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■ 動物園にできること / 川端裕人




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動物園が好きであるからこそ、心の中に浮かんで来てしまう一つの疑問があります。動物達が本来生息していた場所から強制的に連れてきて、莫大なコストを掛けながらも狭い環境で生きる事を強いられている動物達を見ると、「それだけの手間・コストを掛け、時に危険に対峙し、時に批判にさらされながらも、動物園を運営する必要があるのだろうか?」と思えてくるわけです。

正しく本書は、そうした素朴で純粋な疑問を感じたフリージャーナリストがアメリカに渡り、日本よりも遥かに進んだ運営を行う様々な動物園の実態を通じて、その疑問の答えを探ろうとしたものです。

とはいえ、本書においてその答えは導き出されていません。著者のみならず、動物園の運営に関わるスタッフ全員が、その疑問を感じつつ、その答えをよりよいものとして導きだそうとしているのが現実なのだと思います。しかし、それは本書を読む価値の無いものとしているわけではありません。寧ろ、かなり丁寧にリサーチを重ね、誠意をもって書かれた良書だと思いました。



■ 要約と感想

レクリエーション・研究・保護・教育という目的で長きに渡り運営されてきた動物園や水族園。現在においては、種の保存・環境教育の場としての役割を求められるようになってきていると聞きます。しかし、その役割は決して容易いものではありません。膨大なコストや手間暇が掛かるだけでなく、必ずしも希望する動物が繁殖する保証は無いからです。

それこそ、動物園は非常に閉じられた世界であるため、近親交配の恐れが非常に高い事が常に悩みの種だとか。それは何も同一施設内だけの話ではないとの事。動物園で飼育されている動物は、現在捕獲が禁止されているものが多いため、他の動物園で繁殖した子供を譲り受けるケースが多いのです。つまり、世界中の動物園の動物は遺伝的に非常に近い間柄の者が多いので、血統を意識した上で相性の良いペアを組み合わせる必要があるというのです。

仮に繁殖が成功して、それらの動物が増えすぎても困る現状があるのだとか。というのも、動物園の展示施設は常に手狭であり、あまり多く動物が増えると、彼ら同士がストレスを抱える事になりかねないのだそうです。また、ゾウなどは飼育が比較的容易なメスは生まれて欲しくても、性格が荒く飼育が困難なオスの方が生まれると、かえって困ってしまう現実があるのだとか。かといって、繁殖計画を先延ばしにしていると、動物が高齢化してしまい、上手くいく可能性が低下してしまうのだそうです。それに、飼育が成功した動物達を野生に帰す事に積極的に取り組んでも、必ず成功するとは限らず、寧ろ上手く行かない事が多い現実があるわけです。

問題はそれだけではありません。最近では、彼らがノビノビと暮らしていけるよう、生態展示、ランドスケープイマージョンなど、様々な言い方をする展示方法が話題になったりしますが、それらも全て莫大な設備投資が必要です。また、知恵を絞り、それだけの費用を掛けても、彼らが本来生息していた大自然の姿を、異国の地で完全に再現する事は不可能だからです。

このような問題に目を向けると、「何故それだけの手間・コストを掛け、時に危険と対峙し、時に批判にさらされながらも、動物園を運営する必要があるのだろう?」という疑問が沸いてきくるわけです。

それこそ、動物園は人間のエゴの象徴であるように見えてきます。自然環境を侵食し、動物を強制的に連れてきた歴史の産物であるわけです。また、それらの活動によって失われたものは、動物の命であろうと、自然環境であろうと、人の手では2度と再現する事が出来ないという事を指し示す象徴的な存在であるように感じるわけです。

そう、このように見てくると、動物園という存在は、我々人類と自然との対峙構造を表す、「地球の小さな縮図」にも見えてきます。つまり、動物園の動物に対する接し方は、そのまま地球全体の生物に対する接し方と同じなわけです。

であるならば、動物園といった狭い世界にだけ拘るのではなく、その運営維持・改善費用を、そのまま大自然の環境維持・保全にまわすべきではないかという声も実際にあるそうです。その方が遥かに効率的で、多くの動物や自然を保護出来るのではないかという意見です。確かにその考えには一理あるように感じます。でも、動物園そのものの運営費が捻出されるような現実が無ければ、その費用を他の場所で使うという発想も出て来なかったと言えなくもありません。

また、熱帯雨林などの自然を守る必要性とは一体何なのでしょう?生物多様性の重要性を謳うCOP10などの活動が話題になった時もありますが、あの時も「将来における新薬などの材料となりえる可能性のある生物の遺伝情報などを保護するメリットがある」などと、人間本意の価値観で語られる印象が拭えませんでした。しかし、それを綺麗事と言うならば、実験動物だけでなく、家畜やペット等の扱いですら、様々な倫理的な問題を孕んでおり、本当にキリの無い話になってしまうわけです。

そう、我々は結局のところ、いくら倫理面で望ましいと思っていても、自らに何らかの利を感じる部分がないと、なかなか実行に移せない生物なのかもしれません。

とはいえ、私として、そうした悩み多き動物園が無くなって欲しいかというと、そうではありません。動物達の様々な色や形、身体能力の高さ、身体の大きさから、独特のニオイや鳴き声などを、これだけ間近な距離で体感できる施設など、他にはありません。また、動物に興味があるといって、多くの人が大自然へ訪れると、今度はそれで環境破壊が進んでしまう可能性も否定できません。故に、今以上にその存在価値を示す事で、今後も存続していって欲しいと思っているわけです・・・。

ちなみに、自然を守るという意味でいうと、単に保護区を作るという方法だけが有効な手段というわけではないはずです。我々先進国の人間は、常に大量のモノを消費しています。それらのモノは、贅沢なものや、使わずに捨てられてしまうものも少なくありません。そうした無駄を最小限に抑えるだけで、多くの自然が守られるはずです。これからの動物園においては、単に動物達の特徴を紹介だけでなく、彼らが生息していた自然が、どのような現状になっているのか正確に伝える事を始めるべきではないかと感じるようになりました。

また、動物の数の減少や環境破壊が進んでいるのは、この日本でも同じ事。子供達には、こうした動物園のみならず、もっと身近な自然環境の中を歩かせる事で、自然の美しさや、心地よさをもっと体感させる事から始めなければならないのではないかとも感じました。そうすれば、おのずとそれらの自然の尊さを実感し、付き合い方を考える力が付くと同時に、動物園という特殊な環境の有り難さも改めて感じられるのではないかと思いました。






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