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カンヌ国際映画祭 最優秀主演男優賞/フランダース国際映画祭グランプリ/シカゴ国際映画祭 金のプラーク賞 他多数受賞 2004年/日本/141分 ■ Nobody Knows ■ 監督:是枝裕和 ■ 製作総指揮:是枝裕和 ■ 脚本:是枝裕和 ■ 出演:柳楽優弥/北浦愛/木村飛影/清水萌々子/YOU/韓英恵 ■ 音楽:ゴンチチ/タテタカコ『宝石』 ■ 誰も知らない公式HP 誰もしらない以前から見たいと思い続けてきた作品。ようやくにしてその機会を作る事が出来ました。ネタばれありの感想です。 なんというか、あまりに重い内容で、言葉を失ってしまう映画でした・・・。にも関わらず、登場する子供達表情が自然で明るい事に、胸が打たれる映画でした。 母親が居なくなっても、その事に必要以上に動じない子供達。むしろ母親の不在の期間中に見せる行動力は、そうした出来事が、過去に何度も繰り返されてきた事を物語っていました。それこそ、1ヶ月ぶりに戻って来た母親に飛びつくようなそぶりも見せなかったりする程です。むしろ何気ない、僅かな触れ合いの時間を心の底に大切に仕舞いこんでいるかのようでした。 そんな彼等は自分達の置かれている状況が、どれだけ異常であるのか理解出来ていないわけではないと思います。それこそ、あんな母親に塗ってもらったマニキュアを見て、そしてこぼしてしまったマニキュアの後を見て、母の事を思う長女の「京子」。母からのお年玉として渡された袋の筆跡が、以前のものと違う事で、母からのものではないと気づいてしまう京子。電気も止められ、大家の娘による家賃回収の訪問時にも、家族を守るために即座に嘘をつけてしまう京子。デリケートで、センシティブで、鋭い子供の感覚は、その生活を支える長男でなくとも十分にその事を理解していたのではないでしょうか。 にも関わらず、彼等は母親を憎むどころか、ひたすら戻って来る事を待っているのです。帰ってくる事は無いだろうと確信しても、ひたすら生きる道を探すしかないわけです。泣いたり、叫んだり、悩んだりする暇もなく、とにかく生きる術を探すしかないわけです。そしてその母親に身ごもらせてしまったかもしれない男性すら頼ってまでしても、コンビニで古くなったお弁当を分けてもらってまでしても生きてゆくしかないわけです。そこまでしていて尚、妹を墓に埋める際、母を恨むどころか、自分の無力さに打ちひしがれる「明」の姿を見ていて、胸が締め付けられる思いでした。そしてまた、「何時もの日常」が繰り返されてゆく様を見て、言葉に出来ない感情がこみ上げてきました。 でも、これだけ胸が苦しいのに、何故か涙が出てきませんでした。本当に今にも泣きそうなくらいに苦しいのに、素直に泣けませんでした。それは、彼等自身があれだけ辛い状況においても、決して泣くことなく、したたかに生きている様を見せ付けられたせいなのかもしれません。むしろ彼等の姿を見て泣くというよりも、傍に寄って、抱きしめてやりたい。口にしたいものを好きなだけ食べさせてあげたい。そして、あんな母親であろうとも、少しの時間であっても良いから会わせてやりたい・・・そんな気持ちを抱きました。 ちなみにこの映画は、とある事件(巣鴨子供置き去り事件)にインスパイアされて制作された作品だと聞きます。実際の事件は、さらに泥臭かったそうで、当人達がこれほどまでに爽やかで素直なな心持で生活出来ていた保障はありません。また、実際には高校生の「紗希」や、「コンビニのお姉さん」のように理解を示してくれる者が居たのかわかりません。そうした意味では、この作品は出来るだけ注意深く取材し、当人達に失礼の無いよう十分に配慮し、演出に凝っていても、やはり映画としての作り物である部分も多かろうと思います。それこそ、どれだけこの映画に共感したり、実際の事件の真相を追ったとしても、その苦しみは当人達でしか判らないものだと思います。でもこの作品は、決して浅はかな思いで作られた作品では無いことは、その丁寧な作りから十分に伝わってくるものがありました。 実際、子供達の演技は物凄く自然であり、長男の明を演じた柳楽優弥がカンヌ国際映画祭 最優秀主演男優賞を獲った事は何ら不思議ではありませんでした。というか、子供達役の全員に同等の賞を与えてあげたいと感じました。そして、実際の事件において苦しんだ子供達にも、「よく頑張ったね」と声を掛けてあげたいという思いでいっぱいです。
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