cAt rAdio…心遊びのラビリンス

*******時の花びら降る中で。。*******

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            水に散る月光を掻き分け

            夜光貝の舟は島の入り江に入って行った。

            「さあ上陸だぜアリス!」

            期待と不安で一杯のアリスはダレトルの後からそっとのぞいた。

            するとキラキラ光る砂浜に人影が見える。

            「お出迎えだな」



            アリスは驚いた。

            そこに立っているのは緑色の帽子に緑色の服の少年だ。

            その肩には小さな煌めく妖精。

            それはどう見ても…


            「アリスだね!ネバネバランドへようこそ!!」

            「歓迎しちゃうわよ!」

            彼らは弾ける様な笑顔で言った。

            「僕はピータン・パン」

            「あたしってばティンカーブル…」

            期待通り…でもない名前である。

            「僕らはあの有名なお話の主人公の…」

            「子孫ね」

            アリスが呟いた。


            「どうせピータンが好きだとかそれから…それから」

            「ティンカーは

            世界的有名人になったご先祖の遺産と肖像権料で贅沢三昧し過ぎてね」

            横からダレトルが囁く。

            「すっかりメタボになって

            どうにも飛べないドジな妖精になっちまったのさ」


            「さあ行こう!」

            いきなりスタスタ歩き始めたピータンに

            すっかり期待を裏切られたアリスが叫んだ。

            「こういう場面ってあの不思議な粉をかけて空を飛べるんじゃないの!?」

            「い…いや実はね。

            何かにつけて気前よく使い過ぎたもんだから

            ムーン・パウダーをくれる月の女神様に怒られてさ。

            よほどの時以外は節約しなくちゃいけないんだよね」


            なんてしみったれたピーター…いやピータンなんだろう。

            アリスはがっくりと肩を落としトボトボと

            歩き始めた。



            予想通りピータンだらけの料理でもてなされ…

            一夜が開けた。

            「これから頼りになる友達を紹介するよ、その前に…」

            ピータンは古ぼけた箪笥の引き出しから何やらごそごそ取り出した。

            クルクルと巻かれた黒いもの…。

            「これは僕の影さ」

            そう言いながらおもむろに影を床に広げると彼は影接着用超強力糊で

            しっかりと靴の裏に貼り付けた。



            入り江を見渡す小高い丘に立つ赤い屋根の古びた家。

            「アリスか。よく来たな」

            「彼はフックラ船長」

            義手と義足、ヒゲ面の大男にアリスはビックリした。

 
            「あの船長って確か時計入りのワニに食べられたんじゃ…」


            「実は曾曾曾爺さん、すんでの所で逃げ出してな。もう危ねえ目は

            懲り懲りってんで地道な漁師になったんだ。

            あのカギ爪ででっかい魚も釣れたらしい。

            だが俺はやっぱり血が騒いであれこれ冒険し過ぎたもんでね」

            フックラはそう言って鈍く光る鋼鉄の義手を片手で撫でた。


            「今夜はちょっとばかりヤバいかも知れんが

            勇敢なアリスの血を引くあんたならきっと大丈夫」

            「や…ヤバいって一体何なの?」

            「ワニの奴から時計を取り戻すのさ。あの時計、実は

            とても大事な物なんだ…」

            ダレトルが言った。



            その夜

            貴重な粉を振りかけられた面々はピータンの案内で

            ワニの入り江へと飛び立った。

      
            降る様な満天の星空に輝く金色の月…

            夢に見た空中飛行だ。


            アリスはうっとりと無数の煌めきを見上げた。

            虹色の尾をひいて時おり星が流れてゆく。 



            足音を忍ばせ彼らは水際に近づいた。

            「いいかい、フックの血を引く俺の匂いにひかれて奴は

            のこのこ上がって来る。

            そこでデントーラがいきなり電球をつけるんだ。

            目が眩んで動けねえ奴の口にすかさずこのユメマボロシ効果のある

            ネバネバの実を放り込む。

            すぐに奴はボウッとするから

            ピータンの影用超強力糊で口も手足もくっつけちまう。

            で、得意の手術でダレトル先生が時計を取り出す…と

            こういう寸法だな」


            ちょっと乱暴過ぎるかも、とアリスが思ったその時。

            バシャバシャと水音を響かせ、水に映る月を蹴散らしながら

            暗い海から上がって来たのは大きなワニだ。

            お腹の辺りからチクタクと時計の音が聞こえる。

            「デントーラ、今だ!」

            彼が集中した途端明るい電球がパッと頭上に灯った。

            目の眩んだワニの口を船長の鋼鉄の手が強引にこじ開け

            幾つかの丸い実が放り込まれ……る筈だったが

            放り込む前に焦りすぎた全員が一斉に飛びかかったものだから

