--11 禅観法の確立

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 さて、『三昧海経』(以下本経という)の内容にもう少し立ち入ってみることにしよう。といっても詳しく検討する余裕はないから、ここでは一方で『般舟三昧経』と比べ、もう一方で『観無量寿経』(以下観経という)などと比べ、本経の特徴をいくつか挙げてみることにしたい。

 まず、本経の基本的な枠組みをみると、本経は釈尊が故郷の迦毘羅城(かぴらじょう)において父王閲頭檀(えつずだん)に説くという形になっている。この構成が『観経』の韋提希への説法という形式へも影響を及ぼしたと思われる。また、ここから本経がきわめて在家者向きの性格が強いことが予想される。また、父王が我が子のブッダとしての三十二相を自分と後世の衆生のために説いてくれと願うことからも知られるように、本経では観想の対象はあくまで釈迦仏である。あるいは、少なくとも釈迦仏を範型とした一般的な仏の姿である。この点、『般舟三昧経』とも他の観仏経典とも異なるが、ガンダーラの仏像が基本的に釈迦仏であることとの関連を思わせる。・・・

 具体的な観想の対象は、上述のように仏の三十二相(三十二の身体的特徴)といわれるが、序観地品第二に列挙された項目は三十二にとどまらず、五十六、あるいはそれ以上になる。その詳細は観相品第四に説かれるが、五十六のすべてにわたるものではなく、途中の臍相で終わり、その後の観仏心品第四・観思無量心品第五では今度は身体的な特徴に対して「仏の心」を観ずることを説く。さらに観四威儀品第六では仏の行住坐臥の姿を観想することが述べられ、具体的には、仏伝のさまざまな場面が語られる。ナガラハーラの悪龍退治の話もここに出てくる。

 このように具体的な対象を観想するのは般舟三昧と異なるところで、小乗系の禅観思想との関連が考えられる。他方、他の観仏経典と比べてみても、本経のように個々の身体的特徴を詳しく述べるものはなく、この点に本経の特徴がみられる。

 ・・・

 さらに心の問題に関してもう一つ関心がもたれるのは、『般舟三昧経』の「心作仏」「心是仏」の思想がどう展開しているかという点である。この点に関して注目されるのは六喩品第一で、ここでは「当に知るべし、是れ人の心仏の心の如くにして、仏と異なることなし。煩悩にありと雖も諸悪の覆弊する所とならず」といわれ、このことが六つの喩えで説かれている。この説は明らかに如来蔵的な思想であり、『般舟三昧経』より一歩進んだ理論化といえよう。

参照・引用文献
・末木文美士(すえきふみひこ)『浄土仏教の思想』二 観無量寿経・般舟三昧経 p143〜


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