--31 大乗仏教の興起

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31-28:「菩薩」の変化


 大乗の菩薩は、不退転の決意を持ち、悟りのためには命を捨ててもよいという、すさまじい決意に満ちた人々である。初期大乗経典である般若経群に見られる菩薩は、砂漠を移動する隊商のリーダーのようなたくましさを持っている。大乗の菩薩像は最初、悟りの世界を目指すものの現実的なモデルとして示されたと考えることができる。

 しかし、かなり早い時期にモデルの役割を終えたようである。大乗の菩薩はその厳しい修行ゆえに、授記をあたえられ、救済者として現れるものが出た。阿弥陀如来がそうである。法蔵菩薩は阿弥陀の誓願と言われる願をかけて、阿弥陀如来となった。もはや、衆生は菩薩行を行う必要はない。衆生は救済される対象となる。

 法華経の観音品にみられる観音菩薩も修行のモデルではなく救済者である。ひとたびその名を唱えれば、どんなときでも神通力を発揮して、救済してくれる。大乗仏教は、利他を目指す菩薩の仏教といわれる。しかし、阿弥陀信仰、観音信仰を見る限り、「利他を目指す菩薩」に救済を願う仏教となっているように思われる。


以下は引用である。
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 ここで確認しておきたいのは、もともと誓願を立てて仏国土を実現するという菩薩の行為は二つの方向性を持っているという点である。一つは、その誓願が実現して仏となり、衆生を救済するという救済者としての面。もう一つは我々自身菩薩として誓願を立て、浄仏国土の活動を推し進めなければならないという面。この面からいえば、阿弥陀仏(法蔵菩薩)のような存在はいわば模範者ということができよう。阿弥陀信仰においては、前者の面が表に出、これに対して般若思想などでは後者が重視されると見ることができる。

参照・引用文献
・末木文美士(すえきふみひこ)『浄土仏教の思想』二 観無量寿経・般舟三昧経 p126〜


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