            ワニの方もじっとしてはいない。


            「オイ早く実を放り込め!!」


            「誰か右足押さえて!!!」


            一同入り乱れての大乱闘となり、誰かに思い切り蹴っ飛ばされた

            フックラ船長の手からネバネバの実が吹っ飛んでしまった。

            実は船長の口に飛び込み彼はその場にヘナヘナと崩れ落ちる。


            絶体絶命…

            「フックラ船長が食べられちゃう!」

            アリスが叫んだ時だった。


            「オイおメエ等、何だってこんな目に遭わせるんだ!!」

            大声で怒鳴ったのは他ならぬワニだ。

            「そこに倒れてんのは奴の子孫だな、匂いで分かったからわざわざ
 
            上がって来てやったってのに何なんだ、この仕打ちはよォ!!」

            「ど…どういう事なんだ」

            問い返すダレトルの周りで皆固まってしまった。



            「あれから随分時が経った…。

            何しろ歳を取り過ぎてこの通り歯もすっかり抜けちまったし」

            月光を浴びしみじみとワニは語る。


            「あの頃は若かったからな。オレも札付きのワルだったが…

            今じゃ曾孫の守に忙しいんだ。あやすのに頭の花が役に立つってわけさ」

            その頭に咲く有名な花は年の功か随分と数を増やし、背中にまで広がり

            良い匂いを漂わせてユラユラと風に揺れている。

            「まるで花畑だな。昼寝するのにちょうどいいぜ」

            フックラ船長が苦笑いしながら言った。


            「おメエ等が欲しがってるこの時計だが。

            もういい加減飽き飽きしてな。歳取ったせいかチクタクする音が

            やけに耳障りでここんとこ不眠症気味なんだ。

            おメエその義手を思いっ切り突っ込んで取り出してくれねえか」

      
            そして問題の時計はすったもんだの末

            ようやくワニとおさらばしたのだった…。



            「ねえダレトル、ネバネバの実って一体何なの?」

            「それはだな。

            この島のネバネバ族は先祖代々、ネバネバの森を大切に守ってる。

            ネバネバの木ってのはつまり…夢のなる木だ。

            ありとあらゆる夢が実になってぶら下がってる。

            そいつが弾けて世界中に散らばり眠った奴等の頭に飛び込むわけだな。

            弾ける前の実を呑むと夢はたちまち幻になって現れるんだ。

            まあいずれ村に行く事にもなるさ」




            「明日はどうするの?」

            ピータンが洗濯した影を丁寧に干しながら尋ねた。

            「ああ、次は麗しの姫君を捜さなきゃならんのだ」

            「お姫様!?」

            期待に燃えるアリスは身を乗り出した。

            「そうさ。

            毒リンゴを食って倒れちまった有名な…」


            「あの白雪姫!!」


            「…の子孫だ」

            ダレトルはニヤリとウインクしてみせる。

            「何でもえらく個性的な姫君だって鳥仲間の噂だよ」

            ウムガがすかさず付け加えた。








                                  (第3話につづく)

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☆はなさん
楽しんで貰えればとっても嬉しいです。

ご先祖たちがこの成り行きを知ったら
一体どんな顔をするか
少々心配ですが。
きっとブーイングの嵐でしょうね^^

まあ歳月は諸々を変える。。ってことで。

次回もお気楽ワールドになるかと。。
どうぞお楽しみ下さいませ!^^

ポチありがとう!

2008/9/8(月) 午前 0:45 ☆星 猫☆

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☆スカイラインさん
はい。
いにしえのご本家が聞いたらきっと
只では済まないでありましょう^^

今夜あたり夢枕で思い切り怒られるかもしれません。

まろやか。。
もっとデンジャラスにしたいのですが
何しろノー天気なもので
ついこうなっちゃいます。。^^

次回もどうぞよろしく。

2008/9/8(月) 午前 0:52 ☆星 猫☆

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星猫様
今日は。夢幻の世界ですね。私は夢幻バレエ(『眠れる森の美女』や『くるみ割り人形』が代表的です)が好きですので、自分で音楽や踊りを想像しながら、星猫様のお話を読ませていただいています。

2008/9/9(火) 午前 10:57 [ キュスティーヌ ]

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☆リラさん
いらっしゃいませ。

そうですね。
白日夢かも知れません^^

このストーリーが
リラさんの脳裏でどんな音楽やバレエとなって
上演されているのか。

出来る事なら覗かせて頂きたいものですが。。
残念ながらこれだけはムリですね^^

よろしければ次回もどうぞお楽しみ下さい。

2008/9/10(水) 午前 0:24 ☆星 猫☆

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1話・2話と読ませてもらいました。
とってもおもしろいですね♪
ユーモア溢れるストーリーが、読んでいて不思議な国に連れて行ってくれるようで、楽しかったですヽ(^o^)丿
第3話も楽しみです☆

2008/9/11(木) 午後 2:40 やまのなか

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☆みちぴたんさん
楽しんで頂けましたか。
こちらも何でもアリのアリスです^^

