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事例研究行政法第5問

第1 設問1について
 1.処分性の意義
   行政事件訴訟法(以下、「法」という。)3条2項本文にいう処分とは、行政庁の行う行為のうち、
  その行為によって直接、国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律ないし条例上
  認められているものをいうものと解する。このように解することが、主観訴訟であり、公定力を排除
  する目的を有する取消訴訟の対象として適切だからである。
 2.P市市長の不同意の処分性
  (1)P市競技場等及びラブホテル等の確認等の規制に関する条例(以下、単に「条例」という。)
    3条3項による同意は、それによってAが建築できる地位を付与するものではない。適法な建築が
    可能となる地位が付与されるのは、建築基準法(以下、「建」と略す。)6条の定める建築確認
    によってである。したがって、P市市長の同意は明文上、法効果を有するものではない。
  (2)もっとも、条例における制度上、右同意が得られなければ、中止命令(条例6条)や刑事罰に
    よる制裁(条例11条)を受ける可能性がある。そうすると、同意が得られないことにより、Aは
    中止命令や刑事罰のリスクを負ったまま建築を行わなければならないという地位に立たされるこ
    とになる。そして条例6条は文言上、中止命令をなすか否かは市長の裁量に委ねるがごとく規定
    するが、実際上の運用としてはほぼ確実に中止命令が出されている。つまり、Aは中止命令が出
    されることを前提に多額の費用や労力、時間を投入して建築しなければならないことになるが、
    現実問題として建築を断念せざるをえない立場に追い込まれるものというべきである。
  (3)以上のような制度及びその運用に照らすと、市長の不同意は、Aの建築を不可能ならしめる法
    効果を有するものといえる。したがって、条例3条3項による不同意は、法3条2項本文にいう「処
    分」にあたるものというべきである。

中止命令との関係、つまり紛争の成熟性について検討していない。処分性については誰でもそれなりのことは書いてくるので、完全な分析をしなければディスアドバンテージになってしまう。1個問題点を見つけたからといって安心せず、詳細な分析をしなければならないことを肝に銘じよう

第2 設問2について
 1.小問1について
  (1)本件における訴訟の目的は、Qが建築確認を下ろさないという不作為状態を解消した上で、建
    築確認をえることにある。そうすると適切な訴訟としては、不作為の違法確認訴訟(法3条5項)
    と処分の義務づけ訴訟(法3条6項2号)を併合提起することであると考えられる。
  (2)では、上記訴訟の訴訟要件を充足するかであるが、本件では法3条5項及び法37条の3第1項1号
    にいう、「相当の期間」を経過しているかが問題となる。
  (3)(ア)上記にいう「相当の期間」がいかなる程度のものを指すかは一義的に明確になるもので
       はなく、処分の性質・内容、調査の要否・程度等の相違に応じて相対的に定まる「合理的
       期間」をいう。
     (イ)もっとも、本件においては建6条4項が処理期間を定めている。このような場合には、原
       則として、法定期間を経過してもなお処分がなされない場合には「合理的期間」を経過し
       たものというべきであるが、右の期間を超えたことに合理的な理由があるならば例外的に
       許容される場合もあり得る。
     (ウ)本件では、法定期間である35日を大きく超えてもなお処分がなされておらず、また、建
       6条12項が義務づける延長に関する通知書も発していないことからわかるとおり、合理的
       な理由があるとはいえない。したがって、Qの不作為は「相当の期間」を超えてもなお、
       処分がなされていないものと評価しうる。

建築基準法6条4項の定める期間が標準処理期間なのか、法定期間制限なのか迷った。「しなければならない」との文言から法定期間制限と見た。「相当の期間」と「法定期間制限」の関係が今ひとつしっくりきていない。

