映画のボツ脚本・準備稿を訳して読んでみるブログ

海外のSF映画やホラー映画のボツ脚本や準備稿をぼちぼち和訳して読んでみるブログです。

全体表示

[ リスト ]

 
リプリー
ちくしょう!あいつは頭から出てきた!

アンソニー
見なくてもどういう意味かはわかるね。

リプリー
彼が院長を私たちの所に送ってきたのよ。外にいるあのくそったれよ。私はあいつから逃げられない。彼は私の心をもて遊んでいる。彼が私の罰なんだわ!

アンソニー
僕は混乱しているよ。君は前に、あいつは頭ではなく胴体から出て来ると言った…

リプリー
エイリアンの生態について議論したい気分じゃないの。

ジョンが彼女のそばに来る。

ジョン
リプリー、君は…

彼女はジョンを押しのけ、床に倒れこむ。

リプリー
私はただ空気がなくなるのを待っているべきなんだわ…

ジョン
私は信じているし、わかっている…私たちが勝つことをね。我々の本に答えがあるんだ。

リプリー
あなたの本?修道士さん、あなたの本はもうないのよ。あなたの世界ももうないの。あの怪物が卵を産み始めたら、あなたの仲間たちは…まだそうじゃなければだけど…みんな死ぬわ。

ジョン
もしそれが本当なら、私たち全員も、本も、灰となるわけか。

彼は両手を固く握ってうなだれる。
彼の両手から院長の血が滴る。
ぴちゃっ、ぴちゃっ!
リプリーの足元の小さな水たまりへと。
彼女はその血を見つめる。うぐっ。
また痛みを感じる。
彼女は手で胸を押さえる。

アンソニー
(声のみ)
リプリー?

リプリー
何?

アンソニー
今回のと君が話してくれた他のエイリアンとの間には、いくつか一致しない点があるようだね。

リプリー
もう勘弁してよ。

アンソニー
これは重要な事だと僕は思うんだ。あいつと戦うのに役に立つかもしれない。僕が廊下で戦ったあの生物はね…僕が最初に見たとき、あいつは自分が木材に見えるように擬態していたんだ。

リプリーが顔を上げる。

リプリー
木材?私が自分の部屋で見た時は、あいつは以前と同じような外見だったわ…黒くて、機械みたいで…あれは夢だったけどね。

アンソニー
僕はそれが本来の姿だとは思わない。もしこの生物が君の言うとおり優れた捕食者だとしたら、周囲の環境に適応する能力を持っていると思うんだ。

リプリー
じゃあ、私にあいつらがいつも同じ外見に見えたのは、単に私が同じ環境でしか見ていなかったからなのね。

アンソニー
もしくは、これはまだ知られていない成長の段階なのかもしれない…君は女王を見た…これは王様アリみたいなものかもしれない…生き残るために改良されて、雄バチよりも高度な進化を遂げたのかも…?

ジョン
あの生物が雌羊の胸から出てきたのをどう説明するんだ?院長は頭からだよ?

リプリー
あいつは性質の異なる卵を産むことができるのかもしれない。おそらくチェストバスターは宿主がなにか食べるまでは休眠しているのよ。私が最初に見た奴も、ケインが食事を始めた後に彼から出てきて…

そして恐ろしい一瞬、彼女は理解する。
彼女は食事を摂っていない。自分の胸の痛み…

リプリー
違うわ。

彼女に向けられたアンソニーの「表情」…彼も同じように悟ったのだろうか?

ジョン
何が違うんだ?

リプリー
違う、私たちはまだ負けていないわ。神父さん…

ジョン
修道士だよ…

リプリーは立ち上がる。

リプリー
修道士さんね。まだ終わりじゃないわ。もしあいつが私を嘲っているのなら、それを利用できるかもしれない。このくそったれをやっつけられる。私たちは私の船へたどり着ける。私たちは生き残れる。

カット替わって


内景 科学技術の部屋

ジョンは天井の落とし戸へ伸びる梯子のそばに立っている。松明を持っている。
リプリーはアンソニーと床にいる。アンソニーは傷ついた脚を前に投げ出している。肌は青ざめている。

アンソニー
考え直したりするなよ。目も見えず脚も利かずで僕は足手まといにしかならない。彼に、君が何をしているのか考える時間をやるんだ。僕の棒だけ置いていってくれ。

リプリー
わかったわ。幸運を祈るわ。

彼女はアンソニーと握手する。彼はリプリーを引き寄せる。
アンソニーの空っぽの眼窩が、リプリーを見ているように感じられる。

アンソニー
リプリー、僕は知っているんだ。幸運を祈るよ。

リプリー
じっとしているのよ。

リプリーはジョンの方へ行く。梯子の一段目に足をかけて、二人は天井にある落とし戸を見上げる。

リプリー
彼はあの戸の向こうで待ち受けてるかもしれない。十フィートも行かないうちに、三人とも彼に殺されるかもしれない。

彼は首を振る。

ジョン
それでも、先へ進む方がいい。

彼は微笑む。
彼女も微笑みを返す。
二人は梯子を登り始める。

梯子は湿っぽい、短い縦穴へ通じている。壁は藻で緑色をしている。

地下の桟橋 夜

梯子の縦穴を出ると、そこはフジツボに覆われた桟橋だ。リプリーとジョンは木造の建物の上へ出る。彼らの前には…

惑星全体と同じ広さ、5マイル以上の幅で地下の海が広がっている。この衛星の上半分の最下層の床がここの天井になっていて、百フィート頭上にぼんやりと見えている。

水は黄金色にきらきらと輝いている。

ジョン
惑星の地表は昼間にちがいない。

リプリー
この光はどこから来るの?

