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「この世はすべて錯覚だ」爆笑問題のニッポンの教養 FILE019

■ 放送:2007年11月27日放送 NHK番組公式HP
■ 出演:爆笑問題 / 北岡明佳(きたおかあきよし)1961年生まれ。立命館大学文学部教授。専門は知覚心理学。

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色が錯視に重要な役割を果たしていることを自らの錯視デザイン作品を用いて示し、2006年、色についての科学・芸術分野の研究に貢献した人物に贈られる国際的な賞『ロレアル 色の科学と芸術賞』金賞を受賞。「北岡佳明の錯視のページ」はこちら。止まっているはずのものが動き出し、回転し、揺れ、そして、消える…。錯視デザイナー・北岡明佳が生み出すイラストを眺めていると、不思議な感覚に襲われる。その計算し尽くされた線分や曲線、色彩のリズムが、思わぬ錯覚を誘う。北岡は世界的な錯視研究の第一人者。これまで10数年に及ぶ研究で、数々の画期的な錯視現象を発見。『錯視デザイン』という新しい領域を開拓し、2,000以上に及ぶ錯視デザインを発表してきた。まさに『錯視界の魔術師』だ。 『見る』こととは何か? 我々は一体この世界をどう認識しているのか?眺めるだけで思わず脳が揺さぶられてしまう北岡の錯視デザインを手がかりに、この世界を『見る』ことの本質に迫る。

■ 錯視とは
特定の幾何学的な図形や、マークの組み合わせや、特定の色彩の変化のある模様を見ると、人はその図形の大きさを正しく認識出来なかったり、何でも無い図形から人の顔を想像してしまったり、絵が動いているように錯覚してしまう。それが『錯視』である。

人が物を見る際、コンピュータのような凄い高速処理が出来ているわけではない。パッと見て、大体正しければOKという視覚のメカニズムが働いている。最新のパソコンであれば、1,000,000,000回/秒の演算処理が可能だが、脳はせいぜい1,000回/秒程度。そこで脳は目から得た特定の手がかりを基に、単純化した図形として捕らえるトリックを使っている。また、コントラストの高い所は脳内情報処理が早く、コントラストの低い所は処理が遅い。『脳』は物を見るために(目に)刺激を受けてから、1/10秒位かかっている。その後の処理もあり、色によっても時間差がある。詳しいメカニズムは未だ解明されているとは言い切れないが、こうした生理学的条件や、過去の記憶からの本能的な推察能力が適合すれば常に発生していておかしくはなく、我々は無意識ながら常に錯視が起きている状況であるとも言える。また、これらの現象は個人差が大きい。

いやはや、相変わらず面白い番組ですね。今回は錯視でしたね。そういえば、以前読んだ本『進化しすぎた脳 / 池谷祐二』でも錯視の話題は取り上げられていました。世の中には、光の3原色なる考え方(プリズムを通すと、光が3種類に分解出来る)がある。それはヒトには赤・緑・青の各視細胞(杆体・錐体)が存在し、それぞれが主に赤・緑・青色の光を吸収するからそう見える。本来、光は段階的に別れるものではない。(ヒト以外の生物には世界が白黒で見えたり、ヒトには見えない色調まで見えるというヤツですね)また、その赤・緑・青や明暗を感じる度合いにも個人差があり、複数人数で同じ光景を見ていても、同じ色の度合いで感じれているとは限らないとの事でした。

世の中をどれだけ客観的に見ようとしていても、個人によってモノの見え方が違ってしまう事はいたしかた無いのかもしれませんね。しかも、育ってきた環境によって知識や経験が異なることから、見えたモノに対する評価や価値観が異なる場合もあるわけで。無意識のうちに先入観をもってして物事を受け止めようとするのも、身を守る防衛手段として自然と備わっていても当然なのかもしれませんね。

