過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

事例研究行政法第7問

このところ事例演習民事訴訟法を書いていたので、久しぶりの行政法。
予備校の答練にも追われつつあるので再度気を引き締めて!

第1 設問1について
 1.審査請求に関する不作為の違法確認訴訟
    本件においてXは、裁決をうる手段として、A県人事委員会に対し、不作為の違法確認訴訟(行
   政事件訴訟法(以下、「行訴法」という。)3条6項)を提起することが考えられる。
    しかし、この方法によった場合、裁判後や裁判中に審査請求が棄却された場合には、改めて裁決
   ないし処分の取消訴訟を提起しなければならないことになり、迂遠であるから、早期の解決を希望
   するXの目的に合致しない。
 2.A県知事Pによる懲戒免職処分の取消訴訟
   (1)先のような理由からすれば、本件においては、Pによる懲戒免職処分(以下、「本件処分」
     という。)の取消しを求めることが直截であると考える。
   (2)地方公務員法(以下「地公法」という。)51条の2は不服申立前置主義を採用する。しかし
     本件では審査請求の日より6ヶ月の間何らの裁決もなされていない。そうすると行政不服審査
     法8条2項1号により直ちに取消訴訟を提起できるから、問題はない。
   (3)また、行訴法3条2項にいう「処分」にあたることは明らかであるし、処分の相手方である以
     上、原告適格(行訴法9条)も問題はない。
   (4)以上のように、本件処分に関する取消訴訟は適法に提起することができ、この方法によるこ
     とが、早期の救済という目的の実現のために最も有効である。

第2 設問2について
 1.考え得る方法
   Qによる変更裁決(以下、「本件裁決」という。)を争う方法及び本件処分を争う方法が考えられ
   る。
 2.採りうる手段
   (1)本件のように裁決と処分のいずれもを争うことができる場合には、その主張する違法事由に
     応じていずれの方法をとるかを決する必要がある。というのも、行訴法10条2項は原処分主義
     を採用しており、裁決の取消訴訟にあっては、裁決固有に違法事由のみに主張が制限されるか
     らである。
   (2)本件でXの主張する違法事由は、公務員の政治的行為を禁じる違憲の法律を根拠としてなさ
     れた懲戒処分もまた違憲違法であるというものである。この違法事由は、原処分の違法をいう
     のか、裁決固有の違法をいうのか。
   (3)この点については、変更裁決は、原処分によって表された懲戒意思については承認しつつ、
     その効果について変更を加えるものに過ぎない。そして変更裁決によって処分は当初から、変
     更された内容どおりの効果を持つものとみなされるのである。そうすると、Pの懲戒自体が違
     法とする主張は原処分の違法をいうものというべきである。
   (4)以上のように、Xは原処分の違法を理由として、本件処分の取消訴訟を提起すべきである。

第3 設問3について
 1.本件処分の取消訴訟の可能性
   設問2で検討したように、本件処分の取消訴訟を提起することが目的との関係で適切であった。し
   かし、現時点では裁決の通知を受けてから8ヶ月が経過しており、行訴法14条の定める出訴期間を
   経過している。また、例外となるべき天災等の正当な事由もない。つまり、取消訴訟を提起しても
   不適法として却下されることになる。
 2.本件処分の無効確認訴訟
  (1)無効確認訴訟(行訴法3条4項)を提起して、本件処分の効力がないことの確認を求めることも
    考えられる。もっとも、既に言及期間が経過しているため訴えの利益が認められないのではない
    かが問題となる。
  (2)行訴法36条は無効確認訴訟の原告適格について、「法律上の利益を有する者」に限定する。こ
    の法律上の利益を有する者とは、取消訴訟に関する9条項と同様に、当該処分により法律上保護
    された利益を侵害され、または必然的に侵害されるおそれのある者をいうものと解する。明文で
    の準用はないが、無効確認訴訟も抗告訴訟であり、主観訴訟であることからすれば別異に解する
    理由はないからである。そうすると9条1項かっこ書にいう「なお回復するべき利益」も、なお、
    処分等の付随的効果が残存する場合をいうものと解するべきである。
     本件においては減給期間中の給与について、処分が無効となれば支払を求めることができるの
    であるから、付随的効果が残存しており、なお回復すべき利益は認められる。
  (3)もっとも「現在の法律関係に関する訴えによって目的を達成できない」といいうることも必要
    である。そしてここでいう「目的が達成できない」とは、現在の法律関係に関する訴えに還元で
    きない場合のみならず、それとの比較において無効確認を求める方がより直裁で適切な場合も含
    む。
  (4)本件においては、処分の無効を前提とする当事者訴訟を提起することが可能であり、それによ
    ってXの目的はすべて実現できるから、無効確認訴訟のほうがより直裁で適切とはいえない。
    したがって、無効確認訴訟の補充性は認められない。

全1ページ

[1]


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事