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■ 2013年上半期に見た映画 その1 実話ベースもの・SF・ファンタジー




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去年程のペースではないのですが、今年に入ってからも色々な映画を鑑賞しています。そこで、感想を上半期分として纏めて書く事にしました。(去年分を一気に書いた時にかなり疲れたので、半期で纏めてみよと思ったわけです。ちなみに順不同・一部ネタバレありです。)



■ アルゴ

若い頃はゴシップネタばかりが目立っていたベン・アフレックによる監督・主演作品との事だったので少々心配しながら見たのですが、良い意味で期待を裏切られた作品でした。このような救出劇が、実際に起きた事だったなんて凄いですよね。

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このような救出作戦の遂行を思いついただけでなく、実際にGOサインが出た事に驚かされます。出来る限り穏便に事を済ますためとはいえ、今まで事務仕事しかしてこなかったような人間が、素性を隠し、別の人物に成り代わる必要があるわけですから、非常にリスクが高い作戦であったと思います。それこそ、誰かがパニックに陥り、少しでもバレたら全員の命の保障は無かったわけですからねえ・・・。よくぞ、無事にやり遂げる事が出来たものです。

それ故、銃撃戦等のシーンなど無いにも関わらず、非常に高い緊張感を味わう事が出来る作品となっていました。また、シリアスな話でありながら、エンターテイメント作品としても楽しめるようになっていたのは編集や演出の上手さによる部分もあるのかもしれませんね。。(まあ、それもこれもハッピーエンドで終われたからなんですけどね。)



■ ゼロ・ダーク・サーティ

こちらも実話ベースの映画だそうで。この映画も非常に高い緊張感が漂う作品でした。しかし、上記のアルゴとは異なり、非常に悪い後味を感じる作品であったと思います。

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それこそ、話の核となる部分・・・「ビンラディン容疑者の隠れ家」と思しき屋敷を探り当て、作戦遂行に至った「根拠」が映画で描かれた通りであるならば、それは結構怖い話だと感じました。それは「推測」の域を脱していなかったように感じられたからです。確かに作戦を遂行した建物は、容疑者が潜んでいる可能性が高いものがあったと思います。しかし、「確証」といえるレベルには至っていなかったのではないでしょうか。

仮に、その推測が外れていたらどうなったのでしょうか・・・。事と次第によっては、別の国際問題に発展してしまいかねなかったのではないでしょうか。別の見方をすると、そこまでリスクが高い行動をとらざるを得ない程、大国であるアメリカが追い詰められていたという事なのかもしれませんが・・・。結果としてビンラディン容疑者を射殺するに至ったとはいえ、この戦いに勝者は存在していないのかもしれませんね。

また、この映画が世に出る事で、主人公と目される人物の命が狙われてしまわないか心配になったりしました。ひょっとして、アメリカにおいては、映画が上映される以前から、主人公の女性の存在は公になっていたのでしょうか?もしくは、キーマンたる人物が”1人の若い女性”であったという設定そのものが、本当のキーマンの実情を隠すためのカモフラージュだったりするのでしょうか?(寧ろそうであって欲しいとすら感じました。)



■ MIB3

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私は結構MIBシリーズが好きです。エンターテイメント作品として深く考えずに見れるだけでなく、トミー・リー・ジョーンズ演じる”K”の渋いキャラが非常に魅力的だと感じるからです。そんなワケで、シリーズ3作目も見てみる事にしました。

正直なところ、途中まで見た時点で、”タイムスリップを話に盛り込んだ事により、少々話を広げすぎてしまったのではないか?”と感じました。ストーリーの展開上、作品の大半でトミー・リー・ジョーンズが演じる現代の”K”が登場しないので、どうも何時もの雰囲気が無いというか、MIBらしさを感じにくいというか・・・。でもまあ、最後のシーンにおいて、現代においてKとJの2人がコンビを組むに至る由縁と言える出来事も盛り込まれていたので、こうした話の展開もアリかも・・・と受け入れる事が出来ました。



■ テッド

予想していたよりも面白い話でした。笑いあり、涙あり、感動ありで、私は常にニタニタしながら楽しく拝見する事が出来ました。現代劇でありながら、実写映像とCGによるクマの”テッド”との映像の融合も素晴らしく、その存在感や演技に違和感が無いのも凄いと思いました。

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とはいえ、決して誰に対してもオススメ出来る作品とは言えないかもしれません。なにせ18禁トークが作品全編で展開されるわけですからねえ・・・(^^; (しかも、一部はかなり下品。) 一緒に見るのも野郎同士、女の子同士とかなら問題ないかもしれませんが、そちら方面のユーモアを共有しにくいタイプの異性と見る時は一考が必要かもしれませんね。というか、親子では絶対に見れない作品と言えるのかもしれません。でも、私はひとりで見たので、存分に素直に楽しむ事が出来ましたw (それにしても、フラッシュゴードン役だった方の現在の様子には、色々と考えさせられてしまいました。)



■ ホビット 思いがけない冒険

私はドラクエ・ファイナルファンタジー等が世に出る以前からファンタジー小説やRPG等にはまっていたタイプの人間です。そのため、早くからJ.R.トールキン原作の「指輪物語」シリーズの存在を耳にしてきました。しかし、当時「指輪」を出版していた会社は非常に小さかったせいか、私の住む町の本屋でその姿を見掛ける事はできませんでした。数年後にようやく本を見つけても、値段はちょっと高いだけでなく、独特の文章が読み辛い事が災いし、このシリーズは途中で投げ出してしまいました(^^;

しかも、日本オリジナルのファンタジー作品・ゲーム類が流行するにつれ、日本独自の軟弱でヲタクな世界に違和感を感じるようになり、ファンタジー全般に対する興味を急激に失ってしまいました。そのせいか、近年になってから折角「指輪物語」3部作が映画化された時も、追いかけて見るような事がありませんでした。(1はTVで途切れ途切れ。2・3は未だに未見。)そのため、トールキン原作作品の映画を最初から最後まで見たのは今回が初めての体験でした。