太田氏は、このような現象を目のあたりにして、下記のような感想を抱いたようでした。(以下、表現の一部を意訳しています)「そうした先入観のようなものは、錯視のみならず、対峙する人の過去の発言やイメージによって、『○○さん、らしい』とか、『○○のくせに、何を出じゃばった発言をするんだ』とか、評価されるケースもある。 逆に、人を好きになってしまった場合は、相手の良い面・理想的な面ばかり見てしまうケースもある。 人は既存のイメージを払拭して、絶対的な客観的なポジションで物事に対峙する事は不可能なのではないか。 世の中に対する評価の基準は全て自らの中にある価値観や生理現象を通して見てしまっていると言える。 それこそ『相手の中に自分を見てしまっているのではないか』」と。また、こうも述べてもいました。「他人と交わっていてもオナニーだなあと。 本当に他人との交流って出来るのかと。 全ては自分の反映か?何でも自分と戦っている気がする。 自分で自分をもてあましている。」

確かにスポーツ・映画・音楽・芸術作品を見ても、それぞれが違う感想を抱いたり、美しいと感じたり、感動する起因となる部分が違いますよね。それこそ、女性を綺麗・美しいと感じる価値基準も違うわけですし。ついつい趣味が合ったりする人との会話が増えるのも、望んでいる回答を返してくれる事を望んでしまっている事と言え、自分の理想を追っている事であり、他人としての主張を望んでいないとも言えるかもしれません。確かに他人とは完全に判り合う事など不可能なのでしょう。大体、自分自身の発言すら、自分の感情の全てを完全に表現出来るわけでは無く、他人の言葉に込められた意思なぞ、100%理解する事など不可能でしょうから。

しかし、そうした価値観にズレがあるものだと理解しているからこそ、自分に近い価値観に出会った時の安堵感があるのと同時に、自分に無い価値観に出会った時に『発見』にちかい大きな感動があるのではないかと感じました。それこそ、来週のテーマはそうした『ことば』のようで、とても楽しみですね。

PS)
今回の放送を見ている際、タイタンさんの『タイタン号の宇宙探検』というブログで拝見した、爆笑問題と、ガンダムの監督である富野由悠季氏との対談の内容が頭を過ぎりました。監督の『富野由悠季』氏によると、『ニュータイプ』なる概念は、『誤解せずに他者の意思がわかる人』と考えているようです。主観とか自分の能力とか自分の好みとか自分の考えはこうだ!っていうのを、全て捨てる事で、客観的に全部が判る能力。結果そのことが相手の考えを読む能力となり、「先読み」が出来る能力となる。という発想のようです。現実社会においては、主観が入る事で、いびつになって物事を間違わせてることってのがすごく多い。本当の意味で我々が獲得しなくちゃいけない能力なんじゃないのかなって思えるようになった。と、富野氏は考えているようです。うむ〜、太田氏の悩みはニュータイプにでもならないと解けない世界なのかもしれませんね?w

