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友人のMさんの体験談
職業柄集まると営業実績にはじまり、教習に車、そして事故の話になる。この暑い日が続くと
変わった話も出てくる。酔っぱらいのたわごとだと思って聞いてくれとMさんは語った。
黄金のバブル期を謳歌していたMさんはその日も終電ぎりぎりまで飲み歩き駅から自宅の公営住宅へ歩いていた。タクシーを使いたいところだが、奥さんの怒った顔が過ぎり歩くことにした。酔っているので記憶はとぎれとぎれだが、辛うじて帰路は見失わなかった。
見覚えのある歩道を歩き、見上げると12階建てのマンション群が目に入った。もうすぐ着くと足並みを早めたら
「ガツン」と足のすねを何かにぶつけた。痛〜てぇなぁと下を見ると自転車が転がっていた。「誰がこんなところにチャリンコほったらかしにしやがって」と酔いも手伝って何度も自転車を蹴りつけた。気は晴れなかったが、またとぼとぼと歩き始める。
やっと公営住宅のエレベーターに乗り込もうとしたら、救急車のサイレン音がやけに耳についた。うるせぇなぁと独り言をいいつつ振り向くと20代前半の女性がサイレン音を気にしながらついて来ていた。セミロングの髪型で少し脱色のかかった感じで痩身の綺麗な子だった。気分が良くなり11Fを押して、閉ボタンを連打した。しかし、早く登ってもらいたい気持ちとは裏腹に深夜のエレベーターは防犯の為、各階止まりになる。登ったかと思ったら2Fでストップする。なにもする気はないが折角美女と二人きりの空間を邪魔された気分になりイライラする。
閉を連打していたら、女性がするっと乗り込んで背後に回った。セミロングの髪型で少し脱色のかかった感じで痩身の綺麗な20代前半の子。酔っているMさんは「おぉ・・・また俺好みの女が・・・」とまた気分が良くなる。
3Fでもまた停止、イライラしてまた閉を連打する。ドアが閉まる寸前でまた女性が乗り込んでMさんの背後に回った。セミロングの髪型で少し脱色のかかった感じで痩身の綺麗な20代前半の子だ。普通ならここで異変に気づき振り向くはずだが、酔っていたMさんはまた自分好みの女が乗ったと機嫌がよくなる。
4Fでも停止、そしてまたイライラして閉を連打する。ドアが閉まる寸前でまた女性が乗り込んでMさんの背後に回った。セミロングの髪型で少し脱色のかかった感じで痩身の綺麗な20代前半の子だ。さすがのMさんも「あれ?」っと気づいた。ドアはガラス張りなので後ろは確認できる。
いない・・・今乗ったばかりなのに・・・
5Fに着き停止する。酒のせいだと自分に言い聞かせ自然に閉まるのを待った。するとドアが閉まる寸前でまた
乗り込んできた。Mさんは酔いが一気に覚め、恐怖で全身が震えた。振り向くといない誰も・・・
6Fで降りようと考えるがあの階段で逢ったらどうしようと、頭が混乱している。結局降りられず・・・エレベーターは上昇する。各階でセミロングの髪型で少し脱色のかかった感じで痩身の綺麗な20代前半の子が乗り込んでくる。
なんでだ?なんでだ?なんでだ?と何度もつぶやく、目を閉じて何も見ないようにしていた。すると耳元で声がした・・・「なんでなの?」若い女の声・・・Mさんの意識はここで限界を迎えた。
大丈夫ですか?野球のユニホームを着た中学生が起こしてくれた。エレベーターの中で座り込んでいたようだ。
自宅で奥さんに絞られ、やっと我に返った。
昼過ぎ、奥さんに促され買い物に付き合った。車を出して見覚えのある道を走ると警察が事故の見分をしている何気なく目で追うとヒシャゲタ自転車が歩道に転がっていた。
まさか・・・Mさんは今でも後悔しているようだ。
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