うんむまじどの『イスラムな気持ち』

シリア危機(「内戦」ではありません)−アサド政権の「テロとの戦い」は続きます

ダマスカスの青い空

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ダマスカスの青い空を少しだけ仰いでみてください♪
1999年2月に出版している拙著『ダマスカスの青い空』は重版かなわず手に入りませんので、
内容を少しずつ紹介していきたいと思います。
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 余禄 ☆°。:’* + °・ ‥.゜★

 カルメンと同居して、あまり良いことはなかった。しかし、その癖、最初の頃、
カルメンが作ってくれたスパゲッティの味が忘れられないのである。それは、素うどんならぬ、
「素スパゲッティ」の味わいであった。私は、今も好んで、このスパゲッティを食する。

「素スパゲッティ」の作り方
 ズンドー鍋に湯をたっぷり沸かす。湯が良く沸騰したら、塩をひとつまみ入れ、
その中に麺をパラパラと入れてゆでる。
 トマトの皮を湯むきして、適当に細かく切る。鍋にオリーブオイルを少々入れ、
中火にかける。きざんでおいたトマトを入れて炒める。ヘラやスプーンなどで、トマトを
潰しながら炒める。トマトの形がなくなり、すべてつぶれたら、ソースのでき上がり。
トマトの量は、一人前なら、中ニ個くらいが目安。火を止める前に、「塩」を一人前で
あれば、ひとつまみ程度(小さじ三分の一くらい)投げ込んで、味つけは、それだけで
終わり。
 ゆで上がったスパゲッティを、ソースの鍋にいれ、よくからめてから、皿に盛っていただく。
 日本のトマトは、皮が薄いので、私は湯剥きをしない。良く熟して、形がくずれそうな
トマトがあったら、その方がソースにはうってつけである。
 具を入れたいときには、また別のフライパンで、なすやきのこ、シーフードなどを、塩、
胡椒で下味をつけて、別に炒めておく。それを、ソースの中に加えればいいのだ。
 トマトが嫌いでない人なら、この「素スパゲッティ」を、ぜひお試しあれ。
☆°。:’* + °・ ‥.゜★

『ダマスカスの青い空』―カルメンとの同居 から ☆°。:’* + °・ ‥.゜★

 しばらくすると、カルメンが、ヤシルとしっしょに帰って来た。私は、ある覚悟をしていた。
「ねえ。私が旅行中に、窓ガラスを割って、家に入ろうとしたんですってね」
 カルメンとヤシルは黙っている。
「もう、出て行ってくれるかな。私は、落ち着きのないのが嫌いなの。ここに、二ヵ月分の
あなたの分の家賃を戻すわ。だけど、窓ガラスと、居間のテーブルのガラス、
きちんと入れて、それから出て行きなさいよ」
 お金を受け取ると、二人の動作は機敏になった。ヤシルが、
「じゃ、ヤス。ガラスは、今、職人を連れて来て、測らせるから。必ず入れてから出るから」
 と、言って出て行った。
 カルメンは、部屋にこもって荷物をまとめ始めた。
 しばらくして、ヤシルがガラス屋を連れて来て戻り、ガラスをはめさせた。
「ヤシル。冷蔵庫にカルメンの食料品、もう腐っているのがたくさんあるわ。ちゃんと
全部持って行ってよ」
「それから、お風呂場に突っ込んである、カルメンの汚れたシーツ。それ、ちゃんと洗濯
して返してね」
 その汚れたシーツは、ヤシルでない、他のボーイフレンドが泊まった後、風呂場に
投げ込まれたものだった。カルメンはずっと洗ってなかった。水に漬かってるのを、
ビニール袋に入れて持たせた。水をたっぷり含んだシーツは結構重かった。
ヤシルは、何も知らずに、その袋を持った。
 カルメンは、あっという間に荷物をまとめ、私には、サヨナラもいわずに出て行った。
ヤシルだけは、気をつかって私に言葉をかけて出た。
「じゃ、ヤス。シーツは洗って、後で返しに来るからね。マアッサラーマ(さようなら)」
 結局、カルメンと暮したのは、二ヵ月足らずだった。

「サビナ。私のイタリア人のルームメイト。出てったわ」
 私は、クラスメートのドイツ人、サビナに言った。
「出てってもらったの」
「へえ。それで?どうするの。また新しい、ルームメイトを探すの?」
「ううん」
「探さない?」
「うん。しばらくは、一人がよくって」
 と、私が言うと、サビナが笑った。