iPS細胞:再生医療など加速 倫理・安全面で課題も

日米の研究チームがヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)作りに成功したことは、再生医療の実用化などへ向けた画期的な成果で、「ノーベル賞級」との賛辞も寄せられている。だが、安全面の課題は残り、1人の細胞から精子と卵子を作れる可能性があるなど新たな倫理的問題もある。
ただし、安全面での課題も残る。体細胞を「初期化」する際に使う遺伝子にがん遺伝子が含まれることや、遺伝子を導入する際に使うレトロウイルスにもがん化を促す危険性があるからだ。倫理面での問題も、100%回避されたわけではない。iPS細胞から生殖細胞(精子・卵子)を作り出すことも理論上可能だからだ。
■ ニュースソース毎日jp
これまで再生医療で脚光を浴びていたES細胞には〈1〉人間に成長する可能性がある受精卵を壊して作るため、倫理的な批判を伴う〈2〉移植に使うと拒絶反応が避けられない――という問題があった。クローン技術を利用するクローンES細胞を使うと拒絶反応を回避できるが、材料となる卵子の確保が困難だ。iPS細胞なら、これらの問題をすべて克服できる。パーキンソン病や糖尿病などの病気で、iPS細胞から変化させた細胞を移植すれば、症状の改善が期待できる。新薬の薬効や副作用の確認にも役立つ。
山中教授は今回の成果を「マラソンに例えると、ゴールが見えた段階」とし、数年以内に医療現場での利用が始まると見通す。しかし、課題も少なくない。一つは、今回の実験では遺伝子を組み込む際に、発がんの恐れがある「レトロウイルス」を利用している点だ。また、組み込んだ四つの遺伝子には、がん遺伝子の「c―Myc」も含まれる。iPS細胞から作った細胞が移植後に目的以外の細胞に変化しない技術の開発も不可欠だ。こうした課題について理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの西川伸一副センター長は「解決は時間の問題」と楽観的だ。米ウィスコンシン大のチームは、がん遺伝子を用いずに、iPS細胞を作製。山中教授も、レトロウイルス以外で遺伝子を組み込む方法を検討している。
iPS細胞は理論上、精子や卵子に変化させられる。子孫に影響を与える生殖細胞の悪用を防ぐため、山中教授は「今後の研究はガラス張りにする必要がある」と強調する。
■ ニュースソース読売新聞読売新聞
■ 関連記事iPS細胞:ヒトの皮膚から万能細胞 京大などが成功ここまできた再生医療 / サイエンスZERO 第168回眠れる再生力を呼びさませ 〜脳梗塞・心筋梗塞治療への挑戦〜(その1)超人類へ! / ラメズ・ナム

先にあげた記事でその研究成果に驚いていた私であるわけですが、今回発表されたiPS細胞にも、倫理面で問題が無かった訳ではないようですね。恥ずかしながら最初の記事を読んだだけでは十分に気づけていなかったのですが、体細胞を「初期化」する際に使う遺伝子にがん遺伝子が含まれるだけでなく、遺伝子を導入する際に使うレトロウイルスにもがん化を促す危険性があるのですか。現状では癌の発症の可能性は高いのかもしれませんね。また、iPS細胞は何にでも分化出来る可能性が秘められていると言う事は生殖細胞(精子・卵子)を作り出すことも理論上可能との事ですか。今すぐそれだけの事を行える技術力がある訳ではないのですが、そうした可能性があるという事は、たしかにトンでもない話ですね。

山中教授自身も自覚されているようですが、発ガンの確立を下げる為にレトロウイルスを用いない方法や、初期化の作用を行える別の遺伝子の発見が求められると同時に、倫理面において「今後の研究はガラス張りにする必要がある」のでしょうね。ともあれ、今までのES細胞に比べれば遥かに倫理面のハードルは低くなったのは事実だと思います。

確かにこれらの技術は遺伝子操作が含まれている点から、再生を行う臓器等によっては、子孫に操作した遺伝子が残される可能性もあるのかもしれません。無論、本来の人間以上の存在を作り出すためにこうした技術が使われる事はあってはならないと思います。

しかし、病気で苦しむ患者さんはもとより、その介護や長年に渡る医療費の負担に苦しむ家族が多い世の事を考えると、こうした研究は必要なのではないかとも感じます。是非、様々な意見を取り入れて、倫理的な問題を見つめつつ、前向きに研究が進んでいって欲しいものだと思いました。

iPS細胞:ヒトの皮膚から万能細胞 京大などが成功

ヒトの皮膚細胞から、心筋細胞や神経細胞などさまざまな細胞に分化する能力を持つ万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を作り出すことに、日米二つの研究チームが、それぞれ成功した。
患者自身の遺伝子を持つ細胞を作り、治療に利用することに道を開く技術。クローン胚(はい)から作る同様の能力を持つ胚性幹細胞(ES細胞)と違い、作成に未受精卵を使うなどの倫理的問題を回避できる。拒絶反応のない細胞移植治療などの再生医療や新薬開発など、幅広い応用に向けた研究が加速しそうだ。京都大などのチームが20日付の米科学誌「セル」電子版に発表。米ウィスコンシン大などのチームが22日付米科学誌「サイエンス」電子版に発表する。

