったのが『その女〜』
なんでしょうな。
ラストも「死のドレスを花婿に」というタイトルそのもの。
これは邦題が拙いんじゃないの?と思ったら、原題も「Robe de marié」で
直訳すれば「花婿のドレス」…。
まぁ、どっちもどっちか…(-_-;)
まぁ、この作品は読まなくてもいいでしょう。
読むのであれば、とにかく『その女アレックス』をオススメします。
【出版社】 : 文藝春秋
【 発行 】 : 2014/09/02
【 頁 】 : 388ページ
【 価格 】 : 790円 (税抜き)
【 星 】 : ★★☆☆☆☆☆☆☆☆ |
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今一番売れている海外ミステリー小説が、この本ではないだろうか?
図書館に予約し、半年待ってようやくの到着である。
<内容>
おまえが死ぬのを見たい――男はそう言って女を監禁した。檻に幽閉され、衰弱した女は死を目前に脱出を図るが…。
ここまでは序章にすぎない。 孤独な女の壮絶な秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、
慟哭と驚愕へと突進する。
なるほどね…。
冒頭は、冷酷な謎の男に突如誘拐された不幸な女性かと思ったら…。
そうきますか!?
もの凄く簡単に、そしてかなり衝撃的な形で、物語は二度も大きく展開を変える!
活字を追っていながら、「えぇ…?、どういうこと?」って感じで、
状況が良く飲み込めない…。
なるほどね…。
そういうことか。
結局、表題の「アレックス」が死んでから、全ての謎が明らかになるんですなぁ…。
まぁ、見事なプロットです。
後味はもの凄〜く悪いけど…(-_-;)
ただ、事件をなぞっていくパリ警察犯罪捜査部の個性的な四人組、班長のカミーユと
その部下ルイやアルマン、そして上司のグエンらが、思わせぶりに登場する割には
ほとんど事件の謎解きをやる訳でもなく、意味が判らない…。
こんなキャラクター付け、必要だったのかな…?
幾ら小説(フィクション)とはいえ、あまりにもアレックスという女性が不幸過ぎて、
とても褒められたものではない。
それでも「ミステリー小説」としては、超一級品であることだけは間違いない。
久し振りにガツンと喰らった気がします…。
結構、やられますので、精神的に落ち込んでいないときに読むことをオススメします。
【出版社】 : 文藝春秋
【 発行 】 : 2014/09/02
【 頁 】 : 457ページ
【 価格 】 : 860円 (税抜き)
【 星 】 : ★★★★☆☆☆☆☆☆ |
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<内容>
わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。
足の不自由な恵美ちゃんと病気がちな由香ちゃんは、ある事件がきっかけでクラスのだれとも付き合わなくなった。学校の人気者、ブンちゃんは、デキる転校生、モトくんのことが何となく面白くない…。優等生にひねた奴。弱虫に八方美人。それぞれの物語がちりばめられた、「友だち」のほんとうの意味をさがす連作長編。
この小説は十の短編から構成される「連作長編小説」という、ユニークな作品形態
となっている。
主人公は、小学4年生のときに好投事故に遭って左足が不自由になり、それを全て
他人のせいにして勝手に拗ね、以来人前では殆ど泣いたり笑ったりしなくなった恵美
という女の子だ。
そしてもう一人、小さいときから腎臓が悪く、10歳という人生の大半を病院の中で
過ごしてきた、内向的な由香という女の子も大事なキーパーソンとなる。
この二人を中心に、クラスで孤立してほんの一刻だけ二人と心を通わせた堀田ちゃん、親友との確執で心因性視力障害となり、二人と心を通わせたハナちゃん、そしてイジメに遭って転校してきて由香のことを気に懸けていた西村さんという3人の友だち。
さらに恵美の弟で勉強もスポーツも優秀なブンと、それを脅すライバルとして登場した
モトの友情と葛藤。
ブンと幼馴染で勝手に親友だと思っている三好君。
さらにブンとモトにサッカー部のレギュラーを奪われ、嫌がらせをする先輩・佐藤。
これらの人物を主人公とした各短編が、時系列もバラバラに展開されていく。
誰に対しても常にそっけなく、ツンケンとした態度を取っていた恵美が、ブンやモトの
短編では大学生、社会人となり、口調こそ変わらないものの、相手の気持ちを汲み取れる
ような態度を見せて、読者に「あぁ、この人は変わったんだなぁ」という印象を抱かせる。これが後の大きな伏線となっていく。
この辺りは実に巧いと思う。
ただモトとブンの話は実に判り易い反面、ハナや西村さんはどうしてあの後、二人から
簡単に心が離れてしまうのか、その辺りの心情が、あまり納得できなかった。
「友だちなんかいらない」、「『みんな』は信用しない」と言っていた恵美が、
自分の運命を受け入れ、残りの人生を懸命に生きようとする由香の気持ちを真っ直ぐに
受け止め、幼いながらも由香の残りの人生を共に引き受けようと決意する恵美の決意に
より、自分でも知らない間に少しずつ変わっていく様子が、とても切なく描かれている。
ブンとモトの話を先に持ってくることで、「一体この人に何があったんだ?」と思わせ、
グイグイと読者を惹きつけることに成功する。これが時系列通りに並べられていたら、
平凡な話になっていたような気がする。
そしてストーリー・テラーとして話を進めている人物 である「僕」、
これが果たしていったい誰なのか?
…と、ずっと気になりながら読み進めていた。
本作品の最終話であり、本のタイトルにもなっている短編「きみの友だち」で、全ての
短編の主人公である「友だち」たちが一同に会し、「きみ」とは誰か、「友だち」とは
誰のことを言っているのか、そしてストーリー・テラーとなっている「僕」とは
誰なのかが、全て明らかになる「大団円」を迎える。
あれほど虚勢を張り、いつもそっけなく、誰に対しても怒りを見せていた恵美が、
沢山の「友だち」や信頼できる仲間たちの前で、ついに満面の微笑みを浮かべる
クライマックスは、読んでいてとても爽快だった。
そしてラストにはあれほど堪えていた涙まで…。
その思いは、遥か天空から見守ってくれている、誰よりも大切な「友だち」にも、
きっと届いたに違いない。
正直、こんなに良い作品とは思いませんでした。
良く中高生の「読書感想文」の課題作品になっている、というのも頷ける作品ですな。
重松氏にも少し注目して、作品を読んでみたいと思います。
重松氏の書いたものでなにかオススメの作品があったら、教えてください。
【出版社】 : 新潮社
【 発行 】 : 2008/06/30
【 頁 】 : 741ページ
【 価格 】 : 680円 (税抜き)
【 星 】 : ★★★★★★★☆☆☆ |





