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すぐに開くボタンを押したが、扉は閉まりエレベーターは上昇を始めた。
2階のボタンは間に合ったようで、扉が開くのと同時に外に飛び出し階段を下りた。
当然、1階のホールには男の姿はすでにない。
外に出てみたが完全に姿を消していた。あの表情はやばい・・・と思い、
念のため駐車場の車をチェックした。隠れて逆襲してくるような気がしたからだ。
Mさんを支えながらHが1階に降りてきた。
私「無事か?」 H「ああなんとかな」
私「すまん、逃がした。顔がわかっていればなぁ・・・Mさん大丈夫?」
M「うん」 私「あいつはどこにいたの?」
M「わかんない・・・寝室で物音がしたんで見に行ったら、ベッドの横に立ってた・・・」
遠くでサイレンの音が聞こえる。
聞き慣れた無線機の通話音、自転車の警官が現着報を入れている。
私は首都パトの事務所に電話で欠勤する旨を夜勤者に伝え、Mさんが聴取から戻るのを待った。
警察署から帰り、3人で落ち着いたとき、いろいろ聞かされた。
M「たぶん、合鍵を持っていてずっと部屋の中に潜んでいたんじゃないかって・・・ベッドの下とかクローゼットの中とか、あと盗聴器も見つかった・・・バックとCDプレイヤー(持ち歩き様)に・・・ぜんぜん知らなかった・・・」
H「なんなんだ?そこまでするか」
M「ベッドの下に受信機があったって・・・一人で帰っていたら・・・わたし・・・」
私「あいつ、なんか言ってた?」
H「俺が飛び込んだ時、一緒に来いって聞こえたけど・・・」
M「わかんない・・・ずっと二人できりでいられる場所を見つけたって・・・こわい」
私「警察には言ったの?」 M「うん」
H「ここまでやりゃ捕まるだろ」 私「奴にガツーンと出来たのかい?」
H「いや、胸倉つかんでつき飛ばしたら、すぐに逃げちまった。こんにゃくみてぇな奴だったよ。もっと抵抗するかと思ったんだけどなぁ」
私「あとは警察にまかせよう」
Mさんに対するストーカー行為は一応の終結を見たようです。
しかし、奴はまだ捕まっていません。
自分のアパートにも帰っていないようです。
Mさんは周囲のすすめでまた引っ越しをすることにしたそうなんですが、最後の夜、
また奴の姿を見ることになります。
夢か現実か区別がつかないそうなんですが、夜中に起きてベランダを見ると奴が
立っていてガラス戸を開けようとして、手をかけると頭がぽろっと後ろに落ちたそう
です。それをみて記憶が飛んだと・・・気付くと朝で床に寝ていたそうです。
引っ越した後もたまに夢を見るそうです。
私も奴が一瞬見せた気味の悪い笑みが今でも忘れられません。
ストーカーという言葉がメディアをにぎわすのはこの時から2〜3年後だったと思う、
もし、車のキーを忘れずに、そのまま車に乗っていたら、5階を見上げることは
なかった・・・彼女の悲鳴も聞こえなかった。
ダイビングショップが無くなってしまったので、徐々に疎遠になったが、HもMさんも海にはよく来ていた。
HはずっとMさんを守りたいそうだ・・・。
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