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前述したように、私はファンタジー類の世界からしばらく離れていたので、ちゃんと作品を受け入れられるのか少々心配でした。しかしながら、凄く素直な気持ちで作品の世界に入り込む事が出来ました。それこそ、子供の頃に憧れたファンタジーは、このように美しく、重厚でありながら、ワクワクするような世界であったのだと改めて感じる事が出来たわけです。(このワクワク感は、暗い雰囲気の強い指輪物語の本編ではなく、”ホビットの冒険”だからあり得たものかもしれませんけどね。)

それを可能にしたのは、高度なCG技術によるところが大きいのは言うまでもありませんが、いい作品を作ろう、本物とよべる物を作ろうという製作陣の強い思い入れがあってこそなのでしょうね。とはいえ、ちょっと演出が過度というか、派手になりすぎてリアリティが欠けてしまいかねないように感じた部分も無かったわけではありませんけどね。(後半の洞窟内の逃走シーンは、あまりにジェットコースター的でちょっと・・・って感じがしてしまいました。)

私も随分オッサンになってきているので、子供の頃のようにはまる事は無いでしょうが、いずれ時間を作って、本編である指輪3部作もちゃんと見てみようと思いました。ちなみに、本作におけるドワーフ達の姿は凄くカッコよかったです。



■ オブリビオン


トム・クルーズが来日した際、2日に及”徹子の部屋”への出演をこなすなどして、精力的にプロモーションを行ったようですね。それが理由というわけではありませんが、本作品を拝見してみました。

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結構、オーソドックスな作りのSF作品でした。無論、CGは綺麗です。登場するメカ類のデザインも洗練されています。お約束的な戦闘シーンもあったりしますが、あまり派手な印象はありません。シナリオの展開も複雑なものではなく、結構最初の段階から先が読めるものだったと思います。では、私はそうした傾向の作品が嫌なのかというと、必ずしもそうではありません。私は心に響くストーリーがあれば、寧ろそうした静かな演出を好む傾向があるからです。しかし、この映画に関しては、そのストーリーや舞台設定に色々と疑問が残る部分があったんですよね・・・。

結局テットは宇宙人が作ったものなのか、人類が作ったものかよく判りませんでした。そして、テットが主人公の複製を大量に製造し、ドローンのメンテナンスに利用する理由も判りませんでした。あれだけ高度な科学技術があるのならば、機械だけでメンテナンス出来る運用方法を最初から計画・実行しているのが当然なのでは。それに、物語の展開上で、ドローンがジュリアを連れて来くるように要求した理由もよく判らないわけで。

それに物語のラストシーンで、子供と2人でひっそりと暮らす事となったジュリアは、目の前に現われた52号を”ジャック”としてすんなり受け入れてしまえるものなのでしょうか?それに52号の側も、49号の代わりとしてすんなりと自分の運命を受け入れられるものなのでしょうか。

それに地上には他にも大量のジャックが存在し得るのではないでしょうか?もしもそれらと出会う事があったら、どうするのでしょう・・・?(他のジャックはあの場所は知らないから大丈夫・・・って事かもしれないけど、テッドが破壊された事で、今後の任務遂行に疑問を持った者が、テリトリーを離れて探索などを起こし始めても可笑しくないわけで・・・。まあ、彼らにはそれぞれのパートナーが存在するからいいのかなぁ・・・?)など、色々と疑問になる部分も多い作品だったわけです。作品全体に流れる雰囲気は嫌いじゃなかったんですけどねえ・・・。






ANOTHER EARTH



■ ANOTHER EARTH / アナザーアース(邦題:アナザープラネット)



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久々に映画のレビュー記事を。(この作品、既に昨年の初頭の時点で見ていたのですが、なんとか単体で記事にしたいと思っていたら、後回しになってしまってて・・・。それこそ1月に大量の映画レビューの記事を書いたりしたのは、早くこの映画の事を取り上げたかったからだったりします。)

この映画、海外では一定の評価を得ているものの、日本国内では殆ど知られていないSF作品です。(国内劇場未公開。DVD/B-Rayは発売中)また、作品に対する評価も割れています。というのも、観る者によって様々な解釈が出来る作品だからです。(でも、私にとっては、ここ数年間で見た作品の中で、トップランクに入る作品だと感じました。)

そのため、可能なら全く予備知識を入れず、レンタルDVDなどのパッケージ裏の解説すら読まず、まっさらな状態のまま楽しんでもらいたい作品です。それこそ、普段SF映画などを見ないような人や、タルコフスキーのソラリスのようなSF作品が好きな人には受け入れてもらえる作品ではないかと思います。(ソラリス同様、何故原題と異なる邦題を付けるのか判りませんね(^^;)



■ 感想

以下ネタバレアリの感想となります。(未見の方はご注意を!)

ご覧になった方なら判られると思いますが、この映画はサイエンスフィクションとしてのリアリティを追求した作品ではありませんでした。SFという形式を舞台設定として利用した魂の再生の物語だったわけです。

希望に満ちた未来を自らの行為で失い、自らの人生に絶望した一人の若き女性。彼女は自信を失い、全てに対して臆病になり、自らの存在すら消してしまいたいと感じていた。そんな彼女が起こした行動は、罪に対する贖罪と自らの人生のリセットだった。不器用ながらも献身的な振る舞いを見せる事で、その努力は報われ、ゆるやかに邂逅へと向かってゆく。しかし真実を晒す事が出来ない彼女は独り苦悩する事となる・・・。

私はそうした主人公の心理描写の巧みさに引き込まれました。でもこの映画は、それだけの話としては終わらないんですよね・・・。それこそ、”別なる可能性があるかもしれない場所”として、アース2なる存在が出てくるわけで。まあ、そこらへんがSF作品らしさでもあるんですけどね。