 ―了―☆°。:’* + °・ ‥.゜★

『ダマスカスの青い空』―カルメンとの同居 から ☆°。:’* + °・ ‥.゜★

 その後も、カルメンは家にいる時にほとんど一人にはならなかった。いつも、
ボーイフレンドのヤシルがいっしょだった。私とは、いっさい口をきかない。
 居間のテーブルのガラスは、すぐには入らなかった。
 ちょうどその頃、学校が四日間ほど休みになるというので、私は、ヨルダンのアンマンに
旅行することにした。
 旅行から戻り、ドアの鍵を開けようとしたら、何かちょっと変だと感じる。ドアの鍵の
取り付け金具の所が、心なしかちょっとゆるんでいるような気がしたのだった。
だが、中に入っても、別段、変わったようすは感じられなかったので、その時は、
気のせいかしら、と思っただけだった。
 その後、しばらくしてカルメンが帰ってきた。めずらしくまっしぐらに私のところに
来て口をきく。
「ヤス。鍵貸してよ。鍵なくしたから、合い鍵作ってくるから」
 私は、ちょっとためらったが、結局、鍵を渡した。すぐにカルメンが出て行った。ほんの
少し心配だったが、カルメンは、しばらくしてからヤシルといっしょに帰って来た。私は、
内心、アルハムドゥリラー(ああ、よかった。アッラーの思し召しがあった)とほっとした。
私の鍵を持ったまま戻らなかったら、どうしようかと、ちらりと考えてしまったのだった。
 翌日、昼間、買い物をして家へ戻り、鍵穴に鍵を差し込もうとすると、向かいの家
に住む男性が、ドアを開けて私に話しかけて来た。
「この間、大変だったんだよ。君はいなかったろう。聞いたかい。あのイタリア人の彼女から」
「えっ、何かあったんですか?」
「どうもこうもないよ。鍵をなくしたから、彼女、窓を割って、家に入ろうとしたんだ」
「えーっ」
「そんなことをすれば、どろぼうと間違えられても仕方ないだろう。それで、下に住む人が
すぐに警察に通報したんだ。警察が来てさ、何だかんだとやってたよ。困るよね。
あんまり、人騒がせなことは」
「そんなことがあったんですか」
 私は、家に入ると、奥のカルメンの部屋をおそるおそるのぞいてみた。なるほど、
ガラスの破片は、もう片付けれれてはいたが、窓のガラスが抜けているところがある。
私は、その窓からの風に吹かれて、しばらく佇んでいた。
 私たちのコンドミニアムは、バス通りに面していたが、バス通りから、五、六メートル
離れて建っていた。バス通りから見ると、地下一階にある私たちの部屋の窓が、ほんの少し
下に見下ろせ、地下二階の人が、庭というか、テラスを持っているのだった。
バス通りから、建物の脇を入って、自分たちの部屋の外を壁伝いに歩く感じで進むと、
右手に階段と入口のドアがあるのだった。
 カルメンの部屋は、そのバス通りに面していた。壁の脇の道から少し下に、カルメンの
部屋の出窓がある。
身軽な人なら、壁のあるその道から、その出窓へ下りられそうな距離である。
そこの窓を割って、鍵を開けようとしたわけだ。―つづく― ☆°。:’* + °・ ‥.゜★

