映画のボツ脚本・準備稿を訳して読んでみるブログ

海外のSF映画やホラー映画のボツ脚本や準備稿をぼちぼち和訳して読んでみるブログです。

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海の反対側 夜

別の桟橋があり、そこから梯子が上下へ伸びている。
リプリーとジョンはかご船を降りる。
ボートを繋いで時間を無駄にせず、二人はそのまま進んで行く…

梯子を登る

百フィートの登りだ。梯子はねじれている。
横木が何ヶ所かで折れている。
二人はわずかな足場しかない箇所を登って行く。彼らが登るうち、気温は上がっていく。
二人の目に汗が流れこむ。

やがて二人に、頭上の床が見えるようになる。
強い熱で黒く焦げている。
二人は登って行く。


内景 地下の麦畑 夜

リプリーとジョンが下階から上がってくる。

リプリー
ひどい。

ジョンが十字を切る。

エイリアンとの恐ろしい戦いの、また別の証左だ。
麦畑は、広大な焼け焦げた床に変わってしまっている。
作物はすべて焼けて灰になってしまっている。
黒焦げになった穂が、修道士たちの焼死体と入り混じっている。
死体のひどい臭いが二人の鼻を悩まされる。
もし腹に何か入っていたら、リプリーは吐いていただろう。

ジョン
アンドリューがいる。ラファエルも。ピーター…

リプリー
やめて。どのくらい遠いの?

ジョン
もう私たちは修道院の真下にいるよ。

二人は煙のくすぶる畑を横切っていく。
焦げた床板がジョンの足の下で割れそうになり…
リプリーが彼を端へ引っぱる。

修道院のある階層

天国が地獄と化している。大地も、建物も、板張りの空もすべてが黒ずんでいる。
そこらじゅうで炎が燃えている。
空気は灰色の煙と、アーチ型天井の裂け目を通って衛星の表面から入ってきた埃でいっぱいだ。

リプリーとジョン

落とし戸が蝶番からもぎ取られたあとの穴を通って登ってくる。二人はこの恐ろしい光景を見る。

自分たちの槍で刺し貫かれた修道僧たち。
自分たちが建てた杭の中でもつれ合っている修道士たち。
彼らの死体の上には、エイリアンの繭を作る物質がクモの巣のように広がっている。

修道院

一階からいくつかの階の窓には、ちらつく炎が見えている。
リプリーはその方向へ一歩踏み出し…
後ろへ手を伸ばして、ジョンを引っぱっていく…


内景 ガラス工房 夜

ガラス炉は吹きこぼれそうなほど煮え立っている。
部屋の周囲には小さな火事がいくつも起きていて、手がつけられない。
完成したガラス製品が熱で破裂する。
リプリーとジョンが入ってくる。

ジョン
ここがガラス工房だ。ここには工具があるんだが…
(見つけて)
カイル…

彼は工房を横切って走って行く…

ブラザー・カイル

作業台のところにじっと座っている。
彼は目の前のテーブル上にトランプを置いていく。
ソリティアをやっているのだ。
彼は静かに歌を口ずさんでいる。

カイル
(そっと)
私のベイビーが見えない。
私のベイビーを見ない。ベイ・ビー。

ジョンは彼の襟をつかんで、引っ張って立たせる。
トランプが床に落ちる…
カイルはジョンではなく、そのトランプを見ている。

ジョン
カイル。ブラザー・カイル。

カイル
トランプが床に落ちた。五十二枚拾わないと。黒のキングを赤のクイーンの上、エースをその上に…

ジョンは彼を揺さぶる。

ジョン
ちくしょうめ!カイル!

リプリーが近寄る。

リプリー
ジョン…手遅れだわ…

カイルは早口で歌い始める。さらに早口で。

カイル
エースが上。エースを上に置け。赤のエース上上。黒のエース上。上。パッ・パッ・パッ・チャカ・ブームルーマワッカ…ブーマルーマルーマ…

リプリーとジョンは顔を見合わせる。
これが何を意味するか、二人ともわかっている。
ジョンは近くのテーブルから一巻きのロープを取る。
カイルの正面へ行く。彼のガラスのような両眼をのぞき込む。
ジョンの頬に涙が一しずく流れる。

ジョン
歌い続けるんだ、我が友よ。

ジョンはカイルの首にロープを巻きつける。
彼を絞め殺す。
命を失った身体を床に寝かせてやる。
その死体をじっと見つめる。

リプリー

吹き竿を棚から取る。その重さとバランスを確かめる。手頃な武器だ。彼女はジョンに近づく。

ジョン
私は彼を殺した。私は医者なのに彼を殺してしまった。

リプリー
仕方がなかったわ。苦しみを終わらせてやるのもあなたの役目よ。

彼女はジョンに、溶けたガラスの形を整えるのに使う尖った鉄の槍を手渡す。

リプリー
さっさとここを出ましょう。


内景 吹き抜け階段 夜

リプリーとジョンが階段を上がっていく。
下からはオレンジ色の炎がちらちら光っている。
下階から煙と煤が立ち昇ってくる。


内景 図書室 夜

二人が用心深く入ってくる。部屋はジョンが出て行った時のままで、棚から落ちた本が鎖でぶら下がっている。

リプリー
彼がめちゃめちゃにしたのね。

ジョンが彼女を押しのけて前に出る。

ジョン
いいや。彼はまだここまで上がってきてない。私がやったんだ。

彼はいちばん近くの本棚へ行き、自分の槍を使って錠前を外す…

ジョン
ここは…哲学だな。ここから始めるとしよう…

アオオオオオ…!
本棚の間から霞んだ毛むくじゃらの何かが飛び出してくる…
ドスン!ジョンを床に突き倒す…
彼の顔を舐めている。

ジョン
マティアス!

犬は嬉しくてご主人の周りを飛び回っている。

ジョン
こいつは待っていたんだ。リプリー、こいつはマティアス。私の犬だ。いい友だちだ。

リプリーはジョンと犬に近づく。

リプリー
嬉しいわ。本当よ。でもここ全部が燃えてしまうまでたぶん二、三分しかないわ。何でもいいから欲しい本を持って…

リプリーはマティアスに屈みこむ。
マティアスは歯を剥く。唸り声を上げる。
彼はリプリーの肩の向こうを見ている。

彼女はゆっくりと振り返る…

エイリアンだ。

開いたままの戸口に立っている。
あの人罠のためにひどい状態になっている。
片足はなくなっている。舌は使いものにならず、外にぶら下がっている。
身体の一部は木材のように見え、別の一部は麦の穂のように見える。

エイリアンはアンソニーのぐったりした身体をつかんでいる。
ぶどうの房から一粒取るみたいに、アンソニーの頭をもぎ取る。
その死体をリプリーの足元へ放り投げる。

エイリアンは、笑みを浮かべようとしていると言えるかもしれない。

 

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