でも、仮にアース2なる別世界があったとしても、”向こうの世界に住む自分”からすれば、”こちらの世界こそアース2であり、そこに住む私”こそ、”もうひとりの(可能性としての)自分”とか、と見られてもおかしくはないとも思ったり。(ラストシーンで出会った”もう一人の存在”は、そうしたもう一つの可能性の象徴”であるわけすよね。)

でも私はそうしたSF的な解釈云々や、別の世界での可能性云々を問う前に、”この世界における主人公は、あくまでも自分である”という事に目を向けたいと感じました。

別の人生・生まれ変わり・誰も居ない逃避先・アナザーチャンスそうしたモノは、どれだけ望んでも本来は向こうからはやって来ない。結局この世界に生きているのは自分であり、別世界にコピーが居るわけでもなく、別世界のコピーでもない。自らの人生をやり直したいなら、自ら行動を起こすしかないという事なわけで・・・・。

それは苦しく、辛く、悲しい道でしかないのかもしれない。その結果は、過去の自分が望んだ姿ではないかもしれない・・・。自らの選択によって、より苦しい立場に追いやられてしまうかもしれない。しかし、行動を起こさねば絶望を感じている今の自分からは変わる事は出来ない。いや、行動を起こせば変われる可能性は十分にある・・・。そう、可能性とは世界で語るもべきものではなく、自らの中に存在するはずのものだと思うわけです。(というか、私自身そのように信じたいわけで。)

結果、この世界におけるローダは自らの道を自ら選択する事によって魂が救われたと言えるのではないでしょうか。そこには誰のものでもない、彼女だけの人生がそこに存在するわけです。それが、良いとか悪いとかでは簡単に語る事などできない、「たった一つの人生を生きる」という事なのではないか・・・?と感じさせられた作品でした。私はこの映画がとても気に入りました。








■ 2012年に見た映画 (主に旧作) その6 ドキュメンタリー・実話モノ系



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この記事はその5からの続きです。



■ ジョン・レノン、ニューヨーク


ビートルズ解散後、NYを中心として音楽活動を行ったジョン・レノン。妻であるヨーコ、共演者、関係者等の証言を添えて、彼の軌跡を振り返るというものでした。

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今まで、ジョンやヨーコに関する本や資料を幾つか眼にしてきた私でしたが、初めて知った事、改めて本人が口にする事で、改めて再認識した事なども多く、なかなか見ごたえがありました。特にヨーコ自らが、彼との長期別居理由を語るシーンは、見ているこちらが辛くなるものがありました。

ちなみに本作は、良くも悪くも政治的なメッセージ運動の部分がクローズアップされており、その分ライブシーンを含む音楽そのものの話題は比重が少ないものとなっています。それ故、本作だけで彼の事や、ヨーコの事を理解出来るものだと思いませんが、決して悪くないドキュメンタリーであったと思います。



■ 英国王のスピーチ

吃音(言葉を滑らかに発する事が出来ない症状)に悩まされたイギリス王ジョージ6世と、その治療に奔走した語学治療師との友情を描いたヒューマンドラマ。異国の事とはいえ、そんなに古い話でもないんですよね。しかしながら、本作の存在を知るまで、そのような史実があったという事を全く知りませんでした。

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身分も立場も全く異なる2人が、時に苦悩し、時に衝突しながらも互いを理解し、歩みより、友情を深めてゆく様は、ドラマとして素晴らしいものがあったと思います。しかしながら、後にwikipediaなどでジョージ6世の事を調べたところ、彼は早死にしてしまったのだとか。自らの力ではどうする事も出来ないその血筋と、降りかかってきた運命の悪戯に最後まで苦悩した人生だったのかもしれませんね・・・。



■ テンプル・グランディン

この映画も実話モノ。ネタバレしたくないので、細かい事は書きませんが、本当に良い映画です。出来るだけ多くの方に、予備知識無しに見ていただきたい映画です。途中、見ているのが辛くなる展開があるかもしれませんが、最後には、本当に見て良かったと思っていただける作品だと思います。

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実は彼女はかなりの有名人。TVの「アンビリーバボー」のような海外の話題を紹介する番組で何度か取り上げられた事もあり、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。と言っても、それでは何がなんだか・・・という方もいらっしゃると思うので、ちょっとだけ内容を記したいと思います。

これは、自閉症の女性の数奇な人生を追った物語なのです。自閉症とは、自分の関心事に関しては、物凄い集中力や記憶力を発しながらも、他人とのコミュニケーションをとるのがあまり上手くないタイプの人の事。まあ、あまり他人に興味が無いという事ですね。多少であれば、そうした部分は誰にでもあるものなのでしょうが、それが極端に顕在化してしまっているわけです。

そうした症例が社会的に認知されていない時代に育った彼女は、幼い頃に辛い思いをしながら成長します。でも、その特異な性格が、ある時から物凄い能力として開花してゆき、彼女の人生は大きく変貌を遂げてゆくという話なのです。

ラストシーンで、私は思わず泣いてしまいました。個人的には超オススメです。

注)残念な事に、現在のところ国内版DVDは未発売だそうです。



■ 炎のランナー

有名な映画ですよね。この映画も実話がベースとなっているんですよね。高校生の頃、地上波でやっていたのをビデオで撮り、何度も見返した記憶があります。昨年はオリンピックイヤーだっただけでなく、本作ど同様にイギリスで開催されていた事もあり、久しぶりに見直してみました。

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久しぶりに見ると、”あれ、こんな展開あったっけ?”とか、”あのシーンで感動してたのに、今回は・・・”ってな事もあったりもしました。やっぱり、記憶ってあやふやなものですね(^^; とはいえ、ヴァンゲリスの音楽と共に走る例のシーンを見ていると、やっぱり胸が熱くなってしまいましたw



■ 遠い空の向こうに

この映画も実話モノ。炭鉱の街に生きる若者達が、自らの手で設計・製作した小型ロケットを打ち上げる事で、夢を切りひらいてゆく様を描いヒューマンドラマです。無論、それは一筋縄ではいかず、様々なトラブルに見舞われるわけですが、それを克服してゆく様子が丁寧に描かれています。