『ダマスカスの青い空』―カルメンとの同居 から ☆°。:’* + °・ ‥.゜★

「ヤス、こちら、アブー××。バーブトゥーマに住んでいる人だ」
 その頃、カルメンは、ダマスカスの旧市街で、キリスト教徒が多く住む、バーブトゥーマ
あたりで「友達」をたくさん作っているらしかった。この間、ドイツ人を連れて来たときの
「友達」とは、また、別のおじさんであった。
彼は、多分、キリスト教徒なので、いっしょにワインを飲んでいるわけだ。
 柔和な顔をして、単刀直入に切り出してきた。
「ヤス。カルメンは、ここを出たいと言っているんだ。だけど、家賃は、もう大家に払って
いるだろう。だから、君が、そのお金を返してくれないかな」
「私は、カルメンを追い出すわけじゃないんです。彼女が、勝手に出て行きたいと
言っているだけでしょ。なぜ、私がお金を彼女に返さなければならないんですか」
「じゃ、大家のところに行って、カルメンの分を返してもらうよ」
 と、ヤシルが言う。
「どうぞ。でも、あのケチな大家が、お金を返すとは、私は思いませんけどね」
 その通りだ。カルメンとヤシルとおじさんが、ヒソヒソと相談する。カルメンはあくまで
控えていて、二人の男のかげに隠れている。
「追い出すわけじゃない、と言っても、カルメンは、だいぶまいっているよ。君が小さな
ことにもうるさいって」
「そうですか。でも、私は、何も、彼女を追い出すような、ひどいことはしていない
と思いますよ」
 そこで、黙っていたカルメンが叫んだ。
「ライターひとつで、ガタガタ言ったのは誰よ!鍋を使って、洗濯したのは誰よ!」
 と言って、グラスをテーブルに投げつけた。テーブルは、上にガラスの板が、はめ込ん
であったので、それがガシャーンと音をたてて割れた。
 カルメンは、おいおいとヤシルの胸に顔をつけて泣き始める。
「私は、鍋で洗濯はしてないわよ。ただ、湯を運んでそのままお風呂につかったので、
そこに置いてあっただけ。ライターは、なければ困るから文句も言うわよ」
 アブー××のおじさんが、カルメンをなだめる。
「おい、カルメン。泣かないで。ヤスは、話せばわかる人のようじゃないか。もう少し
冷静に話し合ったらどうだ」
「そのガラス、片付けて、新しいの入れておいてくださいね。私はもう失礼しますから」
 私も何かというと、すぐ感情的になるタイプ゚だ。だが、相手が先に感情的になって
泣いていたりすると、かえってこちらは、クールになるものだ。私としては、今日のところは、
まず無難にこなした、と思った。―つづく―

『ダマスカスの青い空』―カルメンとの同居 から ☆°。:’* + °・ ‥.゜★

「あなたは、人生をエンジョイしてないわね。もっと、人生をエンジョイすべきよ」
 ある日、ボーイフレンドを送り出した後でカルメンは言った。
(余計なお世話だ)と私は思った。
 私は、彼女が、彼女の部屋にボーイフレンドを連れ込んでも何も言わなかった。
私も、かなりマイペースな人間である。人のことをあれこれ言うつもりはない。
ただ、いろいろなボーイフレンドを連れ込むようになった彼女は、生活のすべて
の面でルーズになった。
 台所まわり、洗面台まわりなどの共有スペースは、全部私が掃除をしなければ
ならなくなっていた。皿洗い用の洗剤や、食用油なども、私がいつも買うように
なってしまった。
 カルメンは、私と家ですれ違うことがあっても、ボーイフレンドを隠れ蓑のようにして、
私とは口をきかなくなった。そして、ボーイフレンドといっしょに、すぐに出かけてしまう
のであった。いろいろ話をしたくても、できなかった。
 カルメンが、私のことをいろいろ吹聴して回るものだから、さすがに周囲も、
「そのくらいなら、そこ出たら」
 と言うようになったのは、想像にかたくない。
 ある日、突然カルメンが、ドイツ人の女子留学生を、部屋を見せるために連れて
来たことがあった。
自分の代わりに住んでもらおう、というわけだ。私にしたら、勝手にルームメイトが
やって来る、という状況になる。
 家賃は、契約時に一ヵ月分を払った。そして、二ヵ月目に入る前に、今度は、
三ヵ月分を二人で大家に払い込んでいるので、カルメンとしては、そう簡単に出て
はいけないのであった。
「いったい何だって言うのよ。なんでその人が、部屋を見に来ているわけ?」
 憤慨している私に、カルメンは無言ですましている。その代わりに、同行して来た
カルメンの「友達」の年配のおじさんが説明する。
「ヤス。カルメンはここを出たいんだ。だから、自分に代わる人を探して、ここに住んで
もらおうってわけだ」
「それならそうと、先に、カルメンが私と話し合うべきでしょ」
 私は、腹立たしさを感じていて、自室にこもって怒りに震えていた。
 そのようすを見たドイツ人も、それで引いてしまったのか、結局、話は、まとまらな
かったようだ。
 ある日の夜、家に帰ると、カルメンと、そして、最近カルメンのボーイフレンドとして
すっかり定着したヤシル。
それと、年配のおじさんが、居間で酒盛りをしていた。ワインなんか飲んで、やけに
和んだ雰囲気だった。
「おっ、ヤス。お帰り。ヤスもこっちおいで、ちょっといっしょにやらないか」
 と、ヤシルが声をかけてきた。躊躇する私を、ヤシルが近くに来て、
「ちょっと、話をしようよ」
 と引っ張って行く。
 私は、かなり、こういうカルメンのあの手この手に慣らされつつあったので、
(何かあるな)と思ったが、受けて立ってやろうじゃない、という気持ちで彼らの前に座った。
―つづく―☆°。:’* + °・ ‥.゜★

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