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■イスラーム国の衝撃 池内 恵 (文春新書) ★☆☆☆☆
この専門家の著者にも(アサド政権=悪)ということがインプットされて
いることに、失望感を覚えました。 たとえばアサド政権の残虐さを説明する P121 の以下の下り。 > 政権打倒を主題とした歌謡曲を作詞作曲して歌いヒットした歌手が喉を切られて > 殺害されるなど、弾圧は陰惨を極めた。 さて、いつそのような歌がヒットしたというのでしょう。 シリア人の夫は、もちろんあきれて何も言えませんでした。 国が乱れ始めている中で、また報道も規制されている中で、ラジオやテレビが
そのような曲をヒット曲としてかけ続けることは、まったく考えられません。 第一に、シリアは、このような歌がヒットする性質の社会ではありません。
いや、考えてみてください。 いったい世界のどこの国で、政権打倒を訴える歌がヒットするというのでしょう。 面白半分で聞く人がいたとしたも、ラジオやテレビがそれを流し続ける はずもないではありませんか。 アサド政権に関するこのようなメディアの嘘は枚挙にいとまがありません。 それにしても著者が、でたらめな情報を鵜のみにして、このような記述をして いることに、私はあきれて何も言えませんでした。
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Myブックレビュー
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イスラームや中東に関する本を中心にご紹介します。たまには恋愛小説も?あるかも知れませんが・・・
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■イスラム国の正体 国枝昌樹 (朝日新書) ★★★★☆
読み終わって、ためになるレクチャーを受けたような気分になりました。
イスラム国についての基本的なことがわかりやすく語られています。 イスラム国を取り巻く各国の思惑もよく書かれています。 ---------------------------------------------
(P174 L9-12)
シリアでいえば、アメリカはアサド政権を打倒しようとする反体制
グループをずっと支援し続けています。シリア国内でのイスラム国とヌスラ戦線に
対する空爆に際して、アメリカは国連安保理での議論のみならず、
シリア政府の事前の同意さえ得ようとしませんでした。(イラク政府を介して
シリア政府に対して事前通報のみ行った)。これは問題があります。
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仰せのとおりで、アメリカのこのような行為がまかりとおっていることは おかしいではありませんか。
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(P202 最後からL4-P203 L4)
ちなみに、イランと近い関係にある「ヒズボラ」のナスッララ書記長が最近、
こんな発言をしていました。
「敵はシーア派とスンニー派の戦いだといっているが、大ウソだ。リビアを見よ。
スンニー派同市の戦いだ。イスラムの宗派抗争という筋書きは頭の中でつくった
想像にすぎない。
スンニー派とシーア派の戦いは少ない。イスラム国とヌスラ戦線もスンニー派
同士で殺し合っている。コパニもスンニー派同士だ。イラクでイスラム国はキリスト教徒(欧米)
を相手に戦っている。どこがシーア派とスンニー派の宗派抗争だというのか」
この指摘は、ある意味で当たっているのではないでしょうか。
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そのとおりです。
とかくジャーナリストや有識者は、宗派がどうの、宗派対立だと説明したがりますが、
そんなことはまったく関係ないとアブーマジド(夫)も言っています。
シリアにおよんでは、アサド大統領がアラウイ派でいう解説から始める
有識者を私は信用しません。
なぜなら、アブーマジドの親族一同スンニー派ですがアサド大統領を支持し、
彼の、その父の、宗派など気にしたこともないと言うからです。
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2014年中にまとめられた内容なので、2015年に空爆支援に踏み切った ロシアのことにはまったく触れられていません。
次作で解説いただきたいと思いました。
(ただし、著者は、9.11はアルカーイダの仕業であったとして記述して いるのですが、私自身はこの点には疑義があります) |
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■報道されない中東の真実 動乱のシリア・アラブ世界の地殻変動 国枝昌樹 著 ★★★★☆
「内戦の続くシリアでは・・・」という台詞がシリアのニュースを始めるときの決まり文句です。
私はコレを聞くと、違うだろう、といつもマユツバのニュースが始まると思ってしまいます。 さて、このことを著者の国枝氏は、きちんとご存知でした。 「シリア紛争は動乱というべき状態にあるが、シリア政府はこれを内戦と呼ぶことを拒否している(P266)」
よって、著者は「シリア内戦」という言葉を使っていないところは、さすがです。
ただ一つ、著者がアサド政権離反者のマナフ・トゥラースをパリに訪れてインタビューしていて
「(いつの日か)・・・彼の出番が巡ってくるのだろう」と書いていることには、 私は拒絶反応をおこしました。
離反した者、よい生活を保証されてフランスへ行った人を誰が信じるのでしょう。 とくにアラブの人は、そのようなことはよく覚えているのです。
シリアでの活躍など、もう彼にはないと私は思いました。 |