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彼らは凄いですね。”将来に希望を持てない街から抜け出したい、自分の人生をそこで終わらせたくない、自分の可能性を信じたい。” そうした思いがあるからとはいえ、あれだけの事を行える行動力は流石というか、素晴らしいものがあると感じました。本作も、誰にでもオススメ出来る良作だと思います。



■ ミシマ ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ


これは三島由紀夫の人生と、彼の文学作品を綯交ぜにしながら映像化した作品です。作品全体を4つの章立てにして、伝記的な要素と、芸術的な世界が交互に映し出されます。主演は、緒形拳。脇を固める俳優人も実力派ぞろい。皆さん、素晴らしい演技をしている作品です。

そのような作品に対し、私としては映画の背景を担う舞台美術の素晴らしさと、映像としての編集力の高さを最も評価したかったりします。それこそ、”日本の伝統的風景”の精神性を十分理解しつつ、ここまで抽象的かつスタイリッシュなデザインとして再構築し、表現出来るものなのかと驚嘆したくらいでした。そう、まるで現代アートのインタレーションの世界。それも、単に大掛かりなだけでなく、ずば抜けて高度で洗練されたものであると感じたのです。

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以前から私は、美術館や、アート系イベントなどで展開されるインスタレーションアートは、映画、ドラマなどの舞台美術に非常に近しいものがあると思っていましたが、本作の舞台美術は正にそれを象徴するかのようなものでした。というか、ショボイ現代アーティストのインスタレーションなど、本作の美術の前では手も足も出ないくらいだと感じる程。それほど見事な世界観を構築していたと思います。

この舞台美術を手掛けたのは、石岡瑛子。(ミュージカル・スパイダーマンの衣装デザインを手掛けた事で、NHKプロフェッショナルの流儀でも取り上げられていた方です。)決して、舞台美術が本職で無かった方が、これほどのセンスを持ち合わせていた事に感嘆してしまいました。(石岡さんは、昨年お亡くなりになってしまわれたそうですね。お悔やみ申し上げます。)

見るべきものは、それだけではありません。演出・編集のセンスがまた素晴らしいのです。ところが本作は、日本人によって撮られた映画ではないのです。実は、三島文学に強く惹かれたポール・シュレイダー監督によって撮られたワーナーの作品なのです。それどころか、日本では劇場未公開だったりするのです。

何やら色々と圧力があったり、ゲイ的な表現に関して、親族の方から国内での公開反対の意見がある模様。(とはいえ、現状においては、海外版が輸入されていたり、三島関連の本に未承認のDVDが付録として付いているそうで、その気になれば見る事が可能です。)

色々な諸事情があるのかもしれませんが、本作は決して右翼寄りの作品でもなければ、三島本人を辱めるような作品ではなかったと思います。寧ろ、世界から高く評価を受ける「三島文学」というものは、海外ファンの眼からすると、このように見てもらえているのだと判る、素晴らしい芸術作品だと思いました。



■ 127時間

本作は、登山家のアーロン・ラルストンの遭難劇を映像化した実話ベースの作品です。この話も、「アンビリーバボー」等のTV番組で何度か取り上げられた事があるのでご存知の方も多いのでは。

私も映画を見る前に、そうした番組をちょろっと見た記憶があります。とはいえ、別の事をしながらの流し見だったので、細部の事は理解していませんでした。そこで、映画化されたとの事だったので、見てみることに・・・。ちなみに本作は、かなりショッキングなシーンが出てくるので、小さなお子さんは見ない方がいいかもしれません。

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いやあ、壮絶な内容でしたね・・・。よくぞ生き延びたといいますか、よくぞ例の決断を下し、それを実行に移せたといいますか・・・。とは言え、例のシーンは本当に見るに耐えませんでした。下手なホラーよりも眼を開けていられない光景だったと思います。

ある意味、彼はその忍耐力、生存に対するテクニック、そして決断力からして、究極のサバイバーと言えるのかもしれません。そうした意味では、驚嘆に値するものがあると思います。でも、そのシチュエーションに陥ったのは、自らのミスによるわけで・・・。気の毒ではありますが、自業自得と言わざるを得ない部分もあるかもしれませんね。

作品の最後に本人が登場し、「以降は、行き先を必ず記して出かけるようになった」とありましたが、本作を通じて本当にそうした事は重要なのだという事を、改めて思い知らされました。



■ アイガー北壁

ヨーロッパ・アルプスにある前人未到の難所・アイガー北壁に挑んだ若者達に訪れた過酷な運命を描いた作品です。本作も実話がベースです。(しかし、完全なノンフィクションとはいいきれない作品かもしれません。その理由は、映画を見ていただければわかると思います・・・。)

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もうね、この作品も壮絶なわけですよ。言葉に表しきれないくらい悲惨な状況なのです。様々な箇所で下した判断が、後々になって仇となる様子は見ていて堪りませんでした。

彼らは自信過剰だったのでしょうか。競争に勝とうとする欲が強すぎたのでしょうか。細心の注意が足りなかったのでしょうか。気象条件などに関して、あまりに不運だったのでしょうか。おそらくは、その全てという事になってしまうのかもしれませんが、その代償はあまりに大きなものだったと思いました。ホント、ラストのシーンは見ていられませんでした。



■ ヒマラヤ 運命の山 - ナンガ・パルバット


本作も実話ベースの作品。

”登山界の生ける伝説「ラインホルト・メスナー」。現代において誰しもが認める数々の偉業を成し遂げて来た彼ではあるものの、その登山人生において悲惨な体験が無かったわけではなかった。それは、実の弟ギュンターと共に、魔の山「ナンガ・パルバット」を攻めた際に起きた遭難事故である。”というものです・・・。

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この作品も非常に重い作品です。筆舌に尽くしがたい過酷な世界が描かれています。あのような極限状態において、よくぞ彼は生還出来たものだと思います。しかし、そのために払わなければならなかった代償はあまりにも大きなものでしたね。