ジョン
鏡だよ。外の光を広い縦穴で下へ反射させているんだ…レンズを通してね。ガラス工房で作っているのがそれなのさ。レンズだ。あれを見て…

彼女は振り返る。

巨大な滝がある。

頭上から差し込む光の範囲だけ照らされて…二人からそれほど遠くない海へ注いでいる。

ジョン
この星の表面とつながっているんだ。水は流れ込み、流れ出ていく。どうやってかは知らない。海の両端にそれぞれ滝がある。私は反対側に降りてきたんだ。

リプリー
私たちはどうするの?

ジョンは端をロープで繋がれて波に揺れている、革と木で出来た三艘のかご船を指さす。

ジョン
海を渡るんだ。


内景 科学技術の部屋 昼間

アンソニーは這って一基の風車の基部に行き、そこに寄りかかって座っている。彼は負傷した足首を棒の先でつついてみて、痛みに縮み上がる。足首から火花が散る。
カンバス貼りの大きな風車が、彼の頭上で回っている。
風が彼の髪の中を吹き抜ける。
いい気分だ。

アンソニーは手を上げて、自分の「眼」の前で手をひらひらさせる。

アンソニー
いまや預言者に見えるのは、神が彼に見せたいものだけか。修道僧たちの星に四十年いて、僕はついに信仰を見つけたわけだ。

床板が軋む。
アンソニーは懸命に物音を聞き取ろうとする。

アンソニー
ジョンか?リプリー?

ヒューッ…ヒューッ…
それがジョンやリプリーでないことを彼は知っている。

アンソニー
来るがいいさ。僕も永遠には生きられないんだ。

彼の顔に影が落ちる。彼にはそれが感じられる。
そこに何がいるのか、彼には見る必要がない。

地下の海 昼から夜へ変わっていく

革張りのボートが海を渡っていく。
ジョンが漕ぎ、リプリーが松明を高く掲げている。
夜になり、彼女がオールを持つ。

海はひどく穏やかだ。籠船はガラスのような水面を滑っていく。ジョンは怪我をした指を曲げてみる。

リプリー
手は大丈夫?

ジョン
大丈夫だ。君は前にボートに乗ったことがあるんだね。

リプリーは目をすがめて前方を見る。
海は永遠に続いているかのように見える。

リプリー
私は船の准士官だったわ…でも船に乗ったのは宇宙でだけよ。

ジョン
小さいころ、アンセルム神父が彼のかご船によく乗せてくれたよ。

リプリーは身を乗り出して、ジョンの顔をよく見る。

リプリー
この衛星に連れて来られたとき、あなたは何歳だったの?

ジョン
五歳だ。ここに到着するまで三十年間眠らされた、と院長は言っていた。それから四十年ほど経っている。今までね。

リプリー
あなたのお母さんはどうしたの?

ジョン
いなかった。つまり、母を知らないんだ。いやその、昔はいたんだが。母は父がこの運動に参加したとき、父のもとを去った。彼女がそうしなかったら、私はここにいなかっただろう。二人は他の子供たちを地球にいる女性たちに託した。今では遠い昔の話さ。夢みたいにね。

リプリーの顔が奇妙に暗く輝く。彼女は水面の方を向く。

リプリー
私が母親だったことは知ってた?

ジョン
一緒に船の中にいた女の子の…?

リプリー
いいえ。地球でよ。彼女を私の娘だと言ったことはないわ。私自身の娘がいたの。地球に娘がいる…今では「いた」でしょうね。キャシイというの。私がノストロモ号に乗る契約をしたとき、彼女は九歳だった。ママはあなたが気づきもしないうちに帰ってくるわよ、私はそう言った。私の任務の取り分で、私たちは楽に暮らせたでしょうね。そして私は救難ポッドで漂流して六十年を失った。エイリアンに感謝、ってとこね。私は帰還して、苦い顔をした七十歳の女性に会った。私の娘よ。母親が帰ってこなかった、小さな女の子。

ジョン
気の毒に。

リプリー
生きているだけでも幸運なんだ、と言われたわ。可笑しいでしょ?だから私は二度目の任務に参加した。あいつと戦うためじゃない…あいつとは戦えないわ…あいつに私を殺させるために。

彼女は胸をさする…

ジョン
君が望んで宇宙を漂流したわけじゃない。

リプリー
神父さん、お気遣いはありがたいけど…

ジョン
修道士だよ。

リプリー
修道士さん、でも私は赦しを求めているわけじゃないの。
私は自分の娘にとって良い母親になれなかった。
私はニュートにとって良い母親になれなかった。
でもあなたにとって良い母親になることはできる。あなたを絶対に生き延びさせる。

急に二人は雨が落ちてくるのを感じる…
リプリーは腕を突き出す。
自分が見たものに、彼女は目を見開く。
ジョンがオールを持ち、彼女は松明をボートの外へ突き出す。

海が血で赤く染まっている。
二人の周囲に、天井から血が滴っている。

リプリー
血だわ。

ジョンが上を見上げる。

ジョン
上の階からだ。

彼の顔が蒼白になる。

ジョン
彼が全員を殺したに…

リプリー
そのことは考えないで。上に何があるかは考えないで。ただ漕ぐのよ。

リプリーは松明を水面から遠ざける。水面を小さな波が渡ってくる。
彼女は気づかない。


ボートの下を通り抜ける。泳ぐ生き物だ。エイリアンだ。
水の反射のおかげで、その影は巨大に見える。
かご船がひどく小さく見える。


内景 科学技術の部屋

すべての風車が炎上している。
燃える風車の腕がのろのろと回っている。
アンソニーの姿は見えない。
ヒューッ…ヒューッ…

 

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

開く トラックバック(0)


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事