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■ 2014年に見た映画 その3 邦画 例年のように2014年(及び年明け)において、新旧を問わずに見た映画の感想を纏めてUPしたいと思います。(順不同・ネタバレ一部ありです。) この記事はその2の続きです。 ■ 金閣寺 実際に起きた金閣寺の放火事件を元に、三島由紀夫が書いた小説を映画化したものです。 世の中によって定められた価値観に疑問を抱き、それを否定したい感情を抱きながら、その価値観の縛りから抜け出す事のできない自分。美しいものに憧れながら、それをまともな形では手に入れた事がない事に対するフラストレーション。自らのコンプレックスに悩み続けた主人公は、自分自身の感情をコントロールしきれず、目の前に存在する「理想の美」を破壊してしまいたいという感情に駆られたという事なのでしょうか。 恋焦がれていた女性が、他人の妻になるくらいなら、いっそ殺して自分も死んでしまいたい・・・そんな感情に近いものがあったという事なのでしょうかねえ・・・。丁寧に作られている作品だと思いましたが、上映時間が非常に長い分、途中から見るのが疲れてきてしまいました。 ■ 犬神家の一族 角川映画の第一弾作品ですね。TVでも何度か放映されていましたが、見る機会をつくれていませんでした。 いやあ、初期の角川映画は気合が入ってますね。既存の映画界に、他業種である出版会から打って出るという事で、相当力が入ってたのでしょうね。以前拝見した「復活の日」もそうですが、作品の重厚感が凄かったです。 十分に練ったシナリオ、丁寧な編集、俳優陣の力のこもった演技は、今見ても十分鑑賞に堪える作品だったと思います。(まあ、若き日のあおい輝彦の演技だけは、ちょっと浮いていたようにおもいましたが) というか、これだけお金と労力を掛けた映画は、今の邦画界だと作れないくらいかもしれませんね。(実際、角川映画も気合が入ってたのは、初期の数作品だけかもしれませんけどね・・・。) それにしても、スケキヨの白いマスクと、湖から突き出した足の映像は不気味でした・・・(^^; ■ 幸せの黄色いハンカチ 昭和の大スター、高倉健氏が亡くなりましたね。正直なところ、私は高倉氏の映画をそんなに見た事がありません。南極物語・ブラックレイン・あなたへ・くらいしか見た事がなかったわけです。寧ろ、NHKの番組:プロフェッショナルなどでの特集を通じて、その人柄の一端を垣間見る事により、映画界における影響度の大きさを感じる事が多かったくらいでして。そこで、追悼番組として本作が放映されていたので、拝見する事にしました。 時代を感じさせる作品でした。正直言って古臭さを感じる映像でしたし、主人公と共に旅をする事となる若い男女(桃井・武田)の個性が強すぎて、ちょっと鬱陶しく感じてしまう部分も多かったように思います。しかし、あの2人が居たからこそ、頑なになってしまっていた主人公の心が、次第に動かされてゆくわけですよね・・・。公開当時、人々に大いに受け入れられたのも判るような気がしました。 それこそ、高倉氏にとっても、この作品は大きな意味を持つ作品となったのでそうね。ヤクザ映画からの脱却を図りたくとも、今まで築き上げてきたイメージも守らねばならず、どのような方向性の映画に出演してゆくべきなのか模索していた時に、このような当たり作に出会えたのは、幸運だったのではないかと思います。 とはいえ世間からは、そうした硬派な男としてのイメージが終始ついてまわる事となり、悩ましいというか、窮屈だと感じる部分もあったのではなかろうかと想像します。しかし、私生活においてもそうしたパブリックメージを守りぬいて生きてきたというのは凄い事だと改めて感じました。 ■ 船を編む インターネットやデジタルメディアが普及し、書籍の発行部数が大幅に減少する現代において、敢えて新しい辞典を編集・出版しようとする人々の人間模様を描いた作品です。 辞書を作る人々を題材にするという着目点が面白いと思ったので、結構期待して見たのですが、私にはイマイチでした。いや、辞書を作る様子はそれなりに面白いとは思いました。(でも、そうした様子は、NHKのドキュメンタリー番組で拝見した事があったので、特に目新しさは感じませんでした。しかし、同時並行的に進められる、主人公と恋人(後に妻となる人)との恋愛模様の描き方が、どうも物足りなかったというか・・・。 それこそ、その2人が互いに興味を抱くようになる切欠などが十分に描ききれてないまま、いきなり相思相愛の関係になってしまったように感じられたといいますか・・・。そしてその後も、大して恋愛模様が描かれぬまま、あっという間に結婚してしまったわけでして・・・。そのため、2人の信頼関係というか、夫婦愛というものが、実感として感じられぬまま、あっさりと物語が進み、そのまま終わってしまった感じだったのです。そのため、どこでどう盛り上がってよいのか、どう感情移入したらよいのか、さっぱり判りませんでした。 ■ テルマエロマエ テルマエⅡが公開される時期に、Ⅰが地上波で放送されたので、その際に拝見しました。 この映画は素直に面白い作品だと感じました。