それは彼の人生観、そして人間性に対し、今尚重く圧し掛かるものだと思います。それでもなお、後の人生においてもクライミングを止める事が出来なかった彼は、どうしようも無い程に生粋のクライマーであったのかもしれませんね。また、再び山に入る事で、この時の出来事を幾度も幾度も思い返し、この出来事に対する弟への謝罪と、彼の無念を少しでも晴らす事が出来ないものかと、切に願っていたのかもしれませんね。

(ちなみに、映像は、アイガー北壁よりもリアリティが高い作品だったと思います。)



■ 狩人と犬 - 最後の旅


カナダ・ロッキー山脈で生活する最後のトラッパー(罠猟師)である、ノーマン・ウインターが本人役で出演するネイチャー系のドキュメンタリー・タッチのドラマ。

”空気が澄み、美しい自然に抱かれ、静かに時が流れる世界。人よりも動物の数の方が多く、今尚豊かな恵みに溢れている世界。数年前までは、そうした楽園であったかの地においても、人の経済活動による森林伐採が進みだし、年々動物達の数が減りだしていた・・・。” 美しい自然を背景に、刻々と歩み寄る現実を淡々と紹介する作品でした。

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そこに映し出される映像は、本当に美しく、見ているだけで心が洗われる気持ちになりました。実際にこうした環境の中で生活する事は、想像するよりも過酷なのでしょうが、それでも尚、羨ましいとすら感じてしまいます。ホント、映像を見ているだけで心地良い程なのです。それ故、こうした自然が失われつつある事実に対し、心が痛んでしまう映画でもありました・・・。








■ 2012年に見た映画 (主に旧作) その5 恋愛モノ・ヒューマンドラマ系



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この記事はその4からの続きです。



■ ブルー・バレンタイン


映画「ドライブ」を見て、ライアン・ゴズリングを気に入った私は、この作品も見てみる事にしました。この作品も、映画として実に素晴らしい作品だと思います。非常にリアルな愛憎劇。凄く切なくて、やるせなくて、非常に哀しい映画です。可能であれば、事前情報無しに多くの人に見てもらいたい映画ですが・・・ポスターのイメージを抱いてカップルで見るべき映画ではないかもしれません・・・。

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不器用でありながら、必死で家族を愛そうとする男。男の愛情を理解しつつも常にズレを感じ、此処とは違う場所に思いを馳せてしまう女。出会った頃の純粋な思いは何処へ行ったのか。その頃の思いだけでは、この先を共に生きてはいけないのだろうか・・・。

私の目にはそのように映る作品ですが、これは見る者の立場によって主人公2人に対する評価が様々に分かれる作品だと思います。しかしながら、誰しもが様々な点に共感し、苛立ち、そして涙する。そんな哀しい映画だと思います。



■ エレジー


先日、地上波の深夜枠で放送されていたので見てみました。以下ネタバレを多少含んで書きます。

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既に社会的に高い地位を得て、過去に離婚暦がありながらも、若い女性とのセックスを求める老人。その男の思惑を理解しつつも、年齢に捕われる事なく愛として受け入れようとする若い女性。そんな2人の関係は、恋愛という名のゲームだったのか。一時期の欲望を埋めるための間柄だったのか。それとも、飾る事の無い本当の姿を見せ合った、本当の愛だったのか。老いという避けられぬ現実と、もう一つの避けられない出来事が切欠で2人の関係は・・・。といった内容でした。

それにしてもペネロペ・クルスって芸術のためには厭わないのかもしれませんが・・・よく脱ぎますね(^^; まあ、容姿だけでなく、スタイルも抜群であるので自信があるのかもしれませんが。でも、撮り方によるものかもしれませんが、そんなにエロティックというわけでもなかったような。って、それを目当てに見たわけではないですよ。(念のため。)

作品そのものとしての感想は・・・私としては非常に微妙でした。シナリオは結構丁寧に書かれたものだと思いますし、テーマは決して悪くないと思うのですが・・・ちょっと淡々とし過ぎだったかもしれません。これは個人の倫理観だけでなく、見る時の年齢的な時期によって、評価が変化しやすい作品かもしれませんね。



■ マイ・ブルー・ベリー・ナイツ

この映画は、ポスターに採用されているキスシーンのために存在しているような作品ですね。雰囲気のある映画だとは思います。恋に焦がれる若い女の子が好きそうですよね。

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って言っても、ベタに薔薇色の恋模様を描いているわけではないんですけどね。寧ろ主人公が旅先で出会う人達は、色々な現実を抱えている人が多いくらいで。というか、その人達があまりにも「ドラマチックな人生」を送りすぎていて、全然リアルに見えないくらいなんですけどね・・・(^^;でもまあ、なんというか、こういう恋愛モノもあっていいんじゃないかと思います。



■ 幸せのレシピ

ドイツ映画「マーサの幸せのレシピ」のUSリメイク版。(オリジナルは未見です。)この映画を見たのは、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ見たさというわけではありません。あ、ゴメンナサイ嘘を付きましたw でも、それが最優先の理由ではなかったのです。

実は、この映画の挿入歌リズ・フェアの「Count on my love」が以前から好きだったので、どんな風に劇中で使われているのか知りたくて興味を持ったのです。(別にリズの特別なファンというわけでありません。この曲はNHK教育の英会話番組のオープニングに流れていた切欠で知り、以降お気に入りの一つになっていたのです。このアップテンポの曲調と、元気を貰えるような歌詞の内容が好きなのですよ。)

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さて、映画そのものはというと、結構ベタな展開でしたね。それに、歌の内容と映画の内容は、男女の立場が逆のようにも感じなかったわけではないのですが・・・。でも、こういう映画は悪くないというか、結構好きだったりするかもしれません。あ、ぜタ・ジョーンズは可愛かったですよ。



■ やわらかい手


この映画はいい映画です。各種の映画レビューで結構紹介されていたのでご存知の方も多いのではないでしょうか。でも、どのようにコメントしていいかちょっと迷う内容だったりします。ネタバレ無しに話すのは難しいのと、本編の内容そのものが、ちょっと18禁の世界だったりするからです。