皮膚細胞
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多能性幹細胞
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軟骨細胞
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神経組織
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筋肉細胞
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京大の山中伸弥教授と高橋和利助教らは、体細胞を胚の状態に戻し、さまざまな細胞に分化する能力をよみがえらせる「初期化」には四つの遺伝子が必要なことを発見し、昨年8月にマウスの皮膚細胞からiPS細胞を作ることに成功。これを受け、世界の研究者がヒトのiPS細胞の開発を目指し、激しい競争を繰り広げていた。
山中教授らは、マウスでの4遺伝子と同様の働きをするヒトの4遺伝子を成人の皮膚細胞に導入し、ヒトのiPS細胞を開発することに成功。この細胞が容器内で拍動する心筋や神経などの各種細胞に分化することを確認した。iPS細胞をマウスに注入すると、さまざまな細胞や組織を含むこぶができ、多能性を持つことが示された。一方、ウィスコンシン大のジェームズ・トムソン教授らは、胎児や新生児の皮膚細胞から、京大チームとは異なる組み合わせの4遺伝子を使い、iPS細胞を作ることに成功した。英紙によると、世界初の体細胞クローン動物、羊のドリーを誕生させた英国のイアン・ウィルムット博士は、今回の成果を受け、ヒトクローン胚研究を断念する方針を決めたという。クローン胚由来のES細胞より、iPS細胞の方が治療には有望と判断したためだ。
一方、初期化に使う4遺伝子にはがん遺伝子も含まれ、発がんなどの危険性がある。今後は安全性の確保が研究の焦点となりそうだ。

■ ニュースソース毎日jp
■ 関連記事ここまできた再生医療 / サイエンスZERO 第168回眠れる再生力を呼びさませ 〜脳梗塞・心筋梗塞治療への挑戦〜(その1)超人類へ! / ラメズ・ナムiPS細胞:再生医療など加速 倫理・安全面で課題も

いやはや、最近の再生医療に関する技術研究の進歩は凄い勢いがありますね。(金の成る木はそれだけ競争が激しいという事かもしれませんが・・・)先日のNHKスペシャルで取り上げられた、本人の骨髄から取り出した幹細胞を用いた脳神経や心筋治療の為の再生医療の報道にもおどいたのですが、今度はiPS細胞を皮膚から作り出す事すら出来るようになったとは。それこそ骨髄から取り出した細胞でも、未分化の未受精卵を使わず、皮膚細胞といった通常の細胞レベルからiPS細胞が作れるとは凄いですよね。キーポイントは、『初期化を行うための遺伝子』のコントロール技術ですか。

こうした再生医療や、遺伝子医療系の話題には、常に倫理的な問題が付きまとい、研究が進んだとしても、『使えない技術』となりかねない問題を孕んでいましたが、これらの新しい技術においてはそうした問題ハードルがかなりの面で低くなりますね。現時点では胎児や新生児の皮膚という点が気になりますが、これが成人レベルのものでも用いる事も出来るとなれば、本当に広く使われる技術となるのかもしれませんね。
まだ発がん性の可能性がある等、全ての面でコントロールが可能ではないようですが、こうした研究が進み、病気に苦しむ人たちに少しでも明るい未来が訪れる事を期待したいものです。

眠れる再生力を呼びさませ 〜脳梗塞・心筋梗塞治療への挑戦〜 (その2)/ NHKスペシャル

■ NHK総合テレビ 2007年11月5日(月) 午後10時〜10時49分 NHK公式HP

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■ 関連記事ここまできた再生医療 / サイエンスZERO 第168回超人類へ! / ラメズ・ナムアルジャーノンに花束を

