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事例研究行政法第6問

第1 設問1について
 1.訴訟の目的
   本件でAは、都市計画法(以下、「法」と略す。)29条の規定する開発行為の許可申請の前提とし
  て、法30条2項が要求する同意を得たことを証する書面を添付することが出きない結果、開発行為を
  行えないという不利益を負っている。
   そこで法32条が要求する公共施設の管理者の同意、すなわち本件では乙市長の同意を得ることが訴
  訟の目的となる。
 2.考えられる法的手段
   右目的を達成する法的手段としては、仮に不同意が処分であるとするならば、右処分の公定力を排
  除するために取消訴訟を提起し、それと併合して同意の義務づけ訴訟を併合することが適切であると
  考える。そこで以下、各訴訟が訴訟要件を充足するか検討する。
 3.取消訴訟について
  (1)行政事件訴訟法(以下、「行訴法」と略す。)3条2項の取消訴訟に関して問題となるのは、乙
    市長の不同意に処分性が認められるかという点にある。ここで処分とは、行政庁の行為のうち、
    その行為によって直接、国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定することが法律上認めら
    れているものをいう。上記の定義に照らすと、本件不同意は、それによってAは開発行為を行え
    なくなっているわけではなく、財産権への制約が現実化するのは法29条による不許可によってで
    あるから、法効果の要件を充足せず、処分とはいえないようにも思える。
     また、仮に法効果が認められるとしても、制度上、同意に続く許可という処分が予定されてい    るから、紛争の成熟性に欠けるのではないかという疑いもある。
  (2)この点について、まず、法効果の有無については、判例は同種の事案において、開発行為が行
    えないという不利益は、法が同意を要件としている結果として生じる事実上のものに過ぎないか
    ら、法効果の要件を充足せず、したがって処分性は認められないとする。
     しかし、法30条2項が同意を申請の要件としている以上、単なる事実上の効果というべきでは
    なく、不同意と開発行為の不能という効果は法的に結びついているものというべきである。
  (3)次に紛争の成熟性についてであるが、確かに不許可という後続の処分が制度上予定されてはい
    るが、不同意の時点でAの開発行為を行えないという地位は確定しているのであり、それにもっ
    かわらず、Aに申請をさせ、不許可処分を受けさせるべき理由はない。したがって、不同意の段
    階で紛争は成熟しているものというべきである。
  (4)以上のように不同意は処分であり、その他の要件も充足しているから、取消訴訟の訴訟要件は
    すべて充足する。なお、法51条は審査請求前置主義を採用するが、これは不許可処分との関係で
    規定されているものであるから、不同意を争う場合には適用されない。したがって、直ちに取消
    訴訟を提起することができる。

判例は、法効果の要件を欠くために処分性がないとしているのではなく、不同意によっても、もともと自由に開発行為を行えない地位にあった以上は、国民の権利義務に影響を与えるものではないとして処分性を否定している。処分性を否定する場合に、定義のどの部分を否定しているのか再確認する必要がある。

 4.義務づけ訴訟について
  (1)本件では乙市長がAの開発行為について同意をすべきであるのに同意をしないという事案であ
    るから、行訴法3条6項1号による義務づけの訴えによることになる。そして本件で問題となるの
    は、行訴法37条の2第1項にいう「重大な損害を生じるおそれ」があるかという点である。
  (2)同条にいう「重大な損害を生じるおそれ」とは、義務づけ訴訟の性質が、行政庁が一次的判断
    権を有する事項への司法による介入であるという点に鑑み、義務づけ訴訟の必要性を要求する趣
    旨で規定された要件である。そうするとここでいう「重大な損害」とは、行政庁の判断の後に行
    われる事後的救済では足りないような損害をいうものと解する。そして行訴法37条の2第2項が考
    慮要素をあげる。
  (3)本件でAは、パチンコ店出展に会社の命運をかけ、すでに多額の資金を投じているのみならず
    仮に開設が不可能となれば、会社の存続すら危ぶまれ、従業員も路頭に迷うことになりかねない
    という状況にある。このような損害は事後的な救済で十分とはいえず、是非とも義務づけ判決が
    必要である。したがって、重大な損害の発生のおそれは認められる。
  (4)その他の要件についても問題なく認められるから、義務づけ訴訟の訴訟要件はすべて充足する
    ものといえる。

第2 設問2について
 1.主張すべき本案の違法
   本件不同意は、乙市長に与えられた裁量権を逸脱し、同意権を濫用するものであるから、違法であ
  り、行訴法30条により、取り消されるべきであると主張すべきである。
 2.裁量権の逸脱・濫用の事実
  (1)法32条は「同意をえなければならない」と規定するのみで、同意の要件を明定していない。そ
    うすると同意をするかしないかは、同意権者である市長の裁量に委ねられているものと解され
    る。
  (2)そしてその裁量の幅については、同意要件を定めていない以上、ある程度広範に認めるのが立
    法者の趣旨であると思われる。もっとも本件不同意は元来自由であるはずの財産権の行使を制限
    する侵害処分である。そうすると法が無制限の裁量を与えているものとみることはできず、法の
    趣旨・目的に厳密に限定された範囲でのみ裁量権を行使することを認めたものと解するべきであ
    る。
  (3)そこで本件を見ると、そもそも法が同意を要求した趣旨は、開発工事によって既存の公共施設
    の機能を損なうことのないようにするためである。ところが本件で乙市長は、講師の待ち尽くr
    の基本計画に適合しない、であるとか住民の反対運動が強いなどといった上記の目的とは無関係
    の事項を理由として不同意処分をなしている。このように考慮すべきでない事項を考慮してなさ
    れた裁量処分は、その判断過程において著しく不合理である結果、その処分についても社会通念
    上著しく合理性を欠くものとして違法であるものといえる。
  (4)以上のように、本件不同意は乙市長に与えられた裁量権を逸脱・濫用する違法があり、行訴法
    30条により取り消されるべきである。

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事例研究行政法には教員用の手引きがあるみたいですよ。
先生に相談して、購入してもらったらいいのではないでしょうか?

2008/10/18(土) 午前 9:49 [ fhi*o* ]

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fhi*o*さん
そうみたいですね。すごくお願いしたい心境は山々なんですが、私が教えてもらった先生はみなさん栄転されて、学校にいないんですよね。。。
一応相談してみようとは思ってるんですが、学校としてその本を教材に指定しないとダメみたいなので、難しいかなと思ってます。

2008/10/20(月) 午後 8:31 [ ふうやま ]


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