|
作家のダニエル・キイスさんがお亡くなりになられたそうですね。非常に残念です。(朝日新聞DIGITAL)
私はこの方の作品、「アルジャーノンに花束を」が非常に好きでした。知的障害を持つ若者が、手術を受けることで急速に学習能力や記憶力が高まり、天才といえる程の知性を身につけてゆく事によって生じる、驚き、発見、自信、感動、愛、そしてエゴと悲しみ・・・それらを見事に描いた傑作だったからです。単にSFという枠で語られる事がはばかれる程に物語としての展開が素晴らしく、涙を流さずにいられない名作中の名作だと今でも感じています。 この作品以外でも、ダニエル・キイス氏の本は「5番目のサリー」「24人のビリーミリガン」「ビリー・ミリガンと23人の棺」など、何冊か読ませていただきました。ちなみに、ビリー・ミリガン関連の本は、ストーリー展開を重視した創作物ではなくノンフィクション作品であったため、決して読みやすいタイプのものではなかったかもしれません。しかし、そこで描かれていた多重人格という症例に関する内容は、私にとってかなり衝撃的なものでした。そして、この方が単なるSF作家などではなく、また、売れる作家になりたいという人ではなく、あくまでも人の心というものに強く関心を抱き、その深淵に少しでも触れたいと感じているタイプの人であるのだろうと感じるようになりました。また、そのような人だからこそ、アルジャーノンを生み出す事が出来たのだろうとも感じました。 ちなみに、この方は作家としてのデビューが遅く、決して多作ではなかった人ですよね。でも、作家という存在の評価は、書いた本の数で決まるものではありませんよね。それこそ、たった1冊であっても、多くの人の心に残る作品を残せるのであれば、それで本望であると思う人の方が多いのではないでしょうか。寧ろ、そのような本を書こうと思っても、その1冊すら残す事が出来ない事の方が多いくらいだと思います。 そうした意味でいえば、「アルジャーノンに花束を」を世に残せたという事は、世界中の読書好きにとっても、本人にとっても、実に幸いなことであったのだろうと思います。とはいえ、お亡くなりになってしまったというのは、やはり残念な事ですね・・・。謹んで哀悼の意を表します・・・。 |
読書