その1からの続きです。

心臓の再生医療

■ 急性心筋梗塞
心臓は大量の心筋細胞が規則正しく活動する事で大量の血液を体内に送り出している。この心筋細胞は酸素と血液が血液から供給されなければ正しく動く事が出来ない。心臓を取り巻く血管が詰まってしまえば、その先の心筋細胞は死んでしまい周りの細胞もダメージを受ける。

■ ドイツ・フランクフルト大学付属病院
フォルカー・シェヒンガー教授は3年前から心臓の再生医療に取り組んでいる。3年前の9月、56歳の男性は急性心筋梗塞を患った。教授は男性の心臓にカテーテル(血管より細い管)を血管に通し、詰まりを排除した。しかし暫くの間その先には血流が流れていなかった為、患部は弱ってしまっている。そこで患者から取り出した骨髄幹細胞を濃縮し、そのまま心臓の血管に注入しその再生力を用いた治療を行った。治療から4ヶ月後、今まで動いていなかった患部が活性化して動くように成り、治療前に比べて、送り出す血液の量が15%もUPしたという。男性は日常生活を過ごせるようになったばかりでなく、サッカーに登山と今まで以上に積極的に活動するまでになっていると言う。この治療の効果は、骨髄幹細胞が出す血管新生因子によるものであると考えられている。フランクフルト大学付属病院では既に200人に臨床試験を実施。重症患者に施した場合、血液を送り出す能力が、治療前に比べて平均3倍に改善されているという。

いやはや、本当に凄い話です。今までも目の角膜の治療をシャーレーでの培養で行って用いるケース等の再生医療の話を耳にした事はあります。でも、そのまま血管に骨髄幹細胞を注入するだけで、タイミングと病巣に適合すれば、絶大な効果があるとは想像出来ませんでした。それこそ、素人目には単純な方法にすら感じ、予想外と言っても良い程です。逆に言えば、骨髄幹細胞のポテンシャルが凄いとも言え、生物が本来備えている再生力というものを人為的にであれ引き出す事が出来れば、他の病気や怪我に応用出来るどころか、医療の世界そのものが変わってゆく事になるのかもしれません。アルツハイマーや、他の脳障害を持つ人にも応用が効く可能性もあるのかもしれませんね。十分に安全が確認された後には、是非とも普及してもらいたい技術ですね。

余談ですが、この番組を観ている時に「アルジャーノンに花束を」の事が頭を過ぎりました。術後の驚異的な成長ぶりが重なったのです。アルジャーノンやチャーリーに起きてしまったような悲劇がこの治療方法に起きない事を願うのみです。さらに健常者に積極的に用いたり、他の遺伝子治療等も併用したらどうなってしまうのだだろう。下手な好奇心や欲求で人間以上を目指す事無く、純粋に医学として発展し、世の中に貢献して欲しいと感じました。

眠れる再生力を呼びさませ 〜脳梗塞・心筋梗塞治療への挑戦〜(その1)

■ 総合テレビ NHKスペシャル 2007年11月5日(月) 午後10時〜10時49分 NHK公式HP

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両生類のイモリは、足を失っても再生できる驚異の力を持っている。一方、人は、進化の過程でこうした再生力を失ったと考えられてきた。しかし今世紀に入って急速に研究が進み、人にも秘められた再生力があることがわかってきた。今年1月、札幌医科大学附属病院脳神経外科で、日本で初めての治療法の臨床試験が始まった。それは、脳梗塞で傷ついた脳の神経を、自らの細胞で再生させようという試みである。
その再生治療に使われるのは、患者本人の骨の中にある骨髄の細胞である。骨髄の幹細胞と呼ばれる細胞を体内から取り出し培養、患者の血管に注入すると、傷ついた脳の神経が再生するというのである。
番組では、この臨床試験に挑んだ脳梗塞患者を8ヶ月に渡って取材。左半身に運動マヒを抱えた患者が、今までの治療では考えられない回復を続けている様子を描く。また、自らの骨髄の細胞を使った再生治療は、脳だけでなく心臓でも始まっている。ドイツでは心筋梗塞患者が骨髄の細胞で治療を行い、傷ついた心筋細胞が復活し、スポーツが出来るまでに回復している。医療を根本的に変えると言われる再生医療。
札幌医科大学では、脳梗塞治療に挑む臨床試験を密着取材、ドイツでは心筋梗塞治療に挑む臨床試験を追い、人体に秘められている再生力の可能性に迫る。