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ここから多少のネタバレを含んだ上で書きますが・・・。この映画は、孫の病気を治すための手術費用を工面するために、風俗の世界で働く事を選んだ中年女性の物語なのです。それは身体を売るのではなく、顔を見せない状況で手だけで男性を慰める・・・というもの。無論、それでも彼女は苦渋の思いで働くのです。ところが不思議なもので、そのテクニックが評判となり、多くの男性が訪れてしまう・・・というちょっと例の無い物語が展開するのです。

こんな風に書くと、全編桃色のエッチな映画かと思われるかもしれませんが、本作は決してそんなに下品な作品ではありませんでした。とはいえ、決して上品ではありませんけどね(^^; ちなみに、誰しもが孫の親たる若い夫婦(主人公の息子夫婦)の駄目さ加減にイライラしてしまいまうのではないかと思います。

しかし、こんな変わったヒューマンドラマの映画も世の中にあっていいんじゃないか。と思わせる不思議な魅力はあったように思います。(でも、子供は見ちゃいけません。)



■ ベティ・ブルー インテグラル・バージョン

一部の方に高い評価がある映画だそうですね。私はポスター画像に惹かれて、内容を殆ど知らずに見た映画です。


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ファンの方々には申し訳ないのですが、正直な話、最低な映画だったと感じました。もうね、ベティーの自己中心的な振る舞いにイライラして仕方ありませんでした。どれだけキュートで、どれだけ魅惑的であろうとも、あれだけ身勝手で、強いカンシャク持ちではとても一緒に居られません。あれは自由に生きている、本能のままに生きている、というのとは別次元だと思います。最終的には精神に異常をきたしてしまう姿は、本当に見るに耐えませんでした。

そして、主人公の男が彼女と生活を共にし、守り、理解しようとしていたのが、ちょっと理解きれないものがあったほどです。実際、作品中でも彼は彼女に対して何度もキレてましたよね?それでもまた寄りを戻すわけですが、その理由が理解できないといいますか・・・。あれだけの身勝手をされたら、共に生活など出来ないと思っても可笑しな話ではないと思うのですが。それでも彼女と離れられなかったのは、彼もまた一人では居られない弱い存在であり、彼女を必要としていたという事なのでしょうか・・・。

これは、私が男性だからそう思うという話ではないと思います。仮に主人公の男女2人の性が入れ替わったとしても、とても共感出来るものではないと感じました。



■ クラッシュ


これも万人にオススメ出来る作品ではありません。交通事故発生時の生死を彷徨うような瞬間に、エクスタシー(性的興奮)を感じてしまうという異常な感覚を覚えてしまった困った人達が出てくるお話です。

念のために申し上げますが、私はそんな趣味は一切ありませんからねw じゃあ、何故見たのかというと、本当にたまたま見る機会があったというだけの事なのですが・・・。それこそ機会があったならば、ちょいとばかり、そのエキセントリックな世界とはどんなものだろうか・・・?と興味を持ったといいますか。

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さて、内容はというと・・・やっぱり意味不明な映画でした。途中でグロイシーンも出てきますし。うむ〜私にとって特に見る価値はありませんでした。



■ ポンヌフの恋人


ポンヌフの橋で繰り広げられるホームレスと、若き女性の恋の物語・・・。さぞかし、綺麗な純愛ものかとおもいきや・・・物語の舞台となるのが、ホームレスの世界なので、映像としては決して美しいとは言いがたいものがあったかと。では、映像云々ではなく、ストーリーそのものではどうであったかというと・・・これもまた、評価が難しいものであったように思います。

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ある程度、ホームレスのリアルな世界を描く事に重きを置いている部分があるためかもしれませんが、主人公たる若い男の精神性や思考が幼く感じられて仕方ありませんでした。そして、いくら眼が見えなくなる恐怖があったとはいえ、そのような状況に身を置くことを選んだ女性の心理状況もちょっと理解し難いような・・・。(言葉にするのははばかれますが、本当にそのような世界に若い女性が身を置いたら、不特定の男性から襲われても仕方ないくらい危険な行為だと思うんですけどねえ・・・。)

で、ラストに何が待っているのかとおもいきや・・・。結局、この作品は何を伝えたかったのか、私にはよく判りませんでした。それに、見ていてとても疲れました。



■ ロゼッタ


この映画も救いの無い映画です。本当に救いの無い映画です。何もそんな映画ばかり見たいと思っているわけではなく、これも地上波の深夜枠でやっていたのをたまたま見ただけだったのですが・・・本当に救いの無い映画でした。

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その救いの無さは、ある意味「ダンサー・イン・ザ・ダーク」とタメを張る程のレベルのもの。さらに、「ポンヌフの恋人」以上に、貧しい暮らしをしている人々の暗く哀しい現実をリアルに描いている作品だと言えば、なんとなく想像していただけるのでは。

そのくらい救いがなく、暗い映画でした・・・。もうね、それ以外言いようがないのですよ・・・。それでも見たいという人がいても・・・あまりオススメできないです。この作品も、元気が無い時に見ちゃ駄目な映画だと思います。



■ めぐりあう時間たち


複雑に絡み合った時間軸と、その中で生きる様々な女性達を描いたドラマです。二コール・キッドマンが最初から最後まで特殊メイクをして演じた事でも知られてますね。


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その感想はというと・・・キッドマンのためにある映画でした。これだけ絡み合ったストーリーを書くのは大変だったのだろうなあ・・・とは思うものの、その話の内容に全然面白みが感じられなかったのです。

しかしまあ、なんでまた特殊メイクまでして出演する必要があったのでしょうねえ。素のままでは、その役が手に入らなかったのでしょうか?それとも単なる話題作り?何れにせよ、他の役者さんが役を手に入れるチャンスが消えてしまったようにしか思えませんでした。



