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長岡弘樹 『教場0−刑事指導官 風間公親』 (小学館) 1,512円
[作品紹介]
大ヒット警察学校小説の前日譚。 『教場』―初任科第98期
短期課程〈風間教場〉の鬼教官が、殺人現場に臨場
話に施された恐るべき仕掛けの数々と 驚天動地のラスト。
トリックメーカー長岡弘樹の、面目躍如 に連なる倒叙ミステリーのニューヒーロー
トルの元ネタが分かった人は、かなりのコロンボ通
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●第一話 仮面の軌跡:大企業の 御曹司との結婚を 前に、
借金の肩代わりに交際を続けてきた腐れ縁の相手を タク
シー内で殺害した女は…。●第二話 三枚の画廊の絵:離
婚した妻と再婚した相手をひょんなことから殺害してしまっ
た男は…。 ●第三話 ブロンズの墓穴:小学校で いじめに
あっている息子の母親は担任の教師に恨みに募らせてい
た…。
●第四話 第四の終章:隣室に住む劇団の看板女優筧の
美しさに惹かれている男。彼女の同棲している相手が、突
然自殺した…。 ●第五話 指輪のレクイエム:認知症の妻
を自宅で介護している男。 妻は毎週水曜日に鰆のホイル
焼きを作っていた…。 ●第六話 毒のある骸:大学の法医
学教授。 遺体を司法解剖する際 事故を起こし、助教に怪
我を負わせてしまった教授は…。
1970年代以降、アメリカのテレビドラマで『刑事コロンボ』と
いう名作がありました。4シーズン・全69話、ロス市警の冴
えない刑事コロンボが、有名人や地位の高い犯罪者の完
全犯罪を暴いていく 痛快ストーリーが 魅力でした。このド
ラマへのオマージュが、各短編のタイトルに 込められてい
ます
テレビドラマの各話のタイトルは「仮面の男」 「二枚のドガ
の絵」 「権力の墓穴」 「第三の終章」 「偶像のレクイエム」
「毒のある花」 というのが元ネタだったでしょうか
コロンボ』 ― 昔、よく観ていました
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読書の部屋♦
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長岡弘樹 『時が見下ろす町』 (祥伝社) 1,620円
[作品紹介]
何か大きな見落としを しているように思えて ならなかった
のです――。祖母が祖父を介護する家に居座る孫、唐突に
同棲を快諾した恋人―、 鉢合わせした住人に違和感を抱く
空き巣……。変わりゆく町で繰り広げられる 一筋縄では解
けない事件とは
りなす事件を見つめる―― 町のシンボル、大きな時計が目
印の『時世堂百貨店』が見下ろす町で 起こった、さまざまな
出来事を綴る。
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百貨店の隣に立つ一軒の家家で、和江は抗癌剤治療に苦
しむ40年連れ添った夫を介護している。 ある日夫の勧めで
気分転換に 写生教室に出かけることになり、孫娘のさつき
に留守番を頼むことに。 その日だけのつもりだったが、何故
か
和江の家が建つ前は時世堂の物置き、その前は製鞄工場
さらにその前は中古タイヤの倉庫…。それぞれのピースが
時間を超えて、物語を紡ぎ出す
は 最後の駅伝ランナーとして参加した大会で 会社の敷地
内で起きた事件を、解決することに……「歪んだ走姿」
暴力団組員の五木は、幹部の和久井に中古タイヤの倉庫
に呼び出される。そこには、もう二人の構成員・市谷と寒川
もいて、サイコロを振るゲームをさせられることになる
たして、和久井の真意とは……「苦い確率」 その他、全8
編の“切れ味鋭い”物語が揃えられています。
特に、最初と最後の物話が繋がっていて、読後、輪廻転生
みたいな気分になりましたよ
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長岡弘樹 『にらみ』 (光文社) 1,620円
[作品紹介]
“にらみ”とは、刑事が公判を傍聴し、被告人が供述を翻した
りしないよう、無言で圧力をかけること―。事務所荒らしで捕
まり 懲役5年の判決を受けた窃盗の常習犯・保原尚道は仮
釈放中に保護司を殺害しようとした容疑で逮捕された。 取り
調べを担当する片平成之は4年前の保原の裁判で“にらみ”
をしていて面識があった。 保原は自首しており目撃者による
面通しも終えているのだが、片平は納得していない。保原は
人を殺めようとするほどの悪人なのか―。