■ 関連記事ここまできた再生医療 / サイエンスZERO 第168回超人類へ! / ラメズ・ナムアルジャーノンに花束を

驚くべき内容でした。一度傷つくと再生しないと言われて来た、脳神経や心臓の病気に対する再生医療。
今まで治療が困難と言われてきたこれらの領域の治療が技術的に現実のものとなろうとしているそうです。それだけでも凄いのに、さらにその再生スピードは驚異的と言えるもの。また幅広い分野に対しても応用が利くようにも感じました。まだまだ臨床レベルであり、予期せぬ治療結果が出ないか検証を重ねる必要はあるものの、倫理的な問題もクリア出来るこの治療方法に期待せずにはいられません。これ等の研究が進み、早く世に広まる事を願わずにいられませんでした。

脳神経の再生医療

■ 脳梗塞
脳の血流が途絶え神経細胞が傷つく病気。一命を取りとめても、重い障害が残る事が多く、手厚い看護は必要となる病気の1位となっている。ここ10年〜20年の間に様々な治療薬が出たが、今までの治療方法では一度傷ついた神経細胞を元通りにする事は出来なかったからだ。ところが、今回紹介する新しい治療方法によって、傷ついた神経細胞を回復出来るという。そのキーポイントとなるのが生物が本来兼ね備えている『再生力』であるという。

■ 再生力
両性類のイモリは前足を失っても、僅か4ヶ月で指まで再生出来る。従来はイモリのような強い再生力は特別なものであると考えられてきた。しかし最新の研究では人間にも大きな再生力があると判ってきた。
その再生力は骨髄に秘められていた。

■ 骨髄
骨の中にある赤い液体。血液を作る細胞や、骨を作る細胞が含まれている。この骨髄が脳神経の再生する力を持っているという。骨髄の再生力を使った実験は体の様々な部分で試みられている。

■ 札幌医科大学付属病院 脳神経外科
今年1月、宝金清博 教授が率いる脳神経外科において、今までに例の無い脳神経の再生医療の臨床試験が行われた。

臨床試験を受ける事の出来る対象者は、下記の条件に当てはまる50名。
・札幌近郊在住
・年齢20歳〜75歳
・脳梗塞発症から3週間以内
番組では同脳神経外科に在籍しする 本望修 医師 による再生医療の紹介と、その臨床試験を実際に受けた52歳の男性にフォーカスを当てていた。

■ 本望修 医師
10年以上再生医療の研究を行って来た先駆者の1人。アメリカ・エール大学との研究によって、傷ついた神経細胞を復活させる幾つかの細胞がある事が判った。特に骨髄の中にある骨髄幹細胞に注目。骨髄の中にある様々な細胞を用いて、脳梗塞のあるネズミで実験をうと、2週間で運動機能が回復したという。また、MRIで脳を調べると、治療後は脳神経が回復している様子が判った。本望氏がこの再生医療の最先端の実務を担っている。

■ 骨髄幹細胞を用いた再生医療
骨髄幹細胞は弱った神経細胞の側にやって来ると神経栄養因子と呼ばれる物質を出す。これは神経細胞を元気付け、傷ついた神経細胞を回復させる。また、骨髄幹細胞は、血管新生因子と呼ばれる物質を出す。すると周りに新たな血管が生み出され、弱った神経細胞に酸素と栄養を供給するルートを作り出す事が出来る。さらに、骨髄幹細胞は、自らが神経細胞に変身する事も可能であると判ってきた。今回生み出された新しい再生医療は、こうした事柄の基礎研究の成果が生み出してきたものと言える。