■ マイライフ・アズ・ア・ドッグ

犬のようなボクの人生・・・との題から、非常に寂しく辛い現実を描いた作品なのではないかと想像しながら見ました。それこそ、ホームレスに近いような生活とか、虐待などのテーマを描いた社会派の作品だったりするのかな?とも想像したりした程です。でも、オープニングからそうではないと知り、良い意味でホッとした作品でした。

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実のところ、確かにちょっとばかり切ない話ではあったんですけど、ある意味アットホームで、子供の頃の純粋な疑問や、友情、そして淡い恋心を丁寧かつユーモラスに描いた作品だったのです。

それこそ、映画のオープニングは、主人公たる少年が、宇宙に打ち上げられた最初の生き物「ライカ犬」の事を哀れむ独白から始まるのですが、その台詞からして秀逸なのです。この映画は多くの方に安心して進められる良作だと思います。



■ リトル・ミス・サンシャイン

地上波の深夜枠で放送されていたので見てみました。

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一部の映画愛好家の間で評価が高いとの事でしたが・・・うむ〜私の肌には合わなかったようです。決して悪くない作品なんですよ。でも、作風がちょっと子供っぽすぎるというか・・・。素朴で純粋な世界かもしれないんですけど、ちょとわざとらしいというか、ストーリーの盛り上げ方があざとい感じといいますか、ちょっとベタな展開になり過ぎていたように思いました。








■ 2012年に見た映画 (主に旧作) その4 戦争・法廷・クライムサスペンス・社会ドラマ系



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この記事はその3からの続きです。
※)1/7夜にブラック・スワンの内容を追加しました。



■ ノーマンズ・ランド


戦地において偶然にも敵の兵士と生死を共にしなければならなくなったという、究極のシチュエーションを描いた戦争批判映画の傑作です。このように書くと、先の記事で紹介した「第五惑星」の状況とちょっとばかり似ているように感じる方もいるかもしれませんが、本作はSFではなく、あくまで地球での話です。というか、作風が非常にシニカルなのが最も大きな違いと言えるのかもしれません。

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もうね、最後のシーンの救いのない事この上ないわけなのですよ・・・。「どれだけ救いたくても、これ以上無理なものは無理。」と言われているかのようで、猛烈な空しさに襲われてしまいます。と言うか、どれだけご立派な理想を掲げていても、実際に問題を目の前に突き出されると何も出来ないのが現実だという感じでしょうか。でも、その空しさを理解出来るのであれば・・・そんな空しさを本当の現実として味わわないためにも、そもそも戦争に至らない方法を考えていかなければならないのでしょうね。



■ ハート・ロッカー


イラクに駐留するアメリカ軍の爆発処理班の兵士を描いた作品です。一歩間違えれば、自らの命が瞬時に無くなる。それだけでなく、味方の兵士の命、近隣の民間人の命をも奪う。自らが罪を犯したわけでもないのに、極度の緊張と重圧を背負いながら、正確にミッションをこなさなければならない。そのきょうな状況では、責任を真っ当する猛烈なプライドや自負が生まれ、アドレナリンが沸騰する事で一種のナチュラルハイのような状態になってしまうのでしょうか?

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本作はあくまで映画としての作品だとは思いますが、主人公のような爆弾処理班に限らず、戦場に長く身を投じている者は、否応なくそのような感覚に襲われ、取り付かれてしまう部分がありそうで怖いですね。



■ グリーン・ゾーン

イラク戦争における大量破壊兵器の所持疑惑を追った作品。あくまで本作はフィクションではあるものの、当事国であるアメリカにおいて、こうした疑惑追及映画を製作した心意気は評価出来る部分があるように思います。そして、こうした映画を受け入れる事をアメリカ国民が持ちえていると言えるのかもしれません。(無論、全国民ではないのでしょうが。)

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でも、それはあくまで戦争が終結してから数年後において可能になったというのも事実。実際の戦中においても、数々の疑惑が持ち上がっても、その噂を無視・隠蔽したり、疑問を唱える者を非国民として扱ってきた事実もあるわけで。こうした作品を見ると、映画そのものよりも、アメリカ国民の極端なまでの感情の触れ幅の大きさや、盲目なまでの愛国心に複雑な感情を抱かずにはいられません。(まあ、そうしたものは、アメリカに限った話ではないのかもしれませんが・・・。)



■ フォッグ・オブ・ウオー

元米国国防長官だったマクナマラが、20世紀にアメリカが関係した戦争についての真実を語るドキュメンタリー作品。アメリカ、そして自らが関わった戦争を回顧しつつ、何故その選択肢になったのか、避ける手立てはなかったのかという事を、延々と語ってくれます。

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よくぞ、このような映画に出演する気になったものだと感じる部分もありつつ・・・此処で語られている言葉を、そのまま素直に受け止めていいのだろうか・・・これも一種のプロパガンダなのではないのだろうか?と、ついつい訝しがって見てしまうのは何故なのでしょうね・・・。(まあ、私にそれだけの冷静な批評を下す事が出来るだけの”戦争に関する知識”が無いだけの事かもしれませんが・・・。)



■ ライフ・オブ・デイビッド・ゲイル

この作品は、「冤罪」がテーマの作品です。社会派の一種の法廷モノドラマで、見終わった後で高揚感があるような作品ではありません。寧ろ、虚無感に襲われるタイプのものです。

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ネタバレを含むコメントになるので、書くのが難しいのですが・・・。この作品は、この世から「冤罪」を無くす事は難しい・・・嫌、不可能である。人が人を裁くという事にはおのずと限界がある・・・。という事を示したいのかもしれません。しかしながら、主人公のとった行動もまた、人としてのあり方として望むべきものだったのか?メッセージを発するためとはいえ、支持出来る行為だったのか?というと、深い疑問が残る作品でもありました。



■ 真実の行方

この作品も法廷モノのドラマです。邦題にあるように、「真実」とは何かを問う作品です。しかし、前述のライフ・オブ〜とは全く様相が異なるというか、間逆をいくラストを見せられて、虚無感と嫌悪感に襲われるタイプの映画でした。