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ズや『傍聞き』などの著作で有名です。『にらみ』は、249ペー
ジで7編の短編が収録されています。1編当り35〜40ページ
になります。「餞別」は、先輩ヤクザからムショに入る後輩ヤ
クザへの“贈り物”。最初はちょっと分からなかったけど まあ、
“粋な計らい”ということなのでしょう。「遺品の迷い」は、遺品
整理業者の話。人の死を身近に感じる仕事と、だからこその
親子の絆が描かれます。
「実況中継」は辛かったですね。 目の不自由な少年と、主人
公との友情の話でした。こうあって欲しくない結論に 導かれ
てしまいました。 「白秋の道標」は、夫婦がやり直す話です。
海堂 尊さんの『マドンナ・ヴェルデ』に似てるかな
は、高校の陸上部が舞台。主人公が仕掛けた罠に、意外な
犯人が嵌ります。「百万に一つの崖」は、“ボンベイ型”という
百万人に一人の血液型のミステリー。 舞台が崖だけに、テレ
ビのミステリー劇場やワイド劇場を思い起こさせます
最後に表題作「にらみ」は、[作品紹介]を参考にしてください。
うに痺れるような警察内部の話。長岡弘樹さんが 一番得意
なジャンルです。 会社や 学校の行き、帰りには 最適な一冊
です
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伊坂幸太郎 『フーガはユーガ』 (実業之日本社) 1,512円
[作品紹介]
常盤優我は仙台市のファミレスで 一人の男に語り出す。 双子の弟・風我のこと、決して幸せでなかった子供時代
のこと、そして、彼ら兄弟だけの 特別な「アレ」のこと…。
僕たちは双子で、僕たちは不運で、だけど僕たちは、手
強い。 あらすじは秘密、ヒントを少し。 双子/誕生日/
瞬間移動 1年ぶりの新作は、ちょっと不思議で、なんだ
か切ない。
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売れっ子になっても仙台に住み続け、仙台を舞台にした
小説を書き続ける伊坂幸太郎さん。 最近テレビでよく特
集されているお笑いコンビ「サンドウィッチマン」と似てる
ところがあるのかもしれないな。 あちらは、伊達みきおと
富澤たけし。2人は良い人で有名ですよね。 こちらは優
我と風我。まさに、“天使”と“悪魔”。慎重派のユーガと、
行動派のユーガ。
物語は、優我が取材を受けている場面に終始します。そ
こに風我は登場しません。 ただ 優我が昔語りをして、優
我と風我は、まさに そこに居るような臨場感があります。
さらに、伊坂さんらしい伏線がいたる所に張り巡らされて
いるのです。東北新幹線の遅延、ボウリングのマイボー
ルの置忘れ、 シロクマのぬいぐるみ、 同級生のワタボコ
リ、岩窟おばさん、小玉の豪邸、ハルタ君…。
まあ、最後に全て回収するのは、さすが 伊坂幸太郎さん
です。ただ最後のオチは、予想出来ましたけどね
と「アレ」が起きるんじゃないかと
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海堂 尊 『玉村警部補の巡礼』 (宝島社) 1,490円
[作品紹介]
累計1000万部突破「チーム・バチスタ」シリーズに登場する
“加納&玉村”コンビが、お遍路道中で難事件を解決
暇を利用して、四国八十八ヵ所を巡拝する旅に出た玉村警
部補。しかし、なぜか 同行してきた警察庁の加納警視正と
行く先々で出くわす不可解な事件に振り回され…。 軽やか
に跳躍する海堂ワールド、珠玉のミステリー4編。
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「チーム・バチスタ」の“猟犬”こと 警視庁一の切れ者・加納
警視正と、桜宮警察署の“癒し系”こと玉村誠のコンビが な
んとお遍路さんに出発
さんらしいといえば、らしいのか…。 四国八十八ヵ所巡礼と
は、思いもしなかった展開です。
「発心の阿波」 「修行の土佐」 「菩提の伊予」 「涅槃の讃岐」
それぞれ徳島、高知、愛媛、香川、四国4県を巡礼として周
ります。その所々で 事件に巻き込まれるのです。寺での 賽
銭泥棒、政治家がらみの不審死、蚊帳教という異教の寺で
の殺人事件、そして 指名手配犯が連続不審死する 奇怪な
事件。
軽いタッチの連作短編集で、会社の行き、帰りにサクッと読
めます。海堂さんは、最近キューバのチェ・ゲバラを題材に
した小説に傾倒しているのようなで 久しぶりのミステリーで
した。調べてみると、2016年以来 3年ぶリの海堂さんレビュ
ーです。
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