■ 認められた臨床試験
今回の新しい治療に対し、札幌医科大学付属病院 は倫理委員会を設けた。・既に実用化されている骨髄移植によって、骨髄を体内に入れる治療法の安全性は確認されている。・また、治療に用いる細胞は患者本人のものであり、倫理的に問題は無い。その為、去年8月、臨床試験を行う事が認められた。

■ 神経再生医療の驚くべき成果
・2月4日、ある52歳の男性は脳へ繋がる首の右側の動脈が詰まり、脳梗塞が発症した。脳梗塞は発症から3時間以内であれば薬で血流を回復させ神経細胞を救う事が可能である。しかし、男性が治療を受ける事が出来たのは発症後12時間後の事。一命は取り止めたものの、左半身に運動麻痺が残った。発症後1ヶ月経過し、リハビリを行うも、男性は介助者無しでは真っ直ぐ歩く事は出来なかった。また、左手の麻痺は酷く、モノをしっかりと持てないだけではなく、腕を真っ直ぐに出す事すらままならなかった。

男性は新たな治療法である再生医療に賭ける決断をする。
・2月21日、男性の骨盤から骨髄を採取。骨髄幹細胞を1万倍に培養。
・3月19日、培養して1億6000万個となった骨髄幹細胞を、通常の点滴と同じように少しずつ静脈から投与。
骨髄幹細胞は血液に乗って体内を循環し、脳梗塞によってダメージを受けた神経細胞に到着し、神経の再生がされる事を狙ったものだ。

検査の為、5時間後にMRIで脳神経の様子を調べると、医師ですら驚く状況が発生していた。これだけの短期間であるにも拘わらず、脳梗塞の部分が一まわり小さくなっていたのだ。これまでの常識では、脳梗塞発症後、1ヶ月半も過ぎていれば、患部の脳神経は死んでしまっていると考えられてきた。しかし、検査結果はその常識を覆すものであり、本望修 医師 にとっても予想を超える結果であった。

・3月20日、男性が朝目覚めると、麻痺していた左指が動くようになっていた。
・治療から2週間後には、腕や手の動きも極端に良くなった。
・治療から3週間後には、介助者無しで真っ直ぐ歩けるようになった。
・治療から2ヶ月後には、日常の細かな動きも苦にならなくなる程の回復ぶり。
意識しなければ動かす事が出来なかった左腕を無意識に動かせれるようになり、起伏のある場所でもバランス良く歩く事も出来るまでになっていた。
・男性は8月に無事に退院をする事が出来、職場への復帰も果たした。
10月までに、この男性を含めて8人に臨床が行われ、個人差はあるものの、全員に症状に変化があったと言う。

本望修 医師は、治療の初期段階では神経栄養因子による効果によって傷ついた神経が再生し、その後は血管新生因子による血流の回復がた事こうした結果に繋がったと考えている。また、「固定した(死んだ)と思っている脳の領域が活動していて治療に反応する可能性があると判ったのは大きい事だ」と語った。臨床試験では1回しか骨髄幹細胞を投与していない。たった1回の投与であるにも拘わらず、長期間回復の効果を持続していると言える。

日に日に回復してゆく男性の様子は、リハビリの専門家である 石合純夫 教授 にも驚きであったと言う。「一番驚いたのは、そんなに急に変わるものなのか、という事。肝細胞を入れて、24時間、48時間という短時間で急にそんなに機能が上がる事があるのか、と。いいタイミングで、最も適用に合った患者さんに用いれば、急速に成果を挙げる事が出来る。それを知る事が出来たのはとても大きい。」と。

しかし、宝金 清博 教授はこう語る。「最悪の場合、幹細胞が勝手気ままな行動をとり腫瘍となるかもしれない。可能性は低いといえども、最低2年位のスパンで見ていかなければならない。」


記事はその2へ続きます。
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