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途中でなんとなくラストの展開は読めたものの、映画としては良く出来ていると思いました。それでも、こういう展開はちょっとね・・・と感じずにはいられない自分も居ます。まあ、人のやる事に”絶対”はない。”絶対の正義”など存在しないという事なんでしょうけどねえ・・・。ちなみに、エドワート・ノートンは、やはり若い頃から演技が上手いなぁ、改めて感じました。



■ 告発の行方

この作品も法廷モノですね。でも、この映画に関しては司法制度の限界云々とかを考えさせられるものではありませんでした。まあ、良い意味でも、悪い意味でも?ジョディ・フォスターの女優根性をまざまざと見せ付けられる映画といった感じかもしれません。

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ホント、何もあそこまで酷いシーンを映像として撮らなくても・・・と感じなくもなかったような・・・。それに、あのような酷い事件を招いてしまったのは、彼女自身の軽率な行動に要因が無かったわけでもないように思うわけで・・・。



■ ブラック・ダリア

1947年アメリカで発生した猟奇的殺人「ブラック・ダリア事件」をモチーフとしたサスペンス。実際の事件は未解決。そのためストーリーはフィクションとなっています。そのため、映画の舞台は当時の様相を再現しつつも、映画のストーリーは、かなり現代的なサイコ・サスペンス的な雰囲気もあったような・・・。

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では、面白かったかというと、個人的にはあまり・・・といった感じです。120分程度の映画ですが、それ以上に結構長い映画に感じてしまいました・・・。



■ ブラック・スワン

ナタリー・ポートマン主演の映画です。この映画をどのように評価したらよいのか、私は相当迷いました。無論、主人公がスワン・クィーンを演じるプレッシャーに押され、精神崩壊していく様を描いている映画として素直に解釈すればいいのだろうと思います。純真で無垢であるために非常に脆い心を持っていた彼女が、正反対のブラック・スワンを演じる事で、自らもが気づいていなかった心の闇の部分が顕在化されてゆく様を描いているのだろうというのは判ります。

しかし彼女は、役を貰う以前から”奇妙な光景”に出会う事もあったように思うのです。あれもまた、役を貰う前から既にプレッシャーを感じていたという事なのでしょうか?また、いくらプレッシャーがあったとはいえ、彼女の周辺に現れる”幻覚?”が過剰な演出になりすぎて単なるホラーにしかなってないように感じる部分もあったり・・・。

そのためか、最後のバレエの舞台のシーンも、心が開放される感動のフィナーレ・・・という感じには受け止められなかったといいますか。寧ろ、感動のフィナーレにするのであれば、ここまでサイコ・スリラー調の作風にしない方が良かったのではないか?と思いました。

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また、本作はかなりエロティックなシーンが多いのも意外でした。あれは、小さな子供には見せてはいけない類のものだと思います(^^; でも、ナタリーは綺麗でした。というか、バレーシーンのみならず、あれだけ大胆なシーンを演じ切った彼女に敬服しました。それだからこそ、本作がサイコサスペンスの粋を脱せれなかった(バレエ映画としての傑作になり損ねたように感じられる)のが少々残念な感じがしました。



■ ダンサー・イン・ザ・ダーク


これも法廷映画・・・いうのはちょっとこじ付けかもしれませんが、この流れの中で紹介してみたいかと。ビヨーク主演のミュージカルタッチの映画です。

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なんと救いの無い話なのでしょうか。もうね、本当にね、最初から最後まで「嗚呼、無情」の世界なのですよ。ハンデキャップを背負いつつ、必死で生きようとする主人公に対し、これでもか、これでもかと襲い掛かる辛い現実。そうした現実を跳ね除け、努めて明るく振舞おう・・・心が晴れるよう、歌い踊ろうとすると、それがまた仇となってしまう事も・・・。

映画だから、物語だからとはいえ、ここまでしなくてもいいでしょうに・・・と、見ている途中から”うつ”になってきそうになります。さらに最後の最後まで本当に救いが無いなんて・・・非常に嫌な虚無感に襲われてしまいました・・・。映画として一定の評価が与えられているようですが、これは元気が無い時に見ちゃ駄目な映画ですね。



■ ネル

人里離れた森の奥地において、たった一人で暮らす女性「ネル」。彼女は友人はおろか、家族もおらず、街にくりだした事もなければ、文明らしい文明と接触した事もない。それこそ、まともに言葉も通じない。しかし、その心は純粋で、清らかな心を持っていた・・・。偶然にも見つけ出された彼女の存在を通し、人々の心の交流を描いた作品でした。言葉にならない言葉を発するという難しい役を演じたジョディ・フォスター。彼女の女優魂を垣間見る事の出来る作品でした。

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■ グラン・トリノ

古き良き伝統を重んじ、それに縛られるために家族と隔たりが生じ、孤独に暮らす事を厭わなくなった老人。そんな彼の家の隣に移り住んで来た移民家族との交流を通じて、異なる歴史・文化・世代の間にある様々なわだかまりや軋轢を描きつつ、それらを超えた友情と、今の時代だからこそ見直すべき愛の姿を描いた作品でした。

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愛すべき頑固ジジイを演じたのは、名優であるだけでなく、名監督としての地位も不動のものとしたクリント・イーストウッド。彼のイメージといえば、「ダーティ・ハリー」などの強い男が思い出されますね。本作の主人公も、強い正義感を持つ人物として登場します。しかし、「ハリー」とは違うのは、自分の置かれた立場、自分自身の能力の限界という「現実」をより実感している存在であるといった感じでしょうか。

現に彼はクライマックスのシーンにおいて、敢えて「撃たない」選択を取りました。これは、”「ハリー」の方が映画として、ヒーローとしてスカッとするものがあり、見ごたえがある主人公だが、あれでは世の中を変えてゆく事は出来ない。負の連鎖は、あれでは止める事は出来ない。”という今のイーストウッドのメッセージが込められているように感じました。






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