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■ 2012年に見た映画 (主に旧作) その7 邦画 この記事は洋画の書庫に掲載していた記事その6からの続きです。 ■ 告白 凄い映画でしたね。これだけの映画が日本で作られた事に対し、良い意味でも、悪い意味でも驚愕させられました。公開当時かなりの話題になっていましたが、見てみてその理由が良く判りました。 此処まで人の心の闇を映画として表現してしまう製作陣の本気度に敬服する反面、現代社会において実際に存在するであろう非常にドライな、狂気にも似た陰鬱な世界を、ここまでストレートに一般の人に見せていいものなのかと、疑問にも似た感情を抱きました。(原作がそれだけ凄いのかもしれませんが、陰鬱で、残虐性が高い要素があったと思うわけです。) しかしながら、「被害者の本音をストレートに吐き出す」という部分では、ある意味物凄く理解出来るというか、共感出来てしまう部分が無いわけではないんですよね・・・。そうした意味で、自分自身の心の闇すら突かれてしまうような怖さを持ちえている映画だと思います。ホント、下手なホラーや、サイコサスペンスを見るより、ショッキングな作品でした。この役を見事に演じきった松たか子に敬意を表します。 ■ 悪人 この作品も公開当時、結構メディアに取り上げられていたようですね。 「主人公は確かに大きな罪を犯した。しかし、彼は心の底からの悪人だったのか。このような事件が起きたそもそもの要因は何だったのか。一体誰がそもそも悪かったのか。」という事を、見るものに対して静かに問いかける作品でした。その製作意図は判るものがありますし、良い意味で意欲的な作品だったと思います。でも、イマイチ感情移入しきれませんでした。なんというか、いくら裏切られたとはいえ、ああいう行動をとるのは問題だと思うわけで・・・。 ■ BECK ハロルド作石原作の青春ロックバンドムービー。多数の若手俳優が出演した事や、BGMにレッチリ等の洋楽のビッグネームの曲が多数採用された事で話題になりましたね。とはいえ、私としては特別に期待していたわけではないのですが、地上波で放送されていたので見てみました。 「映画」という短い時間内においては、それなりに上手く纏まっていた話なのではないかと思います。私は原作のファンでもなければ、読んだ事もないからそう思うのかもしれませんが・・・。というか、原作者のハロルド作石というと、「ゴリラーマン」のイメージが強すぎて、あの漫画を描いていた人が、こんな雰囲気の物語を描いていたのだという事に対し、ちょっと驚いた方が大きかったかもしれません。 ちなみに、主役バンドが演奏する「レボリューション」という曲は、レイジの「ゲリラ・レディオ」に似すぎだったように思うのがマイナス。また、イメージ優先で佐藤健のボーカルの声が入ってない曲をライブシーンで何度も使うのも疑問を感じてしまいました。(原作者の意向とかがあったのでしょうか?) ■ 宇宙兄弟 最近、TVアニメも放映されている宇宙兄弟。本作もコミックからの映像化作品ですね。この作品も原作は未読です。でも、私は原作を比較的忠実に再現していると言われているアニメの方を結構見ているので、途中までのストーリーは知っている状況で拝見しました。 この映画も、限られた時間内で結構上手く物語を纏める事に成功しているのではないかと思いました。実際、原作の様々なシーンをかなりはしょってますよね。また、登場しないキャラがいるだけでなく、重要な台詞を別のキャラが言うという事も起きていました。でも、シナリオの纏め方は悪くないのではないかと思いました。寧ろアニメの方は、あまりに丁寧に時間を使いすぎていて、非常にテンポが悪いと感じていた程。本作の方が小気味良いものを感じました。(ヒビトの英会話のシーンの、あのマッタリ感だけは受けつけられませんでしたが(^^;) ちなみに、”映画「銀河鉄道999」を製作するにあたり、監修である市川崑が、要らない部分をバッサバッサと切ったからこそ、あれだけテンポの良い名作になった”という評価をよく耳にしますよね。本作にも通じる部分があるのではないかと感じました。しかし、生粋のファンからすると、不満はあるのかもしれませんね。それは原作モノを映像化する上で、避けられないものなのかもしれませんね。 ■ クライマーズハイ 数年前のNHKでのドラマが好評だったクライマーズハイ。先日、映画版が地上波でやっていたので拝見する事に。 ドラマとはキャストが全員入れ替わっていたのでどうなのだろう・・・と思いましたが、シナリオの基本線は同じなので、クライマーズハイとして見る事は出来ました。本作の俳優陣も皆さん気合が入っていたと思います。でも、個人的には、TV版の方が良く出来ていたように思いました。 ■ ハゲタカ この作品も、NHKでのドラマが好評だった作品ですね。