荒唐無稽、いかにも漫画チックな話なのですが、それを面白おかしく、真面目に作っている点が好印象でした。シナリオのまとまり方もいいし、キャスティングもいい。演出も作風に合っていると感じました。そんなに多額の制作費がかかっている映画ではないと思いますが、エンターテイメント作品として、これだけ素直に楽しめた邦画は久しぶりだったように思います。流石は公開時にいたるところで話題になっただけの事はありますね。 そういえば、原作者に対する作品使用料が異常に低い契約となっていたという噂もあり、そちらの方でも話題になっていたような・・・。Ⅱではそういう問題が生じる事なく、制作されたのでしょうかねえ?何れにせよ、そのⅡの方も拝見してみたいと思いました。 ■ Shall we ダンス? 有名な作品ですが、今まで未見でした。地上波の深夜枠でやっていたので拝見する事に。 美しい講師にあこがれたり、フラストレーションの解消目的だったりと、様々な想いを抱いて社交ダンスに興じる人達の姿が、時に哀しく、面白おかしく描かれてていた作品でした。この映画もよく出来てますね。多くの観客の心を捉えたのも頷けます。しかも、世界中で評価されたというのは、嬉しい話ですね。 ■ 地雷を踏んだらサヨウナラ 日本人の戦場カメラマンである一ノ瀬泰造が残した書簡などをまとめた書籍をもとに作られた映画です。この作品は、ISILによる2人の日本人の拘束事件が発生した際、ネット上の話題の一つとして取り上げられていたのを拝見したので、見てみる事にしました。 どのようなコメントを書くべきなのか、書いていいものなのか、非常に悩ましい作品だと感じました。それというのも、この映画におけるノ瀬泰造氏の行動は、軽率かつリスキーなものが多く、結果として死に至ったのは当然の結果と言えるのではないかと感じたからです。 しかも、彼の動機は、現地の悲劇を伝えたり、戦争のむなしさを世の中に伝えたいという思いが一番にあるというよりも、ロバート・キャパなどに代表されるような名声を得たい思いの方が強かったのではないか?とすら感じる描写もあり、その行動を支持する事は難しいと感じる事が多々見受けられたわけで・・・。現地の住民に対するコミュニケーション能力は高いものがあり、人々に愛されていたのは良い事だと思うのですが、カメラマンとしての行動に関してはどうだったのだろう・・・と思ったわけです。 にも関わらず、例のISILの事件の際、「現代の日本において、戦場カメラマンなんて言える存在は殆ど居ない。TV番組で何度も見かける自称戦場カメラマンなんて、本当に危険な場所に取材に行った事などない。「一ノ瀬泰造」の方が凄いぞ。」などという風評が、一部のネット掲示板に流れていたんですよね。私はそうした掲示板の書き込みに対して疑問を感じずにはいられませんでした。 そういえば、TVでよく見かける自称戦場カメラマンの方に対して、色々な批判があるのを目にしますね。私のような素人でも、彼に対しては疑問を感じる事が多々あります。でも、「危険な場所に積極的に行って、写真を収める」事が偉いのでしょうか?それが評価に繋がるのでしょうか?戦場カメラマンとはいえ、生きて帰ってきてナンボなのではないでしょうか?それこそ、現地に対する事前リサーチを十分に行うのは当然であり、危険であれば行かない事を選択するのも、仕事のうちだと思います。 そうした戦場カメラマンは、捕虜になったり、殺されるのは自己責任と考えている人もいるかもしれません。しかし、国の立場、外務省の立場からすると、彼らの行動を自己責任として無視するわけにはいかないわけですよね。それこそ、今回のISILの事件のように、巨額の身代金を要求され、国家として脅されるケースも出るでしょう。仮に自衛隊の特殊部隊を派遣する事が可能だとしても、その作戦を行う事で、テロの拡大や、戦争などへの拡大に繋がる可能性もあります。それこそ、自衛隊員の命だって危険に晒すわけです。彼らにも家族はいるわけですよね?つまり、自己責任であると承知してるといったところで、彼らは国や国民に対して負わせてしまうリスクに対し責任などとれるわけがないのです。 それどころか、フジTVにおける報道番組で、報道関係者であるある人物が、「取材中にテロリストに拘束された場合、国が責任を持って救出にあたるのは当然の事」といったニュアンスの事を語っていたのを拝見した事もあります。外務省が危険だから入国しないで欲しいと依頼しているにも関わらず、勝手に取材行為を行い、危険に陥ったら助けて欲しいというのは可笑しな話だと思うわけです。 無論、私は取材行為を行うなというわけではありません。そこには一定の自由や権利もあるのは理解しているつもりです。また、彼らの行動によって戦争やテロの惨劇が伝えられる事により、世間の関心が現地に向けられる事は意味があると思います。しかし、「自己責任」ではすまない相手・状況があるのも事実だと思うわけです。その事を理解して、状況に即した行動をとるのも、プロのカメラマンの責任として求められているのではないか?と、一連の事件とマスコミの対応など見ていて感じました。 記事はその4へ続きます。 |

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