自分でも楽しみながらの、そんな
ストーリーづくりになってます。

これからも色んなお話のヒロイン、ヒーローゆかりの面々との
出会いとドタバタが
繰り広げられてゆきそうなので。。

どうぞよろしくね!^^

2008/9/12(金) 午前 0:56 ☆星 猫☆

ティンカーベルの子孫がメタボだなんて...妖精の風上にも置けませんねぇ〜(;-_-) =3
ピータンでのおもてなしも^^;
さぁ、しらゆき姫の子孫はどうなっているのか楽しみです☆ポチ☆

2008/9/12(金) 午後 2:51 伊右衛門

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☆Pepperさん
ハイ。
ティンカーベルファンクラブから
キツ〜いお叱りを受けるかも知れませんが。。^^

そして
ピータンづくしが3日続くと
アヒルに変身するかも知れません。。

噂の姫君はかなり個性的です。
どうぞお楽しみに^^

ポチありがとう!

2008/9/14(日) 午前 0:20 ☆星 猫☆

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物語の主人公たち勢ぞろいで楽しいお話ですね!!
メタボの妖精さんっ*レモンも昔はスリムできれいな小鳥を思い出しました。
ネバメバランドには愉快な仲間がいっぱいいてradioさんの夢溢れる
物語につづきも期待大です***私も夢ある物語にポチヨ!!
yuly

2008/9/14(日) 午前 7:54 [ ショコラ ]

☆yulyさん
そうか。。
あのレモンちゃんも元もとは
随分とスリムだったんですね。。

でも今のふっくらまん丸レモンちゃん、とっても
なごみ系でキュートですよ!^^

登場するのは
何だかクレイジーな仲間ばかりですが
みんな気のいい奴なので
これからもどうぞよろしくね!^^

ポチありがとう!

2008/9/15(月) 午前 1:04 ☆星 猫☆

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ピーターパンの仲間たちが登場ですね♪
順番に読んでいきますね^^

2008/11/18(火) 午後 4:22 入野うさぎ

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☆入野うさぎさん
訪問ありがとうございます^^

ネバネバランドで繰り広げられる
エピソードの数々。。
よくご存知のお話がらみのキャラクターが
毎回登場します。

ちょっと長めですが一話完結なので
どうぞ気軽に読んでみて下さいね^^

2008/11/19(水) 午前 0:33 ☆星 猫☆

またまたご無沙汰してしまいました。

これからどんなキャラクターが仲間入りして
どんな冒険が待ち受けているのか、すっごく気になってきました。
子供の頃に戻ったみたいに楽しくなります^^
傑作ポチ☆

2008/12/9(火) 午後 11:30 [ - ]

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☆はるさん
お元気そうですね^^

これから。。
よ〜くご存知のキャラ。。の子孫達が
あれやこれやと登場してきます。

ちょっととぼけた主人公達の
かなりドタバタながらも
ハラハラの大冒険、どうぞお楽しみに^^

ポチありがとう♩

2008/12/10(水) 午前 0:17 ☆星 猫☆

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思わず噴出しつつ読ませていただきました(笑
メタボな妖精って大変そうですね・・
また参りますです〜☆

2008/12/14(日) 午前 2:08 [ ria**yann*ia ]

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☆からさん
引き続きありがとうございます^^

楽しんでいただけたなら
嬉しゅうございます。。

今時は妖精と言えどもメタボの時代。。
きっとダイエットに励んでいる事でしょう^^
ちなみに
からさんの場合
スラリとスリムなイメージです。

又お寄り下さいませ♩

2008/12/15(月) 午後 0:30 ☆星 猫☆

個性派ぞろいの子孫たちの登場でとてもおもしろかったです。
ティンカーの子孫がメタボだぅたり、ピータンがでてきたり、凶悪そうなワニが、優しいワニなっていたりと予測できないストーリーが良いですね。第3話はどんなお姫様が登場してどんな展開になるのか楽しみ☆傑作ポチ

2008/12/23(火) 午後 8:31 ハーブ

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☆ハーブさん
個性的すぎて
とんでもない事になってますが。。^^;

どの世界の女の子も
体重オーバーは大問題みたいで。
それに
ピータンはけっこう料理上手のようです。。
ちなみに
ハーブさんはどんなお料理が得意なんでしょうか^^

次回も個性的すぎるキャラ登場です。。
どうぞよろしくね^^

ポチありがとう♩

2008/12/24(水) 午後 0:31 ☆星 猫☆

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☆星猫さん
ティンカー・ベルの記事にトラバありがとうございました♪
TBお返しさせてくださいね☆

2008/12/29(月) 午後 9:31 伊右衛門

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☆Pepperさん
ティンカー・ブルでは
実際のところ
ご本人やファンに怒られそうなんですが^^;

何しろブルは雄牛を意味するので。。
まあ来年にはピッタリ?ですが。

TBありがとうございます。

2008/12/30(火) 午前 11:45 ☆星 猫☆

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