上記のクライマーズハイとは異なり、主要キャストは引き継がれています。それだけでなく、製作陣もかなり共通していたそうですね。私はTV版のハゲタカが、国内のドラマの中で10本の指に入るくらい好きな作品なので、物凄く期待していた作品です。 しかし、この映画化は失敗だったように思います。その原因はシナリオの出来が悪かった部分が大きいのでしょうね。話によると、製作の途中でリーマンショックが起こり、社会情勢・経済動向があまりに激変してしまい、当初予定していた内容を大幅に書き換えなければならなくなったのだとか。そのせいか、ストーリーがなんだかよく判らない、この作品のために登場したキャラクターの本当の目的が良く判らないという状況になってしまっていたように思います。非常に残念でした。 ■ 日本沈没 一昔前の日本の特撮映画。草薙君主演という事だけでなく、撮影シーンのためにJAMSTECが全面協力した事でも知られてますね。例の震災の前に見ていたのですが、あの震災の後ではなかなか感想を書く気になれないでいた作品でもあります・・・。 正直言って、映像にリアリティが感じられませんでした。災害シーンの表現が、不必要に過大に演出されすぎているように感じたからです。また、潜水艇で爆薬を運ぶシーンの演出や、搭乗員の台詞なども、海の中の事というより、スペースオペラの宇宙船のシーンのようにも見えてわざとらし過ぎに見えるといいますか。脇を固める多くの俳優陣の演技も同様に誇張感が強すぎたように思います。まあ、なんだかんだ言って、娯楽性を重視したSF作品だから仕方ないのかもしれませんけどね。 でも、巨大地震の連鎖発生や、巨大津波に対する懸念は、現実のものとしてあるわけですよね。それこそ、現実は想像の世界よりも、無慈悲で恐ろしいという事を、我々はあの地震から学ばなければなりませんね・・・。 ■ 羅生門 黒澤明監督作品です。あまり例を見ない不気味かつ不思議な映画でした。 ”立場によって、物の見方が異なる事は誰にでもある。意見が食い違い、衝突する事もある。それは単に価値観が違うだけなのか。それもとも、多面性のある事象を、一方から見ていないから起こる事なのか。それとも、自らを守るために、敢えて不利な面を隠しているのか。はたまた、事が有利に働くよう、嘘偽りを述べているのか。自己を守るためならば、それはいたし方ない事なのか。では、真実は一体何処にあるのだろうか。”そうした疑問が絡み合う物語でした。 凄く意欲的な作品であると思います。しかし、製作された時代が古く、物語の舞台も古い世界であるため、なかなか感情移入しずらかったりするかもしれません。映像としても不気味な感じですし、物語はかなり後半に差し掛からないと、面白みが出てきませんでした。悪くない作品だと思うのですが、現代においては万人にオススメ出来る作品とは言い辛いものがあるかもしれませんね。 ■ 七人の侍 以前から見たくて仕方が無かった作品。ようやくにして本作を見る事が出来ました。 正直な話、世間での評価ほどの作品といえるのだろうか・・・と思いました。 勿論、これだけの時間内で、舞台となる村の世界観、様々な登場人物各々のキャラクター性、それらの人物による様々な人間模様を織り交ぜながら、壮絶な戦いを描ききる技量は評価出来るものがあると思います。しかしながら、いかんせん207分の上映時間は長く感じました。この映画を見て、クロサワのファンになった外国の方も多いようですが、外国の方がこの上映時間に耐えれたのだろうか?と思った程です。 そこで調べてみると、海外での配給においては、かなりの部分がカットされたショートバージョンが製作されていたようですね。(しかも、その編集は黒澤監督が行ったものではないとの話もあるようで・・・。)そして、そのショートバージョンの編集がかなり小気味良いものとなっており、高い評価に繋がったとの話もあるようです。その真偽は私では判りませんが、そうした話があっても可笑しくないように感じてしまいました。 また、作品中で描いている時代に合わせようとしたのかもしれませんが、一部の台詞が非常に聞き取り辛かったように思います。それもまた、海外だと英語字幕などにとって変わるので問題なかったのかもしれませんね。 とはいえ本作は、海外だけでなく、国内でも高い評価を得ている作品でもあるわけで・・・。上映当時としては、他に類するものや、同水準に値する作品が無かったのかもしれませんね。それに、現代においては、一種の”思い出補正”的なフィルターが掛かって評価されている部分もあるのではないかと感じてしまいました。 とはいえ、7人を束ねる島田 勘兵衛を演じる志村喬の演技は渋く、宮口精二が演じる剣豪:久蔵の姿には惚れ惚れするものを感じました。 |

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