 2.小問2について
  (1)本件においてQはAの建築確認申請を留保したまま処分をしていない。しかし、建6条の建築
    確認は、いわゆる届出に対する許可処分であり、要件を充足する限りは処分をしなければならな
    い性格のものである。そうすると、理由の如何を問わず、処分を留保することは違法なのではな
    いかが問題となる。
  (2)この点については、確かに建築確認は本来羈束行為であるが、本件のごとく、Aの建築に関し
    住民の反対運動が生じ、混乱が予想される場合には、行政庁が両者の紛争の自主的な解決を期待
    して、合理的な期間処分を留保することも許されるものというべきである。
  (3)もっとも上記のような措置は、申請者が任意に応じていることを前提とする事実上の措置にす
    ぎないから、申請者をして直ちに処分をなすべきとの意思を明確にした後にあっては、留保によ
    って確保される公益と、処分の留保によって申請人が被る不利益とを比較衡量した上で、Aの要
    求が社会通念上正義の観念に反するなどの特段の事情がない限り、処分の留保は違法となるもの
    というべきである。
  (4)本件においてAは、「迅速に建築確認を行って確認済証を交付するようにはっきり言ってい
    る」のであり、また、出店に違法なところはない。また、着工の遅れに伴って借入金の利息が
    増大し、財産的損害を受けている。以上のような点に鑑みると、上記にいう「特段の事情」は
    認められないから、Qの処分の留保は違法であるというべきである。

行政庁は処分しないだけで、何も指導してないから、典型論点の行政指導に伴う処分の留保の問題なのかわからなかった。行政手続条例の内容は行手法と同じみたいな記述があったので、指導なんだろうなとは思ったけど、こわいから明確にしなかった。解説を見ると行政指導らしいけど。あと、「行政指導が違法だから処分も違法になる」のか「任意ではない行政指導を理由とする処分の留保が違法」なのかはっきりしない。

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(設問1)
>>中止命令との関係、つまり紛争の成熟性について検討して
>>いない。処分性については誰でもそれなりのことは書いて
>>くるので、完全な分析をしなければディスアドバンテージ
>>になってしまう。
紛争の成熟性とは、権利変動の具体性のことですから、検討対象は処分性のそれと同じです。紛争の成熟性について書いていないということは、処分性について書いていないということです。やや揚げ足を取るかのようですが、念のため、指摘をさせて頂きます。

(設問2)
「Qが建築確認を下ろさないという不作為状態を解消した上で」
解消されるべき不作為は、建築確認を下ろさないことではなく、申請についての判断をしないことです。

1(1)(2)(3)の切り込み方はいいと思います。端的に相当期間についての問題提起に入っていますので。
しかし、これは不作為の違法のところで論ずべきものでしょう。合理的期間が経過したのに申請について判断をしていなければ不作為の違法なのですから。小問1(2)(3)と小問2を分離した結果、小問2の記述がまとまりに欠けるものになっています。

2008/10/29(水) 午後 6:15 [ shirou ]

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「「相当の期間」…(とは)処分の性質・内容、調査の要否・程度等の相違に応じて相対的に定まる「合理的期間」をいう。」
細かい基準を挙げても、あてはめで建築基準法の標準処理期間およびその例外が合理的期間だとするのでは、説得力に欠けると思います。

「建6条の建築確認は、いわゆる届出に対する許可処分であり、要件を充足する限りは処分をしなければならない性格のものである。」
これは分かりにくいです。「建築確認をしなければならない」との意味なのか、「処分をしなければならない」という意味なのかが不明だからです。要件を充足していなければ処分をしなくてもいいのですか。それだと不作為の違法はないということになりますよね。

>>「行政指導が違法だから処分も違法になる」のか
>>「任意ではない行政指導を理由とする処分の留保が違法」
>>なのかはっきりしない。
行政指導の継続が違法。 ⇒ 不作為の合理的期間が経過したとみなす。 ⇒ 合理的期間を経過しても申請に対する判断をしない。 ⇒ 違法な不作為。 したがって、どちらもyesです。

2008/10/29(水) 午後 6:18 [ shirou ]


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