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さて、いよいよ『観無量寿経』(観経)をも含む「観仏三昧」を取り上げる段階となった。すでにふれたように『観無量寿経』と同様に「観・・・経」と名付けられた経典が、『観無量寿経』と同じ頃いくつも漢訳されている。
重複することになるが、もう一度それらの名称と訳者名を挙げておこう。
『観仏三昧海経』 十巻 仏陀跋多羅訳
『観普賢菩薩行法経』 一巻 曇摩蜜多訳
『観虚空蔵菩薩経一巻』 一巻 同
『観無量寿経』 一巻 畺良耶舎訳
『観薬主薬上菩薩経』 一巻 同
『観弥勤菩薩上生兜率天経』 一巻 狙渠京声訳
この中で特に注目されるのは『観仏三昧海経』である。というのも、単にこの経が最も長大であるというだけでなく、内容的にも他のものよりも雑然としており、それだけに「観仏三昧」の原形をよく保っていると思われるからである。これらの観仏経典は梵本やチベット語訳、さらには漢訳の異訳もなく、その成立に疑問がもたれているが、『観仏三昧海経』は、ガンダーラとの関係をうかがわせるところがあるからである。
『観仏三昧海経』の「観仏三昧」についてもう一つ指摘しておかなければならないのは、ここでは「観仏三昧」が「滅罪」ときわめて密接に関連していることである。これは『般舟三昧経』にはみえなかったもので、他方、観仏経典類には共通して重要な意味をもっている。『観無量寿経』(観経)の前十三観でも「○○億劫の罪を除く」という表現が定型的に現れることはすでに指摘したとおりであり、このことは『観仏三昧海経』や他の観仏経典でも同様である。このことは単なる定型的な決まり文句というだけでなく、『観無量寿経』の九品段、特に下品の悪人往生とも関連して重要な意味をもってくる。・
参照・引用文献
・末木文美士(すえきふみひこ)『浄土仏教の思想』二 観無量寿経・般舟三